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2021年12月08日
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「中野のお父さん」北村薫 文藝春秋

おや、北村薫さんいつの間に蘊蓄エッセイはやめて、またもや日常推理を描きだしたんだ?と思って紐解いた。まさしく小説、しかも探偵役は還暦定年間近の国語教師。文学の蘊蓄はハンパない。娘は出版編集者。これって、お父さんのモデルは北村薫本人じゃないか?

気楽に読める短編が8篇。
でも、一作目「風の風車」が「おやおや」と思う(←多分私だけ)。
完全ネタバレになるけど、あと7篇あるので許してください。(というわけで気になる人はここ以降読まないように!)



出版編集者の美希が、新人文学賞の候補に残った人に連絡したら「応募していませんよ」の返事。調べたら、2年前に同じ題名で応募して落ちたと思ったのですっかり諦めていたとのこと。だとしたら、何故今ごろ落ちたはずの作品が2年たって、しかも新人賞最有力候補として出てきているのか?

この謎を、美希のお父さんは少し話を聞いただけで簡単に解いてしまう。状況証拠を詰めれば、確かにそうなるわな、と読者も納得する。私の問題にしたいのは、その内容だ。

2年前の投稿はプロットだけの推理小説だった。舞台は娘の職場(大学事務局)にした。2年後、娘がそれにディテールを足して、お父さんの名前で再投稿したというわけだ。

ここでハッと気がつくのは、北村薫、デビュー当時は覆面作家だったことだ。昔から話題だったのは、女子高生の会話や心理が生々しくて、絶対正体は若い女性だよね、とみんな思っていたということである。本も2冊出た段階でやっと性別と年齢が明かされてみんなビックリした。高校の国語教師だという。「まぁ先生なら正体伏せても仕方ないかな」とみんな思ったという顛末。しかし、デビュー当時、本当に北村薫は「1人だけで」書いていたのか?という疑問が、ここを読んでむくむくと湧いてきた。

「風の風車」のように、全体的ではなくても、最初の頃は娘か女子生徒かに相当の助けを借りた可能性は高いのではないか?「◯◯ちゃん、悪いんだけど、今度の作品の詳しいプロットを書いたんだけど、これに肉付けしてくれないかな」
‥‥‥‥いや、ないか。最初の2冊はそれで誤魔化せるかもしれないけど、そのあと延々と北村薫は「若い女性を主人公にして」作品を作り続けた。ちょっと誤魔化しきれないだろう。それに、連載冒頭に、そんな重要なネタバレ素材は使わないだろう。でも、一つ言えるのは、北村薫の登場人物として「女性編集者」の出てくる確率は、物凄い高いのである。今でも徹底的に「取材」しているのではないだろうか?

本書には、編集者あるある体験が満載だ。
曰く。
・撮り直しが効かない写真にNGが入る。それをどのようにすり抜けるか。
・挿絵の一部分だけ向きが変わっている謎。
・雑誌を作っていると、定期購読してくださる方々の存在が、本当にありがたい。お一人お一人、手を握って御礼申し上げたくなる。と美希は呟いている。←女性編集者が本当にしてくれるならば、定期購読したい雑誌はあるぞ。いや、本気で。

楽しかった。





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最終更新日  2021年12月08日 13時45分19秒
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