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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「心臓」奥田亜紀子 リイド社 1月8日の夜コンビニで、ビックコミックオリジナル増刊号を立ち読みして衝撃を受ける。奥田亜紀子「あんきらこんきら」は、認知症のおばあちゃんの心の世界を、マンガでしか描けない方法で描いていた。次の日には、奥田さんの昨秋に出た6年ぶりの単行本を買っていた。 2011年のデビュー作から昨年5月の最新作まで、短編6作が収録されている。 確かに表題作「心臓」は、なんとも衝撃的でかつ、わかりやすいデビュー作をつくっていた。心臓に持病があって余命宣告さえ受けている女子高生の心の内を、身体の周りにコロボックルのような村人たちを配して描く(←説明しても意味わからんですよね)。表現はリアル。 一方、アフタヌーン四季賞準入選を獲った「ニューハワイ」(2008年)は、20代フリーターの女性の不安定さを、独特なタッチで描くちょっと異質な作品。異質な自分を見つけたくて、暗中模索している。 生命のゆらぎ。世界は、一面じゃない。暗中模索、行ったり来たりしながら、最近は目に見える風景が、実は二重にも三重にも意味ある風景に見えてゆく作風に変わっているような気がする。特徴的なのは、難解のように見えてとてもわかりやすいこと。でもまだ謎はある。それはおそらく作者のせいではなく、私の感性がそこまで届いていないからなのだろう。そういう作家だと思う。 かなり寡作だと思う。けれども新刊が出て、約半年の間に2作の新作が出た、ということは動き出したという証拠なのだろう。高野文子系列だけど、恐ろしいほど絵が上手いわけではない。世界観を愉しむ作家である。どうしても読んでおくべき作家かと聞かれたら、私は是と直ぐには答えられない。けれども出来たら、立ち読みで増刊号は読んで欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月12日 08時30分38秒
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