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2020年11月25日
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「吉備の大王の物語」藤井正 文芸社

弥生時代、国の無い状態から、やがて倭国乱れる時を過ぎて、日本の少なくとも西日本が統一されたのは3世紀だと言われている。その物語は、本来は日本史上最大の事件のはずである。時代小説を書くのならば、外すべきではないイシューのはずだ。しかし作品はない。何故ならば、文献資料が一切ないからである。事件から50年以内に書かれた文献ならまだしも、記紀は300年以上経っている。

まともな作家は、この時代を書かない。だとすれば、アングラ作家が挑戦するのだろう。そうやって、時々現れる作品がある。コレはそのうちの一つである。一生懸命書いているとは思うが、ダメだった。考古学文献も読んで、いろいろ参考にしているが、知識として入れているだけで、至る所に現代的表現を使用していているし、キャラも立っていない。小説の形を借りた歴史評論になっている。

‥‥と書いているのは、私には私なりの「物語」が既にあるからであって、こういう批評は作者にとって迷惑でしかないとは思う。「こういう小説もあって良い」という感想が正しい感想なのだろうけど、私はもしかして違和感ありまくりでも作品としてまとめた力技に嫉妬しているのかもしれない。

そもそも私がこの作品を是非読みたいと思ったのは、統一の立役者を卑弥呼でもなく、大和の王でもなく、吉備の大王にしたからである。考古学知見を持っていれば、それは「あり得る想定」ではあるのだが、おそらくこの作品はその嚆矢だろうとは思う。そこだけは評価できる。あとはホント申し訳ないけれども、違和感、異論ばかり。

一応Amazon上の「説明」から「あらすじ」を引用。
197年、吉備のある若い王が「纒向」に出向くことを決めた。しかし、近畿の長髄彦と出雲のオオナムチも同じ場所に向かっていた。だれよりも早い纒向入りを目指し、若王は見事なまでにその理想を実現していく。神話に登場する数々の人物たちの姿を追いながら、多くの謎に包まれた若王の姿を描く。――この若王とは、一体誰のことなのか。今までにない、型破りな古代小説誕生。

この後、近畿・吉備・出雲の大王からなるヤマト連合政権が北九州の邪馬台国の卑弥呼に戦争を仕掛けて破り、吸収していく様を描く。


全部書くとキリがないので、最大の違和感を3点述べる。
(1)登場人物たちは、何故か戦争をして勝たないと目的を達することができないと固く信じている。しかし、犠牲を払って戦争をする理由がどうしても見つけることができなかった。一方、彼らの最大の行動規範であるはずの「宗教的信念」は描かれない。登場人物は、中世戦争史観で動いているのかもしれない。
(2)どうして記紀神話との整合性を持たせようとするのか、私には理解出来ない。それと、魏志倭人伝との整合性もつけようとしているので、かなり無理筋の物語になっている。記紀神話は軽く見るべきだというのが私の意見である。
(3)都がなぜヤマトになったのか?説得力ある理由を提示できていない。

私としては、記紀も倭人伝も無視した「統一物語」を作れないかと模索している。そんなら早く書けよ、と言われそうだ。その通りでございます。






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最終更新日  2020年11月25日 11時01分48秒
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