6848510 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

再出発日記

再出発日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

カテゴリ

お気に入りブログ

徘徊日記 2024年4月… New! シマクマ君さん

「貧困パンデミック… New! Mドングリさん

釜山旅行2024春旅2… New! suzu1318さん

「数の悪魔」(エン… New! 七詩さん

入居清掃(ハウスク… New! はんらさん

カレンダー

2020年06月13日
XML
テーマ:本日の1冊(3683)

「ツバキ文具店」小川糸 幻冬舎文庫

小川糸は、好みの文体なのでハマることを怖れて手をつけなかった。昨年夏に妹が脚を骨折して2ヶ月間入院した。暇なんでなんか本を持ってきて、とのたまうので宮部みゆきやら北方謙三やら東野圭吾やら上橋菜穂子やら持ってゆくと、半分近くは読んでくれたようだ。その時に、「私が読んで良かったのは、ツバキ文具店、あれは良かった」と言った。テレビでやっていたので、だいたいの中身は知っていたので、あ、そう、と応えておいた。が、ずっと引っかかっていた。妹が本を薦めるのは、かなり珍しい。

やっと手をつけた。

古い佇まいの文具店。先代の遺したものを、どのように生活に取り入れるのか。私たち兄妹にも共通の景色と課題があり、少し彼女の気持ちが見えたところで、話の中に次第と入ってゆく。

まさかひとつひとつの手紙を、全てプロの書家に頼んで我々に提示してくれていたとは知らなかった。テレビドラマでは一瞬で終わる手紙を、じっくり味わうことができる。萱谷恵子さんの描く字は、芸術家の書ではなくて、いわば職人の書だ。注文に応じて、注文者が満足するように仕上げる。決して展覧会に掲示されることはなく、でも誰かが喜んでくれる。ペットのお悔やみ状、離婚報告書、元カノへの近況報告手紙、借金御断りの手紙、天国から妻へのラブレター、近所の5歳の女の子QPちゃんへの手紙、絶縁状、そして大切な亡き祖母へ書くあるがままの自分の手紙。総てを、こうでなくてはいけない文具の体裁を整えて我々に提示する。ほとんど芸術だけど、アートじゃない。発信する人と受け取る人、その人たちの気持ちがあってこそのかけがえのない世界で、一つの手紙だ。断じて芸術じゃない。職人は丁寧な生活をして、丁寧な作品を仕上げる。

作家・小川糸がどうやらそういう生活を送っているだけでなく、字描きの萱谷恵子さんも、「書道家」ではなくて、普段は映画の美術などをしている職人らしい。

でも単なる代書屋じゃなくて、唯一無二の職人だろう。私の県に代書屋ってあるのだろうか、と検索したら案外あるわあるわ。表彰状から選挙の必勝まで、考えたらプロの書は巷に出回っている。でも決して鳩子さんのように、相手の意を汲んだ「手紙」は書かない。書けない。少なくとも、調べた限りでは鳩子さんのような代書屋はいない。「続編」は紐解くことに決めた。

妹が発見することは決してないだろうけど、文庫の左上スミにパラパラ感想を書いて置いてみた。一画一画描いていけば良いので、左下スミのパラパラ漫画のように凝ったもんじゃない。90ページ分使った。
「初小川糸、面白かったよ」と。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020年06月13日 13時27分59秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書フィクション(12~)] カテゴリの最新記事


キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504@ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月
・2023年10月
・2023年09月

© Rakuten Group, Inc.