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2021年03月29日
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テーマ:本日の1冊(3683)

文庫版「一00年前の女の子」船曳由美 文春文庫
大正から昭和にかけての1人の少女の田舎歳時記かつ半生の記。単行本は昨年のMy Best3ノンフィクションの一冊に入れさせてもらった。手元に置いておきたくて、買い求めた。

文庫発刊を機に、表紙を描いた安野光雄と著者船曳由美との対談記事がある。それを読んで、新たに知ったことも多かった。
「一〇〇年前の女の子が見た日本(前編)安野光雅×船曳由美」
https://books.bunshun.jp/articles/-/3596


「(記録を始めたのは)母が語りだした日から十年たっていました。」
←私は民俗学のフィールドワークの経験があるからイメージできるけれども、あの事細かに豊かに記録されるお母さんの物語は、何度も何度も同じことを聴いて綴られた結果なんだと思う。お母さんの脅威的な記憶力と、娘の学者はだしの構成力・表現力・そして質問力があってのことだったはずだ(もちろん元「太陽」編集長だったからではある)。

「安野 「筑波村大字高松」と書いてあったので、筑波山を目指して行けばなんとかなるだろうと……。あのとき電話したら、あなたが必死になって「違います、筑波山は茨城県です」と止めてくれた。」
←安野光雄さんが表紙を描くために行った「女の子」の栃木県の実家は、はたと気がついたのですが、今年2月「あの」大規模な山火事があったところでした。すわ、危ないのか?とスマホで地図を見れば火事延焼の危険はないところでしたが、利根川近くの今でも田舎の感じがするところでした。安野光雄さんの表紙は悲しいことが多かった5歳の女の子を明るいイチョウの木の上に登らせて、銀杏取りの合間にバンザイをさせた絵でした。


「安野光雄  お盆に墓参りをして、ご先祖さまをおんぶするようにして帰るとは、はじめて知りました。
船曳由美  お墓の前でお線香を手向けたあと、墓石に背を向けてしゃがむ。すると、ご先祖さまが墓石の中からするするっと出てきて、めいめいの背中に乗られるんです。子どもたちは三歩も歩くと、背をのばし手を振って歩いてしまうんですが、ご先祖さまは自力でしっかりとしがみついているそうです。ヤスおばあさんは家に着くまで、決して手を後ろから離しませんでした。」
←もちろん、地方によって様々な風習はあるけれども、ムラの外れの墓地からおぶって来る「魂」は、この地方で二千年間ぐらいは続いていた風習のような気がする。それは、様々な不幸という「呪い(のろい)」を背負ってきたムラ人たちの、生きていく上で必要不可欠な「お呪い(おまじない)」なのだろう。こんな小さな「知恵」が、この本の中には満載であり、いつまでも大切にしたいと思っている。

上京後の生活は簡単に記しているが、新渡戸稲造校長の女子経済専門学校の講師陣を見ると、その豪華さにクラクラする。吉野作造、我妻栄、古在由重、市川房江‥‥。しかもテイは吉野作造の推薦でYMCAの事務局に就職するのである。ホントは、関東大震災後の東京を舞台に、この辺りを中心にして評伝を書いてもらいたいぐらいだ。もはや無理だけど。

テイさんは、単行本発刊の4ヶ月後、眠るように大往生したという。








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最終更新日  2021年03月29日 23時18分17秒
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