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テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「新型コロナ 見えない恐怖が世界を変えた」発行所 (株)クレヴィス 昨年8月28日発行。新型コロナの世界各地の写真リポートである。前書き後書きなし。編著者名を明記していないので、おそらく発行社プロデュースの写真ニュース的な緊急出版だと思う。撮影日・場所・状況等の短いキャンプションのみがついている。 それでも、写真だけが見せる異様な記録になっているところが、この未曾有のパンデミックの異様さを証明している。 表紙は緊急事態宣言発令した後の4月18日。まるで早朝の如くではあるが、銀座のSEIKO時計は午後1時前を指している。その他の日本全国各地のゴーストタウン、そしてメルボルン、イラク、モスクワ、ダマスカス、デリー、アムステルダム、パリ、ブリュッセルの無人の街を紹介する。 感慨深いのは、最初の頃の写真だ。中国は確かに公表は遅れた。しかしそれでも、武漢は1月1日に卸売市場を閉鎖し、10日には白い防護服が跋扈し、1月25日にはロックダウンが始まって幹線道路に車一台のみになっていた。この時日本がもっと敏感に反応していたなら、と思わざるを得ない。 ※黒木登志夫『新型コロナの科学』によれば、1月12日に中国は新型ウイルスゲノム配列を公表した。中国の隠微体質により2週間公表が遅れたと書いている。どちらにせよ、そのニュースは全世界に伝わったが、日本はまだ水際で止めることができると信じていたようだ。1月18日屋形船でクラスター発生。2月大阪の二つのクラブハウウスでクラスター発生。日本が明確な規制を始めたのは3月24日オリンピックの開催延期が決まった直後だった。25日政府は海外渡航自粛を要請し、小池都知事は週末の外出自粛要請を出した。しかし、それは花見の三連休の終わった後だった。 2月11日、船内に足止めされたダイヤモンドプリンセス号の乗客からシーツに書いた手書きのメッセージが垂らされた。 「船内情報全くナシ TV民放見レズ ガセネタオオシ」 「情報不足しんこく TEL知りたい くすり 」 「報道ありがとう」 汚いものに蓋をする、日本人の汚いところが、この写真にある。 2月24日のリオのカーニバルの人人、人人。3月4日マイアミの浜辺の大賑わい。当然、1人たりともマスク姿はなし。この後、ブラジルとアメリカは世界最大の感染地域になる。数ページを繰ると、多数の墓地の穴、大量の棺桶。 3月16日緊急事態宣言前、品川駅のコンコースをマスクをつけて通勤する人々を写した写真もある。1割ほどはマスクはしていないが、今になって驚くのは、マスクではなくその密度である。リオのカーニバルばりの密度だった。 後半は、さまざまなソーシャルディスタンスの写真が続いている。 見えない恐怖が世界を変えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年02月23日 07時48分14秒
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