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テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」矢部宏治 ちくま文庫 2010年、本書の取材をした矢部宏治さんの人生が変わったように、1990年「沖縄の人はみんな知っていること」を知って、私の人生も少し変わった。そのことを書けば怖ろしく長くなるので、何とかして1/1000にまとめる。 沖縄には、日本の矛盾の塊りがある。一言で言えばそういう事を知ったのである。 単なる職場の平和サークルの学習旅行のために、今考えればどうして、ひめゆり隊の生き残り宮城喜久子さんが「語り部出張」にやってきたのか?どうして、あの有名な反戦地主の島袋善祐さんが対応してくれたのか?沖縄平和委員会事務局長が「安保の見える丘」を案内してくれたのか? と、書いても本土の人の大部分には知らない人たちだろう。詳しく解説する余裕はない。本書にも登場しない。ただ、矢部宏治さんも驚いたように、未知の単なる物好きのような矢部さんの取材にも沖縄で会う人全員が親切丁寧に沖縄基地の案内をしてくれたらしい。当初数ヶ月かかるかと思われた取材が2週間で完結したのは既視感があった。何しろ、私たちは2泊3日で沖縄の真髄に触れたのだから。沖縄で普通にニュースで流れていることは、本土では全然流れない。沖縄の人たちは、みんな知ってもらいたいのである。沖縄のことを。 矢部宏治さんが、沖縄問題や基地問題について何冊も本を書いて、ベストセラーを連発するようになったのは、2010年6月鳩山内閣の崩壊に疑問を持って沖縄に乗り込んだ時かららしい。その時まで誰からも本質的なことは聞けなかったのに、沖縄の人は一様にその本質を知っていたと言う。 「13年前と同じなのよ」 しびれるコメントです。基地の問題にくわしいキャスターや新聞記者、学者もいるはずなのに、どうして本土ではそういうことを言わないのか不思議でしかたありません。(68p) 1997年12月21日、辺野古の海上基地建設をめぐって名護市で市民投票が行われ、反対派が勝利した。その結果を受けて、反対派として当選していた比嘉鉄也市長(当時)は東京に行って橋本龍太郎首相と会う。すると、なんと「受け入れ」を表明。「同時に辞任する」意向を伝えた。 その仕組みは、遡れば細川首相が福祉税導入に失敗したからではなく「北朝鮮の核」のために辞任したことにも繋がるらしい。細川首相辞任のことは知らなかったけど、ある程度平和運動に関わり沖縄に何回か来たことのある者にとっては、矢部宏治さんの話は既視感のある話ばかりである。近くは仲井眞知事が東京で一夜で県民を裏切り、辺野古容認に走ったのが2013年年末だった。その直後に翁長知事が誕生しなかったら、どうなっていたか。反対に言えば、沖縄は良くぞあの時踏ん張ったのだ。そういう危機感を本土は共有していない。 本土では、お昼の番組で北朝鮮のことは毎日しゃべるけど、沖縄のことはその1/100も喋らない。 矢部宏治さんと同じように、矢部宏治さんよりも前に、私は沖縄に行き世界観が変わった。そのきっかけとなり得る、沖縄の地図と解説と写真と歴史的解説がこの本にある。騙されたと思って、この本をガイドに2泊3日で沖縄旅行をしてみるがいい。「この本には、こんな事を書いているのですがホントですか?」そう言って沖縄の人に聴いて見てみたら?もしかしたら、貴方の人生も変わるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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