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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:邦画(12~)
実は3日間旅をしていました。記事アップは2日ぶり。家を空けるのを大ぴらにしない方がいいのかな、と思うようになりました。ここまでブログをやると、見る人が見れば、もう家を特定できてもおかしくはない、と思ったからです。山大新聞会の同窓会です。なんやかんやあったので、また旅レポートします。ちょっと憂鬱です。新聞会の先輩たち方はみんな、私の文章にダメ出しをする「権利」があるからです。3回ぐらいで毎回長文書いてサッサと終わらそうかと思い始めました。
閑話休題。今月の労組機関紙に連載している映画評です。 「万引き家族」 私は、映画は、だけでなく芸術作品総ては、直に自分の目で見ないと「批評」しないことにしています。絵画もそうですが、映画も直接観ないとわからない事がたくさんあるからです。残念ながら最近、観ないで褒めたり貶したりする人が多すぎる。「主戦場」然り、「従軍慰安婦像」然り。 この映画は、DVで可哀想な少女を貧困家庭の父親と息子がつい拾ってしまう所から始まります。そして、万引きや年金不正受給をしながら、家族みんな幸せに暮らそうとした話です。 カンヌ映画祭パルムドールを獲ったからなのか、家族を非難する炎上騒ぎは起きませんでしたが、本当はこれらは明らかな違法です。可哀想だからといって両親から隠せば誘拐になります。家族をどのように、評価するのか?それは観た者だけが言及する権利を持っています。多分人によって変わると思う。物語の真実は、たいていは揺れて微妙な処にあると、私は思っています。だから、祖母(樹木希林)、夫(リリー・フランキー)、妻(安藤サクラ)、叔母(松岡茉優)、息子?の祥太(城桧吏)そして拾われた少女のゆり(佐々木みゆ)たちは、そういう微妙な監督の要請にきちんと応えて絶妙な演技をしていたと思います。 また彼らは、ちゃんと罪にも向き合っていました(リリー・フランキーだけは疑問符がつきますが)。それだけではない。樹木希林が海を見ていたとき、安藤サクラが「何なんだろうね」と涙を拭ったとき、松岡茉優が無人の引き戸を開けたとき、城桧吏がけじめをつけたとき、佐々木みゆがラスト「外」に何かを見つけたとき、彼らは何かをつかんだような気がします。 あ、それから、日本の貧困に対するセーフティネットの欠如の告発もありました。老人の年金受給が2ヶ月で12万円もない。日雇い労働者が明らかに仕事中事故をしても、労災が下りない。長年勤めている非正規労働者の首切りが平然と行われる。こういう社会ががさりげなく描かれていました。SNSでは「政府から助成金もらっているのに、そんな告発映画作っちゃダメだろ」といっとき話題になりました。「忖度」意識も極まれりですね。改めて言いますが、そんなことをいう若者(だけじゃなく大人も大勢いるけど)の殆どは、作品を実際に観ずに言っています。映画の批判は、作品を観てからにすべきです。 (2018年監督・脚本・編集:是枝裕和作品、レンタル可能) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年09月16日 19時14分45秒
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