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再出発日記

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2019年01月07日
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「原始日本語のおもかげ」木村紀子 平凡社新書
著者の最初の新書ということもあり、小ネタ集的な入門書になっている。以下、面白かった処をメモ。
・ムラも共同体としての本来の言葉が、「年越し派遣村」という言葉として蘇った。昔のコエが今に生き続けることがある。
・茸方言分布地図(『日本方言大辞典』小学館昭和30年代の調査)。キノコ(東日本)、コケ(越の国の範囲)、タケ(吉備国の範囲山陰含む)、ナバ(九州・四国・西中国)で分かれている。
・この世のあらゆる現象の、その転々するままを表現する動詞が「ナル」である。(略)ナルは、日本語を話したり書いたりすれば、半ば無意識のうちに頻繁に使っている。日本語の根幹を為す動詞の一つである。それゆえにまた、「ナったことは仕方ない」とばかりに「ナリ行き」に任せて責任をぼかし、諦めの早い国民性のもとになっていると思われる。
・「したたる塩、つもりて嶋と成る」といったナルなら、現代の語感と何ら違和はないが、「高天原に成る神」等の「神がナル」という言い方は、今は言わない。「風になる・母となる・顔が赤くなる」といったト・ニ等の助辞や形容詞による補語をとる言い方でないものは、現代語では「柿の実がなる」などの場合に限られ、神や人や鳥獣が(この世に)ナルとは言わない。
・アリとナルの用法は交錯してもいる。現代語でも「こうナリたい」と「こうアリたい」とは、ほぼ同義語であるが、「ナリたい」が時間軸上でなりゆく先を希求するのに対して、「アリたい」は、あくまで今の状態に沿った希求を言う。アラゆるものは、またナッたもの、ナリ行くものである。
・(松尾芭蕉の言では)「おのずとナル」句の方が、「みずからスル」句よりも上位であるとの説。(略)人の意図的な作為(スルこと)など、千変万化する(ナリゆく)造化の営みに比べれば何ほどのものでも無いと断言している。
・ことほどさように、古来「ナル」に対する否定的な文言は、あまり見出すことが出来ない。もとより「ナル」とは、抗えず否定出来ないこの世の万象の現実である。
←もとより、これらの文章は丸山真男の論文を踏まえているのは明らか。むしろ、何処かの部分で違いが無いかを探して見たくナル文章である。
・「泣き笑い」「もらい泣き」とは言うが「泣き」単独て名詞に熟した言い方はしない。それだけ対象化がなされていないということだろう。
・猫が恋鳴きする声は、人の赤子の泣き声に酷似するが、ネ子のネもまた鳴き声の擬音から出た名と思える。古代語のネコとは、現代語のニャンコである。猫の鳴き声を「ネウネウ」と書き取る例が「源氏物語(若菜下)」にある。「ネをあげる・ぐうのネも出ない」の「ネ」は、泣き声のネに通じる古来のものだろう。生の営みに行き詰まってどうしようもない時に出てしまう言葉以前の未分節の声である。
・飲酒によって気分が解放され、我を忘れて歌われ舞われる。身も心も熱くなって、あたかも集団で神がかったような熱気に浮かれる。それが「アソブ」ということではなかったろうか。
・現代でも大ホールや野外でのコンサート、また野球やサッカーでの、いわば神業を見せる演者と観客一体の熱狂こそが、太古の感覚を瑶曳した現代の「あそび」というべきかもしれない。
・カシ(河岸)はもともとは、「舟繋ぎ場・舟着き場」で、堅く安全に建てた場所という意味だった。
・タカラ(田の共同体)は、その共同から生み出される幸(秋の収穫)が次の収穫までのたくはえとなって、一族生存のチカラとなった。
・呪術性を持ったタスキは選挙用具やスポーツ用具として、自己アピール用のものとして使われている。
・すぐ最近まで男女ともに裸足が普通だった。しかしイザナギも投げ捨てたクツもあり、大昔から存在はしていた。
・「月ヨミ」のヨムは声に出しながら数を確認すること。「歌をヨム」は歌うのではなく、一音一句声に出して唱えて歌を作ること。経をヨム。「表情をヨム」「先手をヨム」は往古の月をヨミ「潮時を知る」意味。現在「明日をヨム」が使われる。





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最終更新日  2019年01月07日 08時40分35秒
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