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2019年07月20日
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「悔悟 広瀬健一の手記」(朝日新聞出版)

高村薫の合田雄一郎シリーズ新作が出版された。「冷血」文庫化で予想した通りだ。それに挑むためには、未読の「太陽を曳く馬」を読まなくてはならず、そのためには最近の新書「生死の覚悟」も紐解かなくてはならず、その準備として高村薫が序文を寄せている本書を手に取った。

何故ならば、「太陽」はおそらくオウム事件を契機に書かれたものだし、その根幹には仏教の死生観があり、オウムの真実に近づくためには、やはり犯行者本人の肉声に触れておいた方がいいからである。

「(オウム犯人の死刑は)裁いた側にも裁かれた側にも大きな不全感をのこした。なぜなら、私たち一般社会の側は事件の本質が宗教行為であった事実に蓋をするほかはなく、一方の信者たちは宗教の側からの弁明がほとんど社会に届けられないまま、一般の犯罪者として処断されたからである」(高村薫序文より)「宗教の側からの弁明」とは何か?

主な構成は4pの自筆の「被害者への謝罪文」、約55pに渡る女学院大学生に対する「カルトへの入会防止講義」への冊子原稿、100p以上に渡る武装化の経緯を書いた手記(未完)である。いくら時間があったからと言っても、私は先ず、内容よりも先に、論理的に真摯に文章を書いている広瀬の知性に瞠目した。それが何故、この狂気の所業に結びつくのか?

重要な事を箇条書きする。
(1)高校生時点で「真理は何処にも無い」と、早熟な知性は諦めていた。
(2)大学院の時に、麻原彰晃の本を読んだ後に「宗教的体験」をすることにより、真理はあると確信してしまう。
(3)「ヴァジラヤーナの救済の教え」(救済出来ない人を呪殺し、仏国土に導引する)を実行することが使命になってしまい、ポア(大量殺人)もそのための手段となってしまう。

ザクッと書けばそういう経緯で、一連のオウム事件が起きたのだと私は理解した。「手記」は、しかし武装化、サリン事件、逮捕、獄中生活、脱会の経緯については書かれていない。昨年に死刑執行されてしまったたからである。「手記」の多くは客観的な教義批判になっていて、私はスルーした。しかし、「弟子の暴走説」と「洗脳で思考停止になっていた説」をキチンと批判していたのは貴重である。

この優秀な知性でさえ、ボタンを掛け違えれば、ここまでの事を犯す。そこには「カルトだから」の一言では済ませてはいけない内容があると思う。






最終更新日  2019年07月20日 12時52分41秒
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Re:宗教オウムとは何か「悔悟 広瀬健一の手記」(07/20)   七詩 さん
広瀬健一の「悔悟」は何か月か前に読みました。
オウムウォッチャーが一頃さかんに言っていた「マインドコントロール」論を自身の体験によって否定していたことが印象的でした。実際、マインドコントロール論は元統一教会にいた米国人が自身の体験を基に書いた本が基になっており、すべてのカルト宗教にあてはまるものではないでしょう。広瀬健一は「尊師が浮遊するのを見た」ということは否定していますが、尊師によって神秘体験を経験し、それで入信していったことを述べています。光に包まれる、エネルギーを感じる等の神秘体験が他の信者にとってもやはり入信の契機になっていたようですね。知識に比べると体験は重い。麻原はある種の体質の人にそうした体験をさせる能力があったのかもしれません。将来的にはそうしたものも科学的に解明される日がくるのかもしれませんが、今の段階では不運だったとしかいえないことなのかもしれません。 (2019年07月21日 08時16分35秒)

Re[1]:宗教オウムとは何か「悔悟 広瀬健一の手記」(07/20)   KUMA0504 さん
七詩さんへ
ともかくビックリしたのは、広瀬の誠実さと知性です。現代の若者の中でも、とびきり優秀でピュアだと思いました。それが、こういう行為をしてしまう。

現代の若者が、自然科学を見るように、社会を断罪していまい、安倍政権に傾く状況の行き着く先がここにあるように感じました。今日の「99.9%は仮説」をボロクソに批判しているのは、そのためです。 (2019年07月21日 09時21分22秒)

Re[2]:宗教オウムとは何か「悔悟 広瀬健一の手記」(07/20)   ももたろうサブライ さん
KUMA0504さんへ
広瀬健一は生きていれば55歳です。オウム事件の中心的メンバーはほぼこの世代ですから、現代の若者ではありません。 (2019年07月21日 13時01分27秒)

Re[3]:宗教オウムとは何か「悔悟 広瀬健一の手記」(07/20)   KUMA0504 さん
ももたろうサブライさんへ
正確に言えば「現代の若者に通じる」と書くべきでしたね。

彼が宗教的体験をしたのは、1988年の深夜でした。彼の発した「生きる意味がないのではないか」というのは、普遍的なもので、どの時代にもあるように思えます。それがオウム事件に結びつくのは、時代が要請していて、いろんなバージョンが現代にも出ているように、私は、感じるのです。 (2019年07月21日 16時25分51秒)

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