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2018年10月31日
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カテゴリ:考古学


「古墳出現期の筑紫・吉備・畿内」近つ飛鳥博物館編

2017年秋の特別展の図録。観てはいないが、吉備と名が付いた図録は、そもそも岡山県ではほとんど発行されていないので、興奮して買った。どれくらい興奮したかと言えば、帰って荷物をみたら、いつの間にか飛鳥博物館と弥生博物館の2カ所で一冊づつ買っていたことからも分かる。つまり2冊買ってしまったのだ(誰か余りの一冊所望者はいないかな)。

とても面白かった。岡山県在住の私は、高い発掘報告書を所有していないので、足守川下流域の津寺遺跡(中央に大型建物出土)、一軒屋や三本木遺跡(鍛治炉)、加茂A・B遺跡(鯉喰神社墳丘墓の居住地か)などの場所や特徴などは初めて知った。弥生遺跡は目印になるものがないので、カラー航空写真で場所を特定してくれたのはとても嬉しい。しかし、説明はあまりにも簡単でイマイチだった。

また、東郷遺跡や萱振遺跡や小阪合遺跡から、失礼ながらこんな小さな墳丘墓や古墳から、特殊器台が出土しているのに驚きを禁じ得なかった。しかも東郷遺跡で向木見という最初期の破片が出たのは何故か?この図録だけではわからない。

1番面白かったのは、やはり御大・白石太一郎氏の「倭王権はなぜ畿内に成立したのか」だろう。失礼ながら、根拠のあやふやな推論から面白い結論を導き出していた。

炭素年代法によって、箸墓の出現期を3世紀中葉過ぎに想定すると断定。そこから、「(今や、九州か畿内か、ではなく)列島内で最も先進的な北部九州ではなく、明らかに後進的であった畿内大和の地を中心に邪馬台国連合やそれに続く初期ヤマト政権と呼ばれる広域の政治連合か形成され」たのは何故か?と問いを立てる。此処までの論は根拠があると私は思う。

氏の大まかな推論は以下の通り。
(1)卑弥呼擁立は3世紀初頭。この時の広域連合は、東は畿内、西は北部九州まで。ただし、九州南と四国、山陰地方は除く。
(2)この時点で政治連合は、邪馬台国とは別に山陰地域連合と近江・濃尾平野から関東までの連合があったという。3世紀中葉に濃尾連合(狗奴国)と邪馬台国連合が結びつき、それがヤマト政権になった。その直後ぐらいに卑弥呼没す。箸墓の被葬者は卑弥呼以外を考えるのはきわめてむつかしい。
(3)伊都国は、一大卒を置いて、貿易の要となり続けた。邪馬台国が何故必要だったか。「鉄資源をはじめとする先進文物の入手ルートの支配・管理権を北九州と争い、卑弥呼が掌握したからだ」と説明する。

そして白石氏のここが面白い処なのだが、村上恭通氏の手痛い批判をこのようにかわす。「古墳時代に入っても鉄器の出土量は北九州が圧倒的に多いので、流通機構の掌握を邪馬台国やヤマトがしたわけではない。」という批判は「聞くべき処が多い」としながらも、白石氏は「鉄資源の入手や鉄器生産のセンターの問題ではなく、その成果品の分配権やその分配のあり方の問題」だと説明する。だから、古墳時代になると中国鏡や倭鏡の分布の中心は明らかに畿内に移り、奈良盆地東南部の初期の王墓には膨大な量の鉄製武器が副葬されるようになる。「この大きな変化が生じた理由について納得のいく説明をしていただければ、私の提起しているこの仮説などはいつ撤回しても構わない」と説明する。まるで開き直りである。

鉄資源の分配権はどういう力の背景をもって確立したのか?鉄資源はなぜすぐに「邪馬台国」に広がらなかったのか。「鉄資源その他の先進文物」の後の「先進文物」とは何か?これらの説明がないと、氏の仮説は、かなり説得力がない。しかし、魅力的であるし、素人の私としては「これでもいいんじゃないかな」とも思っている。

先進文物とは、もしかしたら文物ではなく、信仰だった、つまり当時としては初めて国の規模を迎えつつある倭国の政策イデオロギーだったのではないか?とも私は思う。その中心にいたのが、元投馬国の位置にいた吉備の国だったのではないか?

白石氏は、港市国家は長続きせず、最後に勝利を収めるのは内陸部の農業国だという世界史の教訓を引き合いに出す。全然根拠になってはいないが、また投馬国が何処とも全然書いていないが、やはり龍神信仰を確立した吉備国の役割は決定的だったと私は思うのである。





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最終更新日  2018年10月31日 07時38分54秒
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