再出発日記

2019/05/17(金)13:20

今月の映画評「ダンガル きっと、つよくなる」

洋画(12~)(337)

「ダンガル きっと、つよくなる」   インド映画が元気だ。上映されるほとんどの作品を無視出来ない。いっときの韓国映画のごとく、これは驚くべきことです。去年の作品では、これが最も注目すべき作品でした。     ダンガルとは、インド語でレスリングのこと。インド版アニマル浜口・京子親子を描いた作品と言えばいいか。メダルの夢破れた父親が、長女ギータと次女バビータが悪口を言う男の子をボコボコにしたのを見て、その才能に気がつきレスリングの特訓を始めます。アマチュア国際大会で、インドで初めて金メダルを獲るまでを描きます。  頑固一徹な父親マハヴィルを演じるのは『きっと、うまくいく』のアーミル・カーン。映画大国インドの大スターが27キロも体重を増やし肉体改造したと話題になりました。男物の服を着せ、髪を切り……暴走するマハヴィルの指導に、流石に姉妹も「あんな父親、要らない」と切れてしまいます。けれども、それを諌めたのは、意外にも友達の花嫁でした。IT産業を中心に急成長を遂げているインドは、それでもその人口の多さから、まだまだ地方には昔の因習が残っています。「14歳になったら、知らない男のところに嫁に出される。この国の女性の人生には、家事をし、子を育てるというほかに選択肢は無いの。それを押し付けないあなたたちのお父さんはよっぽど娘思いよ」友達の言葉をきっかけに、娘たちは「主体的に」トレーニングを始めて、大会で次々と優勝して、インド代表になるのです。これがインド映画で歴代興行収入1位を勝ち取ったのは、単なるスポ根ものではなく、社会派作品でもあったからだろうと思います。     実際に訓練したコーチからは、いろいろと事実とは違うというクレームも起きたようですが、そもそもインド映画はエンタメが基本です。ある程度の脚色はお約束。冒頭の、実況中継に合わせた対決場面など、いたるところにアイディアもあります。ミュージカルではないけど、「♪ダンガル、ダンガル」と繰り返す力強い主題歌や、トレーニングを強いられた中学生の娘たちがコミカルに歌う「♪やめて父さん、私たち体を壊すわ」 等は、とても耳に残る楽曲でした。   13億の人が住むインドが、今大きく変容しつつある。それを楽しく感じることのできるボリウッド映画でした。(2018年インド映画・ニテーシュ・ティワーリー監督作品)

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