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テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書フィクション(12~)
「魔力の胎動」東野圭吾 角川書店 今年の3月に有名な物理学者ホーキング博士が亡くなった。それで、かねて読み損なっていた博士の「ホーキング、宇宙を語る」を読んだ。その中に、19世紀の学者ラプラスの「因果的決定論」の紹介と批判が載っていた。同時に世は映画「ラプラスの魔女」の宣伝が始まった頃であり、私はその本も続けざまに読み、映画も観た。というわけで、因果的決定論に従って、私はこの本を読んだわけだ。 私は前回、「ラプラスの魔女」は続編が作られなければならない、何故ならば「ラプラスの魔女」はラプラスの論の、つまり円華たちの「魔力」の紹介編であって、その限界については一言も言及されていないからだと、要約すればそういうことを書いた。文庫本と同時に刊行されたこの本は「前日譚」と紹介されていたから、私の言う続編には当たらないかもしれないとは思ったが、次回続編の壮大な伏線という可能性はあり得る。それを「見逃したくなくて」これを読んだ。 結果から言うと、やはり単なる前日譚だった。第二次紹介編と言ってもよい。円華魔女誕生の瞬間が描かれるかと期待していた(それが次回の伏線になってもおかしくはない)のだが、それも描かれず、魔女事件が起こるまでの約1年間の出来事の円華の周りのスピンオフ四篇と青江教授の事件直前までの話一篇だった。私には、可もなし不可もなしだった。 続編が描かれるかどうかは、物語そのものが内包する必然性も必要だが、作者の気持ちや世の中の反応や編集部方針、その他幾つかのファクターを考慮せねばならず、私には判断不能である。しかし、この本に出会った経緯からもわかるように、またこの物語の中にもあるように「偶然とは幾つか重なる事が多い」ものだ。 2018年9月読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年10月01日 07時35分30秒
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