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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「風の谷のナウシカ3」宮崎駿 アニメージュコミックス 「ナウシカ」の読み直しを再開する。間が空いても申し訳ない。これは思ったよりもしんどい作業なのだ。 ちょっと前巻を思い出して欲しい。土鬼(トルク)軍の辺境のマニ族の僧正は言った。「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」「(その者は)そなたたちを、青き清浄の地へみちびく」だろうと。腐海は、この時代、全人類にかけられた呪(のろ)いである。そこから救う救世主に、果たしてナウシカはなるのか? その「問い」が、全巻を通じて囁き続けている。それが「ナウシカ」である。第3巻は、「指輪物語」における黒門の戦いのような厳しい 戦争場面が続く。映画や「英雄物語」ならば、これ以上にないスペクタルシーンであり、聞き手を惹きつける山場ではあるが、宮崎駿の手描き感溢れる絵柄からは、かえってどんどん悲惨さが増してゆく。爆薬で飛び散る肉体の描写。のちに「もののけ姫」でも一部描いたが、その比ではない。ナウシカは、その戦いに間接的に責任を負ってしまう。 伝説の勇者ユパには、この預言を確かめる役割を与えられ、暫くは「森の人」の秘密と付き合う。 一般的には、まだラストに向かうための「繋ぎ」の役割しか持たない第3巻ではあるが、今回再読して重要なことに幾つか気がついた。 ひとつは、一巻目で明らかにされていた「トルメキア戦役戦線地図」がさらに拡大されたのである。これがもしかして、人類に残された最後の「ヒトが住める土地」なのだとしたら、なんと狭いことか!地球(だとしたら、ではあるが)の中では、ほとんど猫の額(ひたい)だ。それを2つの大国が共存するのではなく、激しい戦闘で殺し合う。なんという愚かなことなのか?と、神の眼を持っている私たちにはそう見えるのではあるが、トルメキア王国も土鬼諸侯国もそうではないのだろう。 ひとつは、ナウシカと同じ雰囲気を持つ「森の人」の存在だ。 「蟲使いの祖にして、最も高貴な地の一族。火を捨て、人界を嫌い、腐海の奥深く棲まう者。蟲の腸をまとい、卵を食し、体液を泡として住まう」。それは一巻目のナウシカの未来の姿なのかもしれない。しかし、3巻目で出てきたということは、これが作品のゴールではないということだ。 その他、皇弟ミラルパの本格的登場、悲しいカイ(馬の機能をもち、鳥の顔持つ機動動物)の最期、等々注目すべき場面・設定がいくつもあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月29日 23時53分03秒
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