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テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「秦の始皇帝 焚書坑儒を好しとして」吉川忠夫 集英社 実は始皇帝にはあまり興味はない。「焚書坑儒」で本の題名を検索したときに、もっとズラズラッと書名が並ぶかと思いきや、まともな学術書としては本書しか出てこなかったのである。「十二国記シリーズ」の感想を書くに当たって参考にするべく取り寄せて紐解いた。 因みに、「紐解く」という言い方を私は多様するが、その謂いは古(いにしえ)の書物が竹簡であって、紐を解いて読み始めたことに由来する。始皇帝34年(BC213年)、丞相李斯は「太古の五帝の理想政治が、新しい始皇帝の政治を妨害している」として「『詩経』『書経』ならびに諸子百家の著述を全て提出させて一括焼却するべきだ」と献策した。かくて陝西省渭南県カイタイハに於いて焚書を断行する。翌年には始皇帝を批判する方士や儒学者460余名を坑儒(殺し)てしまった。そのときに焼かれたのも竹簡であって、おそらく何日も火は消えず、生涯をかけて守り究めてきたはずの学者にとっては、身を焼く想いであったろうと想像する。 この本には、そのときに焼却処分になった書物の題名や、免れた書物のこと、またはその前後のエピソードを一巻かけて書いているのかと思いきや、ほとんどは始皇帝の一代記であって、小説やマンガではなくて学術的に正しいことを書いてはいるのだろうが、私の期待するものとは違った。 但し、少しだけは明らかにしている。例えば儒教の基本書物である書経の運命。泰山の麓の90歳にもなろうとする儒学者が、土壁の中に書経を塗り込め、後に取り出したときに数十巻が不明になっていたので、儒学者が暗唱していた文言を娘に伝えて後世の学者に遺したと言う。そういう訳で、現代の我々は書経の中身を知ることができる。書経は、それで良かったかもしれない。他の書物はどうだったのか?一切わからない。 わからないことは、想像出来るということでもある。 あまりダラダラ書いても仕方ない。とりあえず、参考になったと言っておこう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年05月03日 17時43分47秒
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