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テーマ:本日の1冊(3686)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「周恩来『十九歳の東京日記』」矢吹晋編 鈴木博訳 小学館文庫 紐解いて中身の濃さに驚いた。二十歳前の中国青年の約一年間の留学準備日記を、言葉の説明はもちろんの事、地図や風俗、時代背景を事細かに書き記して補っているのである。周恩来にあまり興味なくても、1918年つまり100年前の東京の雰囲気を知る上でも興味深い。こんな労作が、99年に文庫本で出たことが不思議でならない。Amazonでは、現在約三倍の高値(1,860~)がついている。こんな良本が絶版になるぐらいに、日本人というのは狭量な民族だったのだろうか。 周恩来は、2回受験に失敗する。どうやら日本語が、すらすらと読んだり話せたり出来ないと合格できなかったようだ。無理でしょ、半年そこらの留学じゃ。彼の頭の良さは4月23日の日記で私は認めた。東京堂という本屋で、『露西亜研究』という雑誌を立ち読みし、その場で暗記したことをその日の日記に書いている。ロシア革命は前年の秋のことである。だからここに書いている現在ロシアの党派の分析、特に社会民主党の中のレーニン(この名前も初めて知った筈だ)率いる過激派(ボリシェヴィキ)や温和派(メンシェヴィキ)の方向性の違いをきちんと理解して暗記して、おそらく日記帳数ページに渡り書き記す記憶力は物凄いものがあるし、特にこの内容を日記に記すことを選択した周恩来の時代を見る眼にも瞠目した。 日記には常に【通信】欄を欠かさず書いていて、おそろしいほどのハガキ魔だったことがわかる。友愛を大切にする姿勢は、いろんな所に散見する。 受験勉強もしているが、時代が要請する愛国運動にも参加する。やがて彼は後者を選ぶ。1人の革命家は、まだ何者でもなかった時期に、それでも非凡だったと私は思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年04月16日 19時03分32秒
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