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2020年09月21日
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テーマ:本日の1冊(3686)

「猫の事務所」宮沢賢治 青空文庫
月一度の賢治再読。ずーとしばらく、賢治作品の中では見向きもされなかった作品ですが、ますむらひろしがマンガ化したりして、批評する人も多くなってきた作品です。何故注目されたのか。実に上手く「いじめ問題」を扱っているからでしょう。

青空文庫で、10分少々で読めますので、是非読んでください。猫の事務所とは、軽便鉄道の停車場の近くにある猫の歴史と地理を調べる役所です。4人が定員で欠員が出たので、最難関の1人に就いたのが「かま猫」でした。かま猫は、他の3人からジメジメとしたいじめに遭います。何故かというと、皮膚が弱くて寒さに弱いために、いつも竃(かまど)の中で寝ていて、煤で黒く汚れているからです。「なんでこんなヤツが、我が名誉ある事務所にいるのか」(とはあからさまには書いてはいませんが)三毛猫などの他の所員は、それでも仕事は優秀なかま猫を面と向かって悪く言えないのでいろいろ難癖をつけます。流石に事務長だけは、同じ黒猫のよしみで庇っていたのですが、遂に風邪をひいて1日だけ休んだ時に嘘を吹き込まれて次の日にかま猫が出てきた時にはすっかりいじめに加担してしまいました。遂にかま猫は涙腺が崩壊してしまいます。

さて、この後、このいじめ問題は、ちょっと斜め上からの出来事が起きて、意外な「解決?」をみます。

語り手の賢治は、この解決法について「半分同感です」と言って、物語を終わらせるのです。さて、この最後の解決法と賢治のコメントについて、様々な研究と意見が交わされているようです。

まるで現代のブラック企業のようで、「すわ、その先駆けか!」という評価は当たらなくて、事務長は当初味方だったわけだから、どちらかというと学校カースト制の中での先生の豹変問題と被っているとみる方が正確でしょう。

今回気がついた点は3つ。
(1)数少ない、生前発表作品のひとつでした。昭和2年の文芸雑誌「月曜」発表。改めて、賢治作品の普遍性について感心しきりです。
(2)有名なラストの作者のコメントの前に、実は作者はもう一つコメントしていました。2つのいじめエピソードがあるのですが、最初のそれで、まだ事務長がまともだった時に作者は「みなさんぼくはかま猫に同情します。」と言っているのです。このコメントと「半分同感」とはどう違うのか?多分、ラストの解決法に対する批判だと思います。わたしはこの立場です。他の見方もあります。かま猫は、あの解決を見る前にきちんと対処すべきだった。そのことに対するかま猫への批判だというのです。それは私は違うと思います。
(3)最後の解決法は、まるで天から降ってきた超常現象のように見えるのですが、賢治は何処からこれを発想したのでしょうか?仏典の中にあったのでしょうか?あまり無いようにも思います。もしかして、現実問題で同じ様なことがあったのでしょうか?賢治はこの年の春に、4年間勤めていた学校の教師を辞めたばかりです。あったとすれば、アレはなんだったんだろう?読み終えたあとにいろいろ話し合いたい作品です。





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最終更新日  2020年09月21日 11時15分54秒
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