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カテゴリ:読書フィクション(12~)
文学日記(24)「発心集」伊藤比呂美訳 鎌倉時代初期、鴨長明が「方丈記」(1212年)を書いた数年後に編んだとされる仏教説話集。「宇治拾遺物語」は太田光がブラウン管の中で広く世に向かい得々と毒を吐いたのだとしたら、これは又吉直樹が教育テレビの中でボソボソと心情を語っているようなものだろう。両極端な見栄えはするが、語っているのは同じ芸人だということ、人に語っているということでは同じである。 鴨長明はマイナーな番組で、マイナーな人々(僧侶たち)に語っているのだから、内容は如何にして往生を遂ぐか、に尽きる。基本的には延々と執着を捨てよ、と書く。いくら書いても書いても、易行と難行の間を往来したり、至る所俗気満々である。ところが、細部に至ると、「玄賓、大納言の妻に懸想する事。そして不浄観の事」の最終節のように、真理に至る。(437p)彼は俗世間をよく観察した。ホントは「俗世間を離れる」ことに執着するのではなく、「俗世間を記録する」ことを生業と定めるべきだったのではないか。蓋し、事さに成り難しが人生也。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年08月20日 07時50分07秒
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