|
テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「桃太郎は盗人なのか?−「桃太郎」から考える鬼の正体−」倉持よつば 新日本出版社 滅多に五つ星は付けない私ですが、文句無しの五つ星!六つ付けても良いくらい。着眼点→仮説→調査・研究→仮説→研究→結論への道筋が素晴らしい!大人の私も「負けました!」。しかも、写真もイラストもよつばさんオリジナル、物凄くわかりやすい! 去年偶然、芥川龍之介の「桃太郎」を読んだ時には、理由なく鬼を退治し、三匹の子分と共に極悪非道の限りを尽す桃太郎は、芥川特有の軍国日本を皮肉ったパロディであり、基本的に彼の創作だと思っていました。そうではなく、これは江戸時代に種本があって、それを元に少し時代に合わせて変えただけだったんですね。 私は吉備の国の住人なので、もともと桃太郎(吉備津彦)が鬼(温羅)を侵略したのだと思っていましたが、そういう単なる「意見」とはレベルが違います。小学5年生のよつばさんは「あの有名な福沢諭吉」が「桃太郎は盗人だ」と言っていたという事を読んで夏休みをまるまる使って徹底的に調べたのです。図書館レファレンスを使って200冊の本を調べて、博物館の学芸員に協力してもらって古文を読んでもらって、県内や近県や親戚の県に実地に行って神社を見たり、詳しい人の話を聴いて「調査・研究」しています。そこで優しい鬼を見つけたりして、鬼の正体を7点に絞ってまとめています。移動はお母さんの手を煩わせていますが、基本的に全て自力で、「まとめ」まで漕ぎ着けています。「あれ」だけをひと夏だけで?うーむ、参りました。 私は20数年来の研究テーマがあって、朝鮮半島へも何回も行きましたが、結局彼女のようにまとめることができていません。申し訳ありません。 桃太郎盗人説も、鬼の正体も、彼女が調べる前から実は詳しい研究書はあります。けれども、おそらく彼女の研究は、それを何処か一部分では突き抜けているのではないか?と思う。それほど鋭く分かりやすいものでした。 全ての小学生高学年へ。全ての研究テーマを持つ大人に、読んでもらいたい! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月27日 08時50分22秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書(ノンフィクション12~)] カテゴリの最新記事
|
|