再出発日記

2020/08/07(金)10:48

7月に観た映画A

洋画(12~)(337)

七月に観た映画は、少し鑑賞ペースが復活して6作品、まだまだいつもの調子ではない。でも少しずつ心と身体を治して(直して?)いきます。二回に分けて紹介する。 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」 コロナ禍で、すっかり映画館に行かない生活が身についてしまった。一旦足が遠退くと、なかなか一歩が踏み出せない。私の悪い癖だ。ブリがついたら、また始まると思う。そういうわけで、今年のアカデミー賞の一端を賑わせた(衣装賞)今作を見ることにした。19世紀初めの北部アメリカの雰囲気がよく現れている。 邦題から、てっきり原作者の半生を「若草物語」になぞりながら作ったオリジナル脚本かと思いきや、思いっきりオルコット原作の脚色だった。だったら、「新・若草物語」とでもしてくれたらよくわかるのに。 最終シークエンスにおいて、これが一種の少女たちの理想姉妹物語の反映だとわかる。結婚、理想、恋愛、女性の理想を、ほとんど大きな葛藤もなく、妹の病死はあるが、悪い人は出てこないで着地する。「姦(かしま)しい」とは、こういうことを言うのか、とも分かる。 (ストーリー) しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断って、作家を目指す。 (キャスト) シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、エマ・ワトソン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ、ルイ・ガレル、クリス・クーパー、ボブ・オデンカーク、ジェームズ・ノートン (スタッフ) 監督・脚本:グレタ・ガーウィグ 原作:ルイザ・メイ・オルコット 製作:エイミー・パスカル、デニーズ・ディ・ノヴィ、ロビン・スウィコード 音楽:アレクサンドル・デスプラ 衣装:ジャクリーン・デュラン 2020年7月7日 MOVIX倉敷 ★★★★ 「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」 老いてなおみずみずしい感性を持とうとするウディ・アレン監督の脚本に驚嘆するばかり。 ミューズはミューズとして輝きながら、今回は美しい青年のみずみずしさにヒューチャーした。 アシュレーもギャッビーも、若き日のアレン監督さえ出てくる様なそんな遊びを見せながら、母親の出自を知った後の、彼の軽い自由さが心地よい。高等遊民の何処が悪い。その成れの果てのアレン監督自身が、その価値を証明している。 STORY 学校の課題として著名な映画監督ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイバー)のインタビューをマンハッタンですることになった大学生のアシュレー(エル・ファニング)。彼女と恋人のギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、それを機に週末をマンハッタンで楽しむことに。ニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内しようと張り切るが、ポラードに新作の試写に誘われた彼女が約束をキャンセルするなど、次々と予想もしていなかった出来事が起きる。 キャスト ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーヴ・シュレイバー、アナリー・アシュフォード、レベッカ・ホール、チェリー・ジョーンズ、ウィル・ロジャース、ケリー・ロールバッハ スタッフ 監督・脚本:ウディ・アレン 製作:レッティ・アロンソン、エリカ・アロンソン 共同製作:ヘレン・ロビン 製作総指揮:アダム・B・スターン、ハワード・フィッシャー、ロナルド・L・チェズ 撮影監督:ヴィットリオ・ストラーロ 美術:サント・ロカスト 編集:アリサ・レプセルター 衣装:スージー・ベンジンガー キャスティング:パトリシア・ディチェルト 上映時間 92分 2020年7月18日 MOVIX倉敷 ★★★★ https://longride.jp/rdiny 「精神0」 前半は「精神」の様な緊張感ある映像が続く。どう緊張感があるか、というと、次々とやってくる患者さんたちは一見して普通の人と変わらない、ところが、一様に山本先生が辞められてしまうと明日から私はどうしたらいいのか、と不安を語り、あるいは十数年の診察に感謝する。緊張感持って観察していると、患者が何処かに病気を抱えていて、十数年間でやっとここまで普通に話すことができるようになったのだと納得する。 映画冒頭、おそらく県立図書館で開かれた退任記念の講演会映像がある。山本先生は云う。「この前身体の不具合があって、朝食や昼食食べるのも面倒になって軽い鬱のようになった。すると子供たちが、身体を動かさないと病気になるよ、食事を取らないと悪くなるよ、と云う。それができないから、こんなになっているんだ、と言いたかった。患者たちは、ホントにすごいと思う。ずっとこんな理不尽な周りの声に堪えてきたのだから」改めてホントにそうなんだなあ、こういう先生だから信頼を勝ち得ているんだな、と思った。 後半は、しかし認知症になった妻のために、寄り添いながら退官してゆく山本先生の姿、奥さんの容子さんのことをゆっくりと追う。時々12年前の元気な頃の奥さんの映像が挟み込まれる。見事に容貌が変わっている。現在は、一言で言えば貌がむくれている。今はすべての食事は、山本先生が買うか、貰っている。そのせいか、純粋に病気のせいなのか、奥さんは言葉少なになり、ゆっくりと老いていた。昔は先生の方が老けていたのに。それでも、2人は仲睦まじい。近所の奥さんの話友が見事に、60年間の夫婦生活を見せていた。 観察映画第九弾らしいが、ベスト3に入る傑作である。 introduction 「こころの病」とともに生きる人々がおりなす悲喜こもごもを鮮烈に描いた『精神』から10年— 映画作家・想田和弘が、精神科医・山本昌知に再びカメラを向けた ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった…。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。 病とは、老いとは、仕事とは、夫婦とは、 そして愛とは何か? 想田和弘監督自身が「期せずして“純愛映画”になった」と語る本作は、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門〈エキュメニカル審査員賞〉を受賞。また、ニューヨーク近代美術館(MoMA) Doc Fortnight 2020のセンターピースとして上映されること早々に決定した。『港町』『ザ・ビッグハウス』を経て、さらに深化した「観察映画」の最新作は、そう、愛の物語だ。 2020年7月19日 シネマ・クレール ★★★★★ https://www.seishin0.com/

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