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2020年10月30日
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テーマ:本日の1冊(3685)

「図書学辞典」長澤規矩也編著 三省堂

後書き(跋とも言うらしい)を見ると、著者の喜寿を記念した復刻版らしき説明。しかしながら、昭和何年刊行の本を復刻したのかわからない。著者の序文(編者や出版の次第を記した文章)を見る限りは、この時のために大幅に書き直したように見える。だとすると、昭和54年段階の新刊本となろう。だとすると、現代利用する辞典としては、いろいろ不満が出てくる。

例えば、我々が通常使用する言葉が出てこない。「新刊本」という言葉はない。「新印本」「新本」として書いている。「新書判」「文庫判」とあり「新書」や「文庫」という言い方はしていないし(もっとも「新書」は、元々は古い綴り本に対応した西洋式装訂本らしい)、「文庫」の場合は「鴎外文庫」というような、個人の蔵書のことを言っている使い方も紹介されていない(「きたきた捕物帖」において北一は本箱たる文庫を売っていたが、この辞典ではその意味は紹介されていなかった。宮部みゆきの造語の可能性はある。辞典では「書函」とか「本箱」が載っていた)。「重版出来」も無かった。ごく最近の使い方なのかもしれない。「出来(しゅったい)」は出てこなかった。「コピー」という項目もない。

悪いことばかり書いているけど、斜め上から読むのは私の性分なので仕方ない。もちろん、参考になったところ多々あった。図書館に返却するまでのあと2週間、手元に置いておこうと思っている。

参考になったのは、以下の部分。

「類」の書評で類の著作を「再販して欲しい」と書いたが、間違いでした。「再販本」は「2度目に出版された」本のことであり、もう一度作り直さなくてはならない。「重版」のほうが正しい。

中国を「シナ」としているのは、著者の見識だろうから私は良いと思う。

「図書」は、書籍の意味の他に、「史記」において「絵図と書類をまとめたもの」という意味で使っていたらしい。書類に絵図をつけるのは、二千年前からの伝統だったことに改めて感動する。

「篇」(もと簡策。まとめをいう語、後世は、一部の書物中の大きなひとまとめをいうことば。)なので、一般に「鬼滅の刃」の「無限列車へん」をいうときに「編」を使っているが、「篇」の方が正しそうだ。

古本コレクターは「稀覯本(きこうぼん)」という難しい漢字をよく使うが、「稀本」のことであり、さらにいえば「珍本」(世間で珍しい本、めったにない本)と同語なので、珍本といえば良いと思う。
因みに古書は(東洋古来の装丁による本)という意味なので、これからは古本を使っていきたい。

「蒟蒻版・ゼラチン版・寒天版」という、とても面白い印刷(コピー)のされ方があった。すべて(紫色の特殊インクで、すべすべした用紙に書いたものを原稿とし、これをゼラチンに水とグリセリンを加えて煮て固めたものに転写し、すべすべした用紙に印刷した本。明治・大正のころ、設計図などはよくこの方法で印刷された)である。青写真版とよく似ているが、青写真版の説明は(青地に白色で文字や図表を表す複写印刷法)と、とっても素っ気ない。ゼラチン版て、いったいどんな印刷に仕上がるのか?とっても気になる。(調べたら、「坊ちゃん」の中で「蒟蒻版」が出て来ているらしい)

現代では失われた語句が多数入れられていて、戦中か戦後直ぐの図書学の本としては、コンパクトで良いのかもしない。中国古典、江戸時代や近代の本を調べる時の語彙については、非常に細やかで調べやすいと思います。





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最終更新日  2020年10月30日 16時04分31秒
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