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カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「5アンペア生活をやってみた」斉藤健一郎 岩波ジュニア新書
電気契約を60アンペアから最低の5アンペアに切り替えた独身新聞記者の体験記。 予想通りキッカケは東日本大震災。被災時は福島県郡山支局員だった。 おそらく自分なりにエネルギー問題を考えようという意味で著者は始めたのだろう。それは分かる。でも‥‥ 著者は5アンペア生活を始める理由をこのように書く。 「(原発再稼働)反対の声を上げることは大切なことだろう。でも、〈反対を叫ぶだけで解決策を示さず〉電気をどんどんばんばん消費する生活をこれまで通り続けて良いのだろうか」「(電気の大量消費の)生活を、ぼくたちが享受しているうちは、首相に「君たちが望むから再稼働するんだよ」と言われても〈仕方ないんじゃないか〉」(72p 〈〉を付けたのは私) これには、私は大いなる違和感を覚えた。特に〈〉内の言葉です。もちろん著者は他人に5アンペア生活を強要していません。でも、それでも、この発想自体はダメです。 『グレタ ひとりぼっちの挑戦』というドキュメンタリー映画を観ました。彼女は15歳ということもあって、活動を始めて一年もすると、欧州エネルギー会議に招待されるほどになっています。しかし、そこで会議での議長の発言を聴いた彼女はヘッドフォンを外し、もう聞きたくないとジェスチャーするのです。そこでは、ちょっとした水道水の節約提案を得々と話す政治家がいました。 議長が5アンペア生活について話しても同じ反応をするでしょう。でも、彼女がそうしたのは、発言者が議長だったからです。彼女はその2年後、国連で結果を出さない政治家を罵倒しました。罵倒する権利が、彼女にはあるからです。18歳の少女でもわかる話です。 政治家と市民を同列に論じてはいけません。 「解決策を示す責任」を負っているのは、政治家です。 同時に、マイ箸運動をやっているから、エネルギー問題に「私は責任を果たした」と考えるのは正解なのでしょうか。環境問題に1番責任を負うのは、政策であり、政治家なのだから、その政治家をチェックする、そのために何ができるか、少しでも近づくことをするのが、市民の責任だと私は思います。 著者は東日本大震災での貴重な経験をもとに、完全に原発再稼働反対の意見を持っていた。そういう意見を持っているならば、「(私たちが電気の大量消費をしているしていない関係なく)私たちは原発を望みません」とハッキリ首相に向けて書いた上で、この本を書かなくてはならなかった。ジャーナリストとして彼が出来ることは、マスコミを通じてエネルギー節約生活体験を広げることだと思ったのかもしれません。それは間違っていない。しかし、それと同時に、『(今のところの再稼働政府を許すことになる)間違った認識』を広めてはいけません。 ごめんなさい。かなりグダグダと書いてしまいました。どうしても看過できなかった。こういう形で、現状肯定してしまう若者が、あまりにも多いので‥‥。 閑話休題。著者の体験は、私にとっても、とても身近なことで、だからこの本を紐解いたのです。 私はこの12年間、一切「自前での」クーラーと、暖房機による冷暖房を使っていません。自家用車も同様です。それは12年前に父親の家を相続した時に、一挙に狭苦しく暑苦しい部屋から、風通しよく、密閉した環境に移れて、試してみたら「出来た」からです。それだけであり、エコを考えたからでも、モテたいと思ったからでもありません。実際には、周りから「危ないからやめろ」とか「変わってるね」と言われるのがオチで、正直著者のように良い方に注目されたことは一度もありません。私も褒められたいからしているのではなく、昔はできたんだから当たり前と思っていました。近年はだんだん「チャレンジ」に変わってきています。地球温暖化を肌で感じていて、今年こそもうダメだ、と思うのですが、今年はなんとかやり過ごせました(扇風機は使うようになりました)。著者が言うように、30度を超えると扇風機無しではとてもやってはいけません。10年前までは、それでも10時過ぎて朝までは30度を切っていたのですが、近年は午前3時ごろまで落ちないようになってきました。著者は今でも5アンペア生活を続けていられているのでしょうか。 以下参考にできること。と参考数値。 ・シャワー浴びて、扇風機に当たると、一挙に身体を冷やす ・布団にゴザを敷いて寝ると快適 ・湯たんぽよりも、豆炭あんかの方が、24時間燃え続けるし、高くない(本体3000円、豆炭240個1200円)。 参考までに一般的な家庭での使用量を紹介すると、電気の場合、月の標準使用量は290キロワット時(東京電力)です。ガスは32立法メートル(東京ガス)。水道・下水道は1人世帯で8立法メートル、3人世帯で21立法メートル(東京都水道局)です。(14p) 扇風機 「強」でも0.6アンペア 省エネのエース 洗濯機 脱水の時に最高4アンペア 冷蔵庫 0.8から2アンペア ノートパソコン 立ち上げ1 あとは0.6アンペア 液晶テレビ 2.6アンペア 熱くなる家電は一様に5アンペア以上に。家電の墓場へ。 著者は2年後に、2キロワット時(190円)の使用量へ。太陽光発電さえ始めているからね。 因みに、私の月使用量は71キロワット(11月)。斉藤さんの始める前のクーラー使わない10月は、以前は90キロワットで、5アンペア始めて最初の月は40キロワットになったそうだ。以前のクーラー使う7月は133キロワット。まぁ、私の使い方はかなりビミョーな使い方ですね。 本書は12月1週のmomchapさんのレビューを読んで知った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月22日 23時25分13秒
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