6856508 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

再出発日記

再出発日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

カテゴリ

お気に入りブログ

韓国旅行2024春旅3… New! suzu1318さん

ネイルとデザート屋… New! はんらさん

消滅自治体の前に県… New! 七詩さん

源氏物語の紫式部日… New! Photo USMさん

ピーター・グリーナ… New! シマクマ君さん

カレンダー

2020年08月18日
XML
テーマ:本日の1冊(3685)

「第四間氷期」安部公房 新潮文庫

文庫本は昭和45年発行。平成19年現在39刷。昭和33-34年、雑誌「世界」連載。連載が終わって61年経っているのに、古くならないどころか、益々新しく、現代を批評しているかの如くである。

安部公房はまともに読んだことがない。純文学とか、不条理文学とかだと思っていたから。ところが、今回は全体の半分はSFで、半分はミステリだった。もちろん、純文学らしく何言ってるんだかわかりにくい所もある。私はそれを「現代版黙示録」として読んだ。いや、半分本気です。満州から引き上げる途中、安部公房は時空の裂け目に落ちて、神に導かれてちらりと未来を見て帰ってきたのではないか?だから、電子計算機(AI)が未来を語り、死者の脳から殺人事件の顛末を語らせるという不可思議な、しかし23世紀ごろには現実になりそうな現象も描けるのではないか?

しかも、東野圭吾もあっと驚く、意外な犯人が出現する、というかそういう映画をたくさん観た現在ではほとんど予測はついたけど、エンタメミステリーも描かれる。

安部公房は、もしかしたら気温が41度を越すような日本の夏の風景を1-3秒で通り過ぎたのかもしれない。いや、もっと酷い未来を、例えば日本列島のほとんどが沈没しているような未来を神の目のようにチラリチラリと観て、還ってきたのかもしれない。小松左京が「日本沈没」を書くよりも10年以上前に、安部公房は黙示録的に日本の未来を描いた。大洪水のあとに暮らす我々の子孫。

未来予測機を開発した先生に、助手の頼木は言う。
「(先生は)観念的に未来を予測することには、強い関心を寄せられたけど、現実の未来に対してはどうしても耐えることができなかった」
それは、地球温暖化やコロナ禍の下、やがて近づくカタストロフィに「耐えることができなかった」我々のことを予測する言葉なのかもしれない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020年08月18日 18時11分26秒
コメント(2) | コメントを書く
[読書フィクション(12~)] カテゴリの最新記事


キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504@ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月
・2023年10月
・2023年09月

© Rakuten Group, Inc.