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再出発日記

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2018年11月12日
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山脇寿一氏の「暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る」(NHK出版)
は、平和運動に取り組む私の思想に大きな影響を与えた、との自覚が私にはある。だから、なかなかまとめることができなかった。しかし、その様に考えすぎるから結果が出ないのも、私の大きな悪癖だと最近気がついた。それで無理やりまとめたのが前日の記事である。
ただ、自らの覚えのためには、もう少しメモして置いた方がよかろうと思う。よって以下は私の「覚え」である。

・熱帯雨林には、地球の陸地の3%であるにも関わらず、生物140万種の50%以上分布している。その半分以上が昆虫であり、植物の90%は被子植物である。その種子頒布の多くを、霊長類に頼ってきた。

・巨大な植物資源を手に入れて、昆虫から植物に手を出して、霊長類は身体を大きくした。哺乳類の基礎代謝量は、体重の3/4乗に比例するので、体重が重くなるほど必要エネルギーは小さくなる。また、セルロースを分解させる必要から大腸が巨大になる。毒素を含む葉よりも完熟果物を人類が好むのは、霊長類の身体を共有しているから。そして広い地域を植物を求めて歩き回らなくてはならなかったことが、のちに直立二足歩行などの人間独自の特徴を生み出すことになった。草原に出たから直立二足になったわけでも、道具を使い出したからでもない。そして昼も行動する様になって、集団生活が始まった。

・人間はインセストタブー(近親者の性(せい)交渉の禁止)を持つ。その仕組みが家族。このタブーのおかげで、親子は性の相手を巡って競合することなしに平和に暮らせる。霊長類にもインセストタブーはあるので、家族ができる段階でインセストが禁止されたわけではない。逆にこのタブーを利用して家族は創造されたに違いない。なぜなら、人間は親子以外の近親者にインセストタブーがあるから。複数の家族が共存する様になって、この制度が作られた。こうやって「地域社会」が作られた。←サルからヒトになったのは、道具を使うようになったからではない。仲間をつくるようになったからだ、ということ。これまでの私の認識が崩れる瞬間だった。

・人間のインセストタブーは、優勢遺伝のためというよりは、性的な競合を弱めるための仕組みだったのでは。母親と息子、父親と娘、兄弟姉妹は異性間であるにも関わらず性的な競合がないので、一緒に住める。よって、家族の一員が他の家族と性的に結ばれても、家族のきずなは切れることがない。よって、家族どうしは連合することができる。こうやって、共同体が出来上がった。食と性は、動物の最も大きな欲望である。それに対するタブーを作ってまで、なぜ人間は「共存する」必要があったのか。共存が生き残り戦略の要だったからだろう。←被災者支援を人間が喜んでするのは、決して近代が生んだ誇らしい倫理観からではない。サルからヒトになった時から備わっている、人間としての「本能」からやっていることなのだと私は思う。

・類人猿は「子殺し」をすることがある。形の上で単独生活やペア生活を送るか、複雄複雌で完全な乱交という交尾様式の種には子殺しは起きない。オスのメスに対する占有志向が強く、それが果たせないような社会型や交尾様式の種に子殺しは起こるのである。(略)人間の社会に起こる暴力や幼児への虐待は、類人猿とは比べものにならないくらい多様で複雑な人間関係が原因である。しかし、その多くに性の問題が絡んでいることは否定出来ない。(略)人間の社会は手長猿やボノボのようにはうまく解決出来ない。なぜなら人間は手長猿のようなペア社会も、ボノボのような乱交的な性関係も発達させなかったからである。なぜ人間は性をめぐる暴力を抑える社会を持つことが出来なかったのか。そこに人類進化の道筋の特異性がある。←人類は、まだ進化の途中なのかもしれない。

・700万年前に直立二足歩行して、初めて石器を持ったのは、250万年前のアウトラピテクス・ガルヒが用いたオルドワン式石器である。その間450万年間、自由になった手はひたすら仲間のところに食料を運ぶことに費やされたようだ。しかし、240万年前のホモ・ハリビスでも未だ死肉食や骨髄を石器を使ってとるだけだった。

・人類の生き残り戦略は、ひとつは「多産」ということだった。子供の保護者を特定の男に限定した。先ず発情サインを無くし、ペア型社会に進む。しかし、まだ完成はしていない。雌雄に体格差があるし、トラブルも多い。なぜならば、大きな集団の中でペア生活を営む他に類を見ない難題に挑戦しているから。インセストの禁止と食の共同を体現した人類は、それによって家族を作った。家族間のきずなは食の共有によって強められる。人類は性を家族内に閉じ込めたかわりに、食を公開して共同行為に発展させた。分け与えるのではない。分かち合うのが、最初の姿である。家族は最初から非互酬だった。家族間、或いは集団間は互酬だったが、結婚によって非互酬になる。こうやって共同体が出来上がり、大型の肉食動物か徘徊するサバンナで初期人類か生き抜く大きな原動力となったに違いない。その最初の頃は言語はなかった。言語が生まれたのは、たかだか数万年前と言われている。それまで大きな役割を持ったのは、音楽であったかもしれない。類人猿の赤ん坊は泣かないが、人間の赤ん坊はよく泣く。これは、人間の母親が赤ん坊を生まれた直後から手放してしまうからだ。すぐに他の人に預けてしまう。そのために、赤ん坊はけたたましい泣き声で自己主張し、誰にでも世話してもらえるように可愛いらしい笑顔を浮かべる。そこで、泣きじゃくる赤ん坊をなだめるために子守唄が必要になった。子守唄によって赤ん坊の感情を操作することが出来、母親以外の子育ても可能になった。子守唄のトーンやピッチには、世界の文化を超えて共通な特徴があるという。

・人間は、共同体を守る時に負けることがわかっていても戦う場合がある。人間の居住空間が150人程度ならば、大規模な戦争は起こらなかったかもしれない。農耕は大規模な共同体が必要である。それに、言語の出現と土地の所有、そして死につながる新しいアイデンティティの創出によって戦争は可能になった。言語は共同幻想を生み出し、農耕は土地の所有を個人や集団に帰属させ、人類は死を利用して、墓を作り、先祖を作り、民族を作り、国を作った。それを守るために人類は戦うことになった。国家や民族のアイデンティティが薄れると、宗教や観念的なナショナリズム、空想的民族主義を掲げて戦いに巻き込む。人は信頼できる仲間がいなければ生きていくことができない。そのアイデンティティを確固たるものにするために戦っている。この悪循環を何処かで断ち切る必要があるだろう。

・育児に関する行動やコミュニケーションは、文化の違いを越えて普遍的な幾つもの特徴がある。それを利用して、人間はもう一度社会の和と力を取り戻すことが出来ると私は思う。類人猿の子供と違い人間の子供は早くから母親以外の人の手を遍歴して成長する。教育が可能なのは、人間だけである。
ありがとう、山極寿一さん。
2018年11月読了





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最終更新日  2018年11月12日 10時50分39秒
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