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2020年06月03日
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テーマ:本日の1冊(3194)

「図書 2020年6月号」
新型コロナウィルスを話題の中に取り入れた寄稿者は、16人中4人(も?だけ?)居た。表紙の解説を書いた林修さんは省略するとして、3人の論者の言は全て素晴らしいので順に紹介してゆく。宮本憲一、斎藤真理子、藤原辰史である。

公害学の権威・宮本憲一氏は巻頭言で以下のように警笛を鳴らす。簡潔にして的を得ている。

新型コロナウィルスは、この社会のシステムの欠陥を明らかにした。被害の特徴は公害と似ている。公害は年少者・高齢者・障碍者等の生物学的弱者と社会的弱者に集中するので、自主自責に任せず社会的救済が必要である。金銭賠償で復元できない不可逆的絶対的損失を発生させないためには予防が第一である。新型コロナウィルスの被害も公害と同じようだが、予防が難しい。しかし同じく予見の難しい自然災害の予防で取られる「事前復興」対策が検討されてよい。まずは公衆衛生を軸とする医療体制の改革であるが、根底は被害を深刻にした東京一極集中の国土と文明の変革である。(1p)

宮本氏は、この後ペストと大火の後に行われたロンドン都市再建計画を紹介し、また、リニア新幹線計画をまず白紙に戻せと提案する。

翻訳家・斎藤真理子氏は、1949年に発表された林芙美子の「骨」という短編を俎上に乗せる。『晩菊・水仙・白鷺』(講談社文芸文庫)所収。戦後の最貧困の中の生活を描いた「結核小説」である。

老齢リウマチの父親、結核で寝たきりの弟、7歳の娘、自らも結核持ちで売春を始めた未亡人の4人家族が、お互い傷つけあいながら生活をする。熱心な従軍作家だった林芙美子が、戦争に負けた日本の男を丸裸にして晒す。そんな「刺身の断面」のような作品らしい。
斎藤氏は、今までは「最悪の場合に恐慌をきたさない危機管理のため」にこういう小説を読んできたという。しかし、それも現代では結核は克服出来ているという安心感があったからだ。これからは林芙美子に危機管理の役割を求めない、という。
「私たちは、これから何年かけて何を経験するのかもまったくわからない世界の前に立っている」からである。

歴史学の藤原辰史氏は、ずっと赤坂憲雄と往復書簡の連載をしてきた。今回の騒ぎで環境がすっかり変わったことを嘆きつつも、赤坂憲雄が東日本大震災の後に、東北とどのように向き合ったのか感じながら過ごしたという。何故ならば、それが歴史学者の自分にも迫っているから。

「第一次世界大戦のあと、(略)世界への変革の環境がこれほど整っていたにもかかわらず」何故それが第二次世界大戦に結び付いたのか。

「思考する人間たちがあれほど優れた作品を残しているのに、どうしてこの程度の社会しかいま存在しないのか」

「こんな時代は、この世の生を狂い歌う叙事詩を聴きたいのですが、残念ながらその名手であった石牟礼さんはあの世にいて、私はあのような狂気を歌う能力を持ちません。ただひたすら、未曾有のパンデミックと大失業時代に直面して、これまでの社会の矛盾が白日のもとに晒されたいま、当時を体験した人びとの声を聞き、それをまとめていくことしかできません」

アフター・コロナのあとに資するため、藤原さんは「未遂に終わった改革」の屑拾いをするらしい。私たちにできることはなんだろう。






最終更新日  2020年06月03日 14時30分49秒
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