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カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「恋するソマリア」高野秀行 集英社文庫 まずい。まずいぞ!と思っている。恋をしてしまいそうだ。高野さんの本に。私はお気に入りの作家が出来ると、その人の作品を半分以上は読まないと気が済まなくなる。高野さんのホントの姿、素の人物を知りたい。出来ないけど、高野さんのような旅をしたい。ここに私の理想の旅がある。いや、そこまで美化しないと、ここまで入れ込んでいる自分を正当化出来ないのかもしれない。高野さんが魅力的だから好きなのか、好きだから魅力的に見えてしまうのか、それすらわからない。 納豆の本(「謎のアジア納豆」)と並んで、これで2冊目の高野本。集英社文庫だけで17冊も出ているのだから、そうでなくても読みたい本が山のようにあり、人生は短いのに、目の前にそんな風に積まれると、つい禁断の恋をしてしまいそうだ。でも、こう書いた時点で恋は始まっている。高野さんのソマリアへの恋のように。 冷静に分析すると、高野本の魅力は(1)韓国台湾などアジアぶらぶら旅をしてきた私の旅スタイルと、規模こそ違え、似ている(2)素人人類学学者、素人考古学者の視点を持つ(3)常に庶民の視点を大切にする(4)よって政治的な立場は鮮明にしないが、結果リベラルになる。(5)何よりも「好奇心」を大切にする。というところだろうか。 幾つか面白い箇所をピックアップ。 ・初対面の人間に先ず氏族を聞くのは、韓国で私が先ず「出身地」を聞かれたのと似ている。いや、韓国以上にシステム化している。 ・ソマリの知識人は、漱石のように「近代的自我」に悩まない。どこにいても氏族社会に生きていて、「自分とは何者か」と問わない。 ・民族を何をもって「理解した」と見るか。人間社会を形つくる三大要素は「言語」「料理」「音楽(踊りを含む)」と思う。 ・ソマリ人の男は詩を吟じないと好きな女の心を掴むことができなかった。女子が男子に歌い返すこともあった。←つまり、これだけ普遍性があれば、平安時代の習慣ではなく、弥生時代にあってもおかしくはない。 ・ソマリ人が客を招待するときは、盛大なもてなしを用意しなくてはいけない。 ・国を愛すれば愛するほど、政府と国民(の1部)から嫌われる。ここにも片想いがある。 2018年7月読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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「間違う力」があると、うそぶいてソマリアをレポートした高野さんは・・・これまでが、全て結果オーライの半生だったようです♪
でも、いつ狙撃されても不思議でないソマリアから無事帰還できたのは・・・ 現地の掟を守ることに徹っしたようで、勘所を押さえるところがエライ。 高野さんの本では『アジア新聞屋台村』という本がお勧めです。 (2018年07月11日 06時48分26秒)
Mドングリさんへ
淡々と面白く書いていますが、奇跡の生還の記録でした。 同時並行で開高健「輝ける闇」を読んだのですが、ベトナム戦争の場合は生身でゲリラ地帯を突破したので、危険度は全然開高健に軍配が上がるのですが、そもそもゲリラ地帯に入っていくこと自体、私たちには体験できない。 とりあえず最初期の本から読もうと思っていますが、お勧めの本も読んでみます。ありがとうございました。 (2018年07月11日 10時11分21秒) |
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