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2020年06月03日
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テーマ:本日の1冊(3182)

「神話と文学」石母田正 岩波現代文庫

コロナ禍だからというわけでもないのだが、本棚から途中挫折本を見つけた。20年前の1月、岩波現代文庫創刊の時に衝動的に買ったもの。

20年前から私の問題意識は、日本の英雄伝説を歴史学の側面から読み解くというものだったと、今更ながらに再確認。「古事記」「指輪物語」や「十二国シリーズ」を読んだのもその流れなのだが、改めて進捗がない。けれども、あれから20年、私も少しは進歩はしたと見えて曲がりなりにも読み通すことはできた。

石母田正の本書は、戦後の歴史学を牽引し続けた著者の「中世的世界の形成」の前段階にあたる。「古代に英雄時代は果たしてあったのか」という論争を引き起こしたことでも有名である。石母田が、唯物史観やヘーゲル哲学を積極的に論文に引用したことから、「彼の論考はもう古い」という「石母田読まずの石母田語り」の青学生が多く居ることも承知している。「丸山真男読まずの丸山真男語り」が多く居るのと同様ですね。今回一通り読んでみて、壮大な構成と強烈な個性、そして一点突破の指摘の鋭さは、論文発表から70年以上経った今でも色褪せていないと思った。

日本の古代は、ギリシャのそれとは違い、「民衆の精神や感情や生活を体現しているような叙事詩」としての英雄伝説を持たなかった。散文詩になったのは何故か。「古事記」編纂の時期に、なぜか貴族階級が「階級的であると同時に民族的で」なかったからである(←難しいよね。易しく説明できません)。

「我が国の古代貴族の文学は、散文的英雄(神武天皇)と浪漫的英雄(ヤマトタケル)を形成し得たが、叙事詩的英雄は、若干の断片的歌謡(神武東征物語の歌謡群)にかすかにその存在を記録したのみで、ついに物語として創造し得なかった」139p‥‥()内は、私の注。

石母田の「英雄時代」は、十分に深められないまま現代に至っているという。宜なるかな、と私は思う。石母田は大和王朝が圧倒的な武力で他を圧倒して、それを貴族階級が支えた、だから統一王朝が出現したと考えているようだ(その割には貴族階級にその記憶がない)。私は、古墳時代はその可能性はあるかもしれないが、邪馬台国から大和王朝に至る統一は「そうではない」可能性があると思っているし、実際唱えられている。その考古学的発見については、石母田は知る由もなかった。

文学を歴史的に読むとは、こういうことなのか、ということを知った読書体験だった。









最終更新日  2020年06月03日 14時36分50秒
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