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カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「地球の歩き方 旅の図鑑シリーズ 世界の祝祭」地球の歩き方編集室編
人類はハレの日である「祝祭」を、常に年間の節目として生きてきた。此処には約200ほどの全世界の「観光化」された祝祭が、その場所と2022年の開催予定日とを記し、写真と解説によって紹介している。 本の性格から、学術的な視点の鋭さはないと想像されるけれども、「あゝこんなのがあるんだ」という発見はある。コロナ禍のもと「歩き方」が生き残るための「旅の図鑑シリーズ」の傑作のひとつだろう。写真・文章の著名は一切無い。これまでの膨大なデータを編集・加工して最新情報を付け加えたものだろう。と推察する。一応行き方は、書いているけれども、かなりアバウトだし、そもそも今年本当にその日に祭が開催される保証はない。それなりに調査して行く必要はあるだろう。日本の祭はこの本では省略されている。 欧米はキリスト教、中東圏はイスラム教、東南アジアは仏教と結びついた祭りが多いけれども、その中に見事に冬至、春分、夏至、秋分の季節の移り変わりと、収穫祭の名残が溶け込んでいる。私はやはり、東南アジアの祭りに興味がゆく。 バリ島の「ニュピ」(2022年3月13-14日)は、ヒンドゥー暦や古代ジャワ暦による「新年」の祭りである。見事に「悪霊」たちが登場ずる。 4月のミャオ族のバレンタインデー「姉妹飯飯」は素敵だし、台湾の有名な旧暦3月23日(4月)の「大甲媽祖巡礼」は一回観てみたい。 東南アジアでは4月は多くの場所で二十四節気の清明節のお祭りをする。墓を掃除して、お供えをする。実は、私の村では親戚でもなく村でも無い単位で、氏神様の木の下で毎年当番を決めて掃除とお供えをしている。こういうのを知ると、世界は繋がっていることを感じる。(中国では清明は三連休、台湾、シンガポール、マレーシアでは祝日、沖縄でも年中行事になっている) 世界では、宗教と離れて、「英雄」が神になって祭られることがある。フランス・オルレアンではジャンヌ・ダルク祭りがあり、媽祖巡礼もそのひとつだし、キング牧師記念日はアメリカの数少ない祝日になっている。今は名前のない多くの祭りも、もとは英雄たちの行いを忘れないように伝えられてきたのだと私は思う。 新年を迎える時季に、世界では民俗的な祭が同様に行われることも興味深い。 バリ島の「ニュピ」もそのひとつなのかもしれないが、ルーマニアの「クマ踊り祭り」(12月30日)、アルプス版のナマハゲと言われる「クランプスの行進」(12月5日)、緑の三精霊が新年に福を呼び込むスイスの「シルベスタークロイゼ祭り」(12月31日)、クリスマスも、もとは新年祭だったのだろうと思う。 今年もホントにお世話になりました。良いお年をお迎えください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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