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読書(09~ノンフィクション)

2011年04月01日
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「閑人生生」朝日文庫 高村薫
高村薫の2007年9月から2009年7月、つまり安倍政権の終わりから民主党政権誕生直前までの週刊「アエラ」連載の時評である。

高村薫はかつて「神の火」で虚無を抱えたトロツキストの原発襲撃計画を描いて見せた。だからといって当然この時評では原発に関する言及は無い。正直、少しは期待していたので残念。

常に世の中に怒っている人はいる。とんでもない言いがかりをつけるおじいちゃんもいるが、高村薫は「いいほう」だと思い、耳を傾けてみることにした。

それにしても、ほんとうに重大な事件は往々にして小さな姿をして現れることや、意図的に詳細が隠される場合があることを、久々に考えさせられた。そういうとき、お上が必ず持ち出すのは、事実が多くの知るところになれば無用の混乱を招く、という理屈であるが、それがほんとうに現実的な対処といえるケースは、たぶん地球に隕石が落ちてくるときぐらいだろう。多くは当事者たちの責任逃れと、対処の難しさを隠すための方便であり、被害を少しでも減らそうという人間的な意志が働かないのが、国や行政というものだ。かつての水俣病も、近年の血液製剤による薬害も、アスベスト被害も、皆そうして拡大し、気がついたときには、助かるはずの命の多くが失われていたのである。(2008.9.29)

この文章は、「事故米」という農薬汚染やカビの生えた米が焼酎やおかきなどに不正に転売されていいたことが明らかになったことに「消費者に健康被害が出る可能性は無い」ということで農林水産省が血相を変えず、大事にしなかったことを憂いているわけである。このケースはほとんど今回の原発放射能被害に関しても当てはまる。

「総ての情報を速やかに明らかにする」と国民は未だに信じていない。実際東電の協力会社の社名も明らかになっていない。IAEAの調査が公表されてやっと40キロの地域の放射能の値が発表される。「事実が多くの知るところになれば無用の混乱を招く、という理屈であるが、それがほんとうに現実的な対処といえるケースは、たぶん地球に隕石が落ちてくるときぐらいだろう。」原発事故は隕石が落ちてくる事態ではない。あらゆる手立てをうてば、助かるはずの命があるという状態なのである。今の首相はたしか「血液製剤による薬害」のときに活躍した大臣だったそうな。






最終更新日  2011年04月01日 08時30分41秒
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2011年03月03日

「本は、これから」岩波新書
珍しく文学的な書名である。電子ブックの登場で「本は、これから……どうなるのか?」いろんなタイプの書き手、読み手、書店、古書店、図書館、取り次ぎ、装丁、編集の位置からの短文を37そろえている。

以下、私が線を引いたところ(抄)である。

池澤夏樹
われわれは本を読みすぎるのだ。その大半は読み捨て、読み流し。かつて新井白石のような優れた知識人が生涯に読んだ本の何十倍もの量をわれわれはただ消費している。

紙という重さのある素材を失ったために文筆の営みはすっかり軽くなり、量産が可能になった分だけ製品はぺらぺらのものばかりになった。そもそも人類の智の総量が変わるはずないのだからインターネットによって生産を加速すれば中身は薄まる理屈だ。

→まさにその通り。私はおそらく、江戸の知識人よりも多く本を読んでいると思うが、その中味は到底彼らに追いつかない。それどころか、こんな文章を書いて、「中味を薄める」お手伝いをしているというわけだ。

しかし、世代は変わるのだ。新しいがジェットは若年層を突破口に社会に浸透する。今の子供たちはもう固定式の電話をほとんど使わない。韓国とシンガポールではあと二年もすれば教科書が電子端末に変わるという。

実を言えば、今の段階で電子ブックなどよりずっと恩恵をこうむっているのはこのインターネットによる古書のシステムだ。かつては欲しい本を探して神田の古書店の棚を尋ね歩いたものだが、今はたいていの本は即座に手に入る。古書というものの概念が変わってしまった。それはまた、手元の本を惜しげもなく放出できるということだ。必要ならばまた買えばいい。日本中の本全体が一種の共有財産と化してきた。

池内了
記録媒体としての電子書籍(やたら記憶が得意なシリコン頭にうってつけである)、自分のあたまを鍛えるための紙の本(考え想像するカーボン頭に最も相応しい)という棲み分けができそうである。

岩楯幸雄(幸福書房社長)
でも、五年後にはどうなっているのでしょう。新宿・渋谷に超大型店が出店し、大型店通しの潰しあいが始まっています。それぞれが一人勝ちを狙っているのでしょうが、それは無理でしょう。電子書籍の影響を近い将来全部の店が公平に受けるのだとすれば、ダメージは大型店が一番大きいはずです。多くの借金や高い家賃を負担しているはずだからです。アメリカでは大型店の廃業が始まっているそうです。そう、5年後はどうなっているのか分からないのです。老人大国の日本で若い人が営む小さな本屋が、もしかしたら一番必要とされる時代がやってくるかもしれません。健闘を祈ります。

→私はおそらく、三年後には電子書籍を手にしていると思います。新し物好きですから。けれども、一方では老人が陽だまりの中、、20年積んだままにしている中江兆民全集や植木枝盛全集、マルエン全集などを読むことや、何度も読んだあの本やこの本を読むことを夢見ているというわけです。本屋の未来、この社長の言うとおり、これからは個性的な本屋さんの時代かもしれません。私ならば、こんな本を並べるのだけどなあ、というのはあるのだけど、誰か雇ってくれないかしら。






最終更新日  2011年03月03日 23時02分59秒
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2011年02月22日
「消費税で日本崩壊」斉藤貴男 ベスト新書
斉藤貴男は昔からの反消費税論者である。それというのも、フリーのジャーナリストになったときに総て自分で税金を計算して申告するようになって、税金の使い方に怒り、敏感になったのだという。面白いことに、一時期またフリーでなくなったことがあった。そうすると、急激に「怒り」がなくなったのだという。税金は本当に複雑だ。私も一時、或団体の金庫番をしたことがある。そのしくみの複雑なこと!!四年間もやって、決算もしたのに、未だにその仕組みがわかっていない。国民の九割近いサラリーマンの源泉徴収というしくみは、日本国民の税金の使い方に対する意識を確実に麻痺させているといっていいだろう。日本の民主主義を著しく後退させているという著者の主張には肯けるところがある。

消費税の問題は昔からその逆進性等の問題が挙げられてきた。今回は知っていることはあえて書かない。新たに知ったことのみ、その一部をメモする。

加藤寛元政府税制調査会会長インタビュー 2010.8 「日本は財政危機でも何でもありません。財政危機だから消費税引き上げが必要だという論法は間違っているのです。(略)日本がギリシャのようになるわけがない。約900兆円の国債発行残高があるが、国民の金融資産が1300兆円もある。500兆円くらい景気対策に使っていいんです。しかしそれをやらずに守っている。だから、どんどん円が強くなるんですよ。(略)ぼくが財政赤字を煽るのはおかしい、と言うと、大蔵省の役人は『先生、それは分かっています』といいましたよ。『でもそういわないと増税できない』とね。」
……ただし、加藤氏は累進性の所得税だけに頼ると、労働意欲がそがれるから消費税には賛成らしい。しかし、そういうことが国民の合意となるのか。労働者は飴と鞭でしか動かないと思っている金持ちの発想である。

数値だけを見ると、日本の消費税率は確かに高い。(略)主要国の国税収入に占める比較で言うと、
イギリス 22.5%
ドイツ  27.0%
イタリア 27.5%
スェーデン22.1%
日本   22.1%

‥‥‥驚きである。日本と先進消費税高率国、特にスェーデンと全く同率なのである。

『アメリカはこうしているから、まずアメリカの真似をしましょう』という論調ばかりなのに、こと消費税に関して言えば、アメリカのアの字もでてこない。それもそのはず、アメリカには国税としての週費税を導入していないので、比較のしようがないのだ。

零細事業者が追い詰められている一方で、消費税は大企業、とりわけ輸出比率の高い企業にとっては甘い蜜そのものだ。(略)輸出戻し税の還付金の額は、2010年度総額3兆3762億。同年度消費税収入12兆475億の約28%に相当する。(略)これでもリーマン・ショック以来の世界同時不況の性で随分減った。わずか2年前、2008年度の消費税の還付総額は7兆円にも迫ろうかというボリュームで、消費税全体に占める割合も、約40%ほどに達していたのだ

おりしも、エックスチャンネルさんが「「財政危機」煽る財務省の大ウソが暴露された」という記事をアップしてくれた。
20日の日曜討論で国民新党の亀井亜紀子議員が追及した内容を深めたものである。
これを見ても、消費税増税の根拠は崩れている、必要なのは法人税減税ではなく、て国民消費を以下にアップさせるかという仕組みつくり(つまり福祉の充実等)なのである。

改めて亀井議員に発言の真意を聞いてみた。
「財務省は最初から消費税ありきなのです。無利子非課税国債を発行して困る人はいません。にもかかわらず、提案しても話が進まない。それで党に財務官僚を呼び、日本の財政状況について平時なのか非常時なのか聞いたら『平時です』と答えたのです。そもそも財務省は、海外に対しては『日本は対外金融資産が豊富で、国債の9割以上は国内で保有しているから財政危機ではない』と説明しているのに、国民に対しては『900兆円もの借金で大変だ』と言う。海外と国民に対する説明が違うのです」
 相手によって主張を百八十度変える二枚舌財務官僚。次はぜひ国会で追及してほしい。






最終更新日  2011年02月22日 11時03分54秒
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2011年02月18日

【送料無料選択可!】幸せつなぐ毎日の食卓 野菜食堂こやま (単行本・ムック) / 小山 津希枝 著
「やっぱり野菜とらなあ、おえんなあ」と思い、料理本を買いました。買うともれなく実演講演とサイン会が付いてくるというので、ちょいと参加。一時間半も時間があるので、色々料理を作ってくれるのかと思いきや、ずーと喋りっぱなしでした。

2908小山先生.JPG
元気なオバサンという感じの著者です。
原則は四つ、
1、旬のものを食べる。
→納得です。安くなった野菜を私も買うようにしています。
2、ヘタから皮から、総て使う。
→細かく切れば、総て使えるそうです。農薬の心配は?という質問に「繊維が豊富なので、玄米と一緒に食べれば特にそうだが、農薬なども掃除してくれる。とのこと。
3、アク抜きをしない。
4、砂糖を使わない。
→砂糖は「自然」じゃないのだそうです。

2893陰陽野菜.JPG
料理の最大の特徴は「野菜の重ね煮」です。野菜には陽野菜と陰野菜があります。写真にあるように、陽野菜は根菜やイモ類(あまり使わないけど、魚介類や穀物)で、上に登ろうとして身体を温める働きをします。陰野菜は葉物類やきのこや海草。下に根を伸ばそうとする。身体を冷やす働きがあります。これらの働きを生かした煮かたをして、野菜の力を生かしてバランスの取れという主張なのだそうだ。

2907誌食品.JPG
むつかしい理論は眠たかったけど、今日実演した野菜を食べて美味しかったので、やってみようと思います。おこと汁の材料の野菜を、水も調味料もなしで上に塩をかけただけで煮たものなのです。けれども、にんじんは思いっきり甘く、大根はしっかりと味がしみていて、アゲもおいしかったりのです。

2910材料.JPG
料理の下ごしらえは、上の写真にあるとおりです。
結局、サインは時間がなくてすぐ帰ってしまったけど、料理の一品一品は面白そうなので、ためしてみます。






最終更新日  2011年02月18日 08時29分51秒
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2011年02月15日
「アメリカから<自由>が消える」堤美果 扶桑社新書

抜書きです。
本当は、総てのアメリカの「現実」を紹介したいのですが、それをすると流石に出版社から抗議が来るだろうし、時間的にも無理です。

ただ、美果さんが「<恐怖>に打ち勝つ一番の方法は、何が起きているのか正確に知ること」というのに、私は賛成するし、この手の話では要約的な文章では人の意見を変えることは出来ない、具体性だけが説得力を持つと、私は思うのです。

Image017.jpg
ここで紹介する事実は本の一部です。詳しくは本を読んでください。なお、講演会のときにもらったサインを付けて起きます。「心をこめて 2010 12.18 MK」と書いているのでしょうか。この前の講演会の彼女の印象、ひとつ書き忘れていました。彼女は<生>が付くほど、とても真面目なのです。

クリスマステロ以降一挙に「ミリ波スキャナー」(空港で全身が裸の読みイメージになって映し出される機械)の生産が伸びた。(一台1500万円)世界で何百万台と発注される。

「ワシントンエグザミナー」は国土安全保障省の役人、秘書官を初めとする幹部の多くが、警備産業のロビー活動に従事しており、関連企業に幹部として天下りしている実態を報告している。

AP通信によると、次のステップとして、人々の頭の中を読み取る装置を開発中だという。(略)製品化されれば、人々はセキュリティチェックの場所でテロ関連画像を見せられ、反応する瞳孔の開き方や心拍数の変化、体温の上昇などの最新式の「読心センサー」に取られることになる。また、対象者の掌を通して「敵対的な思想」を感知する技術を開発している。

9.11当時テロを間近に目撃したリサ・ウィリアムは当初のインタビューで監視されていることの不安は無いか、との問いに「何故そんなことを思うんでしょう?テロとの関連を疑われるような行動を取っていなければ、問題ないじゃ無いですか」と言っていた。九ヵ月後の2009.10月リサは警官に呼び止められる。四時間に渡る尋問を受ける。何故、何を調べられているのかも最後まで知らされなかった。それ以来前とまるきり行動が変わってしまったとリサは言う。「監視カメラの前を通るときは、息が苦しくなるようになったんです。銀行でも書店でも、自分が不自然な態度になっていないか心配で長居ができなくなりました。友人との電話も短くなり、Eメールも一通送るのにすごく時間がかかります。何日も迷った挙句、結局返信しないものもたくさんありました。自分が書いた文章の中に、疑いがもたれるような単語が入っていないかどうか、何度もチェックするようになったからです」

アメリカはベトナム戦争の頃から、拷問は政府が雇った代理人によって行われてきた。そこには時間の制限も無い。「愛国者法」によって、国内外の収容所で軍はテロ容疑者を無制限に拘束できるようになったからだ。容疑者たちは国際法で権利が守られる「戦争捕虜」ではなく、そうした権利を持たない「適性戦闘員」というカテゴリーに分けられる。

2009年11月カリフォルニア州立大学で学費値上げに抗議する学生たちが警察に暴行を受け、百人近くが逮捕された。

2009年3月、バージニア州警察が作成した「テロリストの脅威に対する評価」レポートの中には、アルカイダやハマス、ネオナチなどと並んで「中絶支持」「税制改正推進」「憲法と矛盾する現政権の政策糾明」などの社会問題にかかわる学生たちの名前がテロリスト欄に記載されていることが明らかになっている。

2009年7月、ワシントン州オリンピアで「民主化を求める学生たち」「港の軍事化を止める会」のグループに陸軍が雇った人物が潜入し、ひそかに活動内容の情報を軍や警察、政府機関に流していたことがわかった。

2004年6月21日、アメリカ最高裁判所はある判決を下した。路上で捜査官から名前を尋ねられたアメリカ国民は、決してこれを拒否してはならないというものだ。これによって、市民の「黙秘権」は、実質上無効になったのだった。

2008年4月3日、アラバマ州にあるウェストエンド小学校で六年生の男子生徒二人が逮捕された原因は、死神ノートに名前を書かれた人が死ぬとという内容のアニメ「デスノート」だった。彼らがアニメを真似てノートに他の生徒や教師の名前を書き、「デスノートごっこ」をしていたのを見た教師が校長に連絡したのだ。学校側から通報を受けて少年たちを逮捕した警察は教師たちをきびしく注意したのだという。「「テロとの戦い」の最中ですから、こうした危険な行動は見逃せません。先生だけでなく親御さんにも、子供たちが見ている漫画や友達の会話、遊びの内容などを、しっかり監視してもらわないと」いくつかの州では警察が子供たちに「友達が怪しげな行動を取ったときに、近くの大人に知らせる方法」をビデオを使って教える時間を設けている。「デスノーとごっこ」をした少年たちには、裁判手続きがとられた後、学校側から無期限停学処分が言い渡された。

(アメリカでも報道規制があるが)日本でも、イラクへの自衛隊派遣についての「報道協定」が作られている。イラクの戦場における隊員の状況を報道する際には、防衛庁(当時)の許可をとらねばならないという条件がつけられたのだ。

(まだ成立していないが)2007年下院を通過している「過激思想取り締まり法案」というのがある。成立すれば、インターネット上のブログその他に検閲が入り、<過激で暴力的な思想>が取り締まられることになる。「テロにつながる危険な思想を芽のうちに見つけ出すことで、テロリストの脅威から国民を守るため」という目的らしい。この「芽のうちに」ということが、どのように運営されるかわからないということで、反対運動が起きている。反対運動家はさらに言う。「政府はおそらくもっともらしい名前の付いた法律とセットにしてくるでしょう。「テロ対策法」はいわずがもがな、「女性差別禁止法」でも、「性的犯罪取締法」でもなんでもいいのです。要は定義が曖昧で、主観によっていくらでも変えられるものであればいいのです」
……ここまで読んで、先ほど成立した都の「青少年保護禁止条例」が将来とんでもない威力を発揮する可能性について想像してしまった。

「言論利の自由を取り戻そうとする人々」も大きく広がっている。堤未果の著作の特徴は最後に必ず「希望」を書き加えるところである。しかし、これはいったん法律が通ったあとのアメリカの活動であり、私は日本はその前段階だと思っているので省略する。

下の写真は昨日の岡山市林原美術館である。日中からこんなに雪が降るのは、晴れの国岡山では珍しいことだ。会社更生法を適用した林原は、戦後散逸の危機にあった元岡山藩主池田家の財産を買い取ることで、貴重な文化遺産(源氏物語絵巻等)を一箇所にまとめることが出来た。学者が池田藩の忍者の一代記をまとめることが出来るのも、池田家文書が一箇所にまとめられているからである。財産の整理はしなくてはいけないだろう。しかし、散逸しないように出来ることならば公的機関に売るというようなことが、林原の「社会的責任」だと思う。






最終更新日  2011年02月15日 09時47分38秒
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2011年02月14日

「アメリカから<自由>が消える」堤美果 扶桑社新書
この前の講演会に行ったときに、サインをもらうために買った本です。純粋に間近で著者を見たかったということで、おそらく講演と同じ内容なのだろうと分かった上で買いました(2010年4月発行なので、「ルポ貧困大陸アメリカ2」よりも最新情報が読めるという計算もありました)。「頑張ってください」と目の前で言ったときに、目もあわせられなかったへタレの私でした(^^;)

予想とおり、内容的にはこの前の講演会で私がメモしたことと同じでした。ところが、ショックの度合いは非常に大きい。様々な具体的な事実が、多くのことを語るのです。

「おわりに」のところで彼女は書いている
「歴史を振り返れば<言論の自由>は、それが最も必要とされるときに押さえ込まれてきたことが見える。
 とはいえ、それを可能するにのは政府ではない。
 <言論の自由>を押さえ込むために作り出された日常のなかの様々な仕掛け、それらにあおられ人々との間に拡大していく<恐怖>。その<恐怖>にわたしたちの無知と無関心が力を与えてしまい、いつの間にか<言論の自由>が押さえ込まれ、社会全体が閉じられていくのだ。
 9.11後のアメリカで私が目にした「人は理解できないものに<恐怖>をいだく」という法則は、時代や国によってさまざまなバリエーションで使われる。
 たとえテレビやラジオ、新聞や裁判所など、様々な民主主義の<形>が残っていたとしても、学校や職場、政党内で自由な論議がなされているかどうか、しっかりチェックする必要がある。
 それを感じ取るアンテナの精度は、与えられた情報の利用と質に比例する。(略)<恐怖>に打ち勝つ一番の方法は、何が起きているのか正確に知ることだ」


昔「笑顔のファシズム」という本がアメリカで出版され、訳本が日本に出回っていたが、いつの間にか私の本棚から消えていた。

アメリカとて黙って見過ごしていたということではない。そのことはこの本の一番最後に詳しく書かれている。けれども、その前に「何が起きているのか正確に知ること」が必要なのだ。日本のわれわれも同様だ。

この本で幾つかの「事実」を知ると、「あのアメリカでさえこうなのだから、日本はあっという間に監視社会になって、言論の自由は奪われるかもしれない」という気持ちと、「いや、そういう反面教師が既に存在したのだから、きっと日本の良心は大丈夫だ」という気持ちが二つある。

ともかく、ここに書いている「何が起きているのか」を幾つか、ブログ上で紹介することは、大切なことではないかと思うので、抜書きしたい。 
続く。






最終更新日  2011年02月14日 09時18分51秒
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2011年02月11日

「古代朝鮮墳墓にみる国家形成」吉井秀夫 東京大学出版会

最近朝鮮半島の考古学事情が分かる本を多く出版されるようになった。やっと、という感じである。弥生時代から古墳時代にかけて朝鮮半島との結びつきは決定的なのに、ずっと昔の資料とか断片的な事実しかし紹介されなかった。結果、七世紀に作られた「古事記」や「日本書紀」によって1-3世紀の弥生時代が説明されるという事態が多くなり、私は本当に忸怩たる思いだった。

これはひとえに、最近の韓国の発掘が一段落ついて、多数の新しい事実が知られてきたということによる。そして、この著者は2.5年間、韓国大邸の慶北大学に留学して韓国の考古学事情に精通している気鋭の学者なのである。しかも去年の二月出版の本である。幸いにも、ここで扱われた遺跡の幾つかを去年の11月に歩いたということもあり、非常にイメージ豊かに読むことができた。

幾つか新たに学んだことをメモしておく。私用のメモなので多くはちんぷんかんぷんだと思います。御免なさい。

高句麗、百済、新羅の王都が、いずれも落葉広葉樹林帯に属していて、日本の古代国家にかかわる地域のほとんどが照葉樹林帯に属している。農業生産をはじめとする経済的基盤が少なからず異なっていた可能性のあることは、いつも念頭においておく必要があるだろう。

墳丘先行型 日本の古墳 鴨緑江・漢江・栄山江流域、中国長江流域の土槨墓 
墳丘後行型 洛東江、錦江流域、中国中原地域

青銅器時代の開始時期については、紀元前10世紀まではさかのぼりそうであり、放射性炭素AMS年代測定法による測定結果を受け入れれば、紀元前13世紀までさかのぼる可能性がある。さらに、刻目突帯文土器に代表れる文化が従来の青銅器時代前期に先行する、と考える説があり、それを認めれば、青銅器時代の始まりはさらにさかのぼることになる。このように、青銅器時代の相対的・絶対的上限がさかのぼった結果、少なくとも朝鮮半島南部において本格的に青銅器が使われ始める段階は、青銅器時代の開始よりもかなり遅れることが明らかになっている。朝鮮半島で多く出土する銅剣には琵琶形銅剣と細形銅剣があるが、後者は食鉄器時代を代表する遺物であるとする立場で、本書は叙述することにしたい。

麗水半島に幾つかの支石墓群があるが、積良洞(チャクリャンドン)支石墓のみ七本の遼寧式銅剣と一本の遼寧式銅戈が出土した。他の支石墓との階層構造がある。

プヨの松菊里遺跡52地区の箱式石棺墓について。大きく掘った土こうの中央部をさらに掘りくぼめて、その中に石棺を築造する二段墓こうの構造を持つ。方形墳丘状の墓域。よって、支配者階層集団により築造された特定集団墓。いっぽう、2.5キロはなれた南山里遺跡
は青銅器は出土せず。墓こう規模が小さい。松菊里の一般成員の墓域であると指摘されている。

昌原徳川里遺跡の石築。金海ヘヒョンニ貝塚上面の石棺墓の石築。大邸・辰泉洞(チンチョンドン)立石を囲む石築。との関係性。

燕系の鉄器が初期鉄器時代の始まり。

朝鮮半島南部における初期鉄器時代を代表する土器は、平底・長卵形の胴部の上端に、粘土帯をはりつけた粘土帯土器である。粘土帯には断面円形のものと、断面三角形のものとがあり、前者から後者に変化する。また、青銅器時代に見られた丹塗磨研土器が姿を消す一方で、黒色磨研長頸壷が副葬品としてよく用いられるようになる。さらにこの時代に入って、石器類が次第に姿を消す。

大同江流域と錦江流域および栄山江流域に青銅器の出土が集中。鋳型も見つかっている。この両地域が朝鮮半島各地で用いられた青銅器の主な生産拠点であったと考えられる。

原三国時代の始めを李は、木棺墓群の出現、瓦質土器の出現、本格的な鉄器文化の成立、といった朝鮮半島南部での考古資料の変化と、高句麗の政治的な発展や、漢四郡の設置などを指標として定義した。その開始時期を金元龍が定義した紀元前後ではなく、紀元前一世紀初めとした。






最終更新日  2011年02月11日 08時43分46秒
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2011年02月10日

『司馬遼太郎の歴史観』中塚明 高文研
ずいぶんと前になるけれども、この先生の講演を聞きに行った。去年は韓国併合100年。ほとんど注目はされてはいないが、岡山でも何度もこのテーマで勉強会は開かれていた。中塚明氏は日朝関係の歴史の専門家であり、ひっぱりだこだったようだ。そのときに買った本である。

本の内容は、講演の内容と大きく被る。この講演でも大きな話題はやっぱりNHK『坂の上の雲』である。現在第一部第二部が終わり、日露戦争に突入している。このNHKの大掛かりな国民洗脳運動については、また稿を改めて書く必要があるが、今回はその中で、テレビの中でも全く『無視』された東学党農民軍の蜂起について書こうと思う。

朝鮮の人民が初めて社会変革のプログラムを持っての大衆運動であった、と著者は言います。特に重要なのが、第二次蜂起です。そもそも日清戦争は、東学党の『乱』から朝鮮王宮を守るためという口実で軍隊を進めたのですが、日本軍が最初に大砲を撃ったのは清国軍に対してではなく、朝鮮王宮に撃ったのでした。そうして王宮を占領し、言いなりの政府を作ることが最初の仕事だった。日本では知られていなくても、韓国全土には知られていた。だから、韓国の主権を守るために第二次蜂起があるのである。第一次とは広がりも規模も比べ物にならない、日本侵略反対の旗印をハッキリさせて立ち上がった抗日闘争だった。それに対して、日本軍はどうしたか。珍島に追い詰めて全滅させたのである。犠牲者は三万人を越えたといわれる。日本のどの教科書にもこれは出ていないらしい。

この本をいまさら読んで、しまった、と思った。去年の旅の後半、私は光州に行ったのだけど、何故ここにそんなにこだわったのか忘れてしまって、半日いただけで別の場所に移ったのでした。この講演を聞いたときに、1980年金大中が再起した黄土峠(ファントジ)の10万人大集会というものがあったそうなのですが、それが、それが東学党と政府軍との激戦地だったたらしいのです。それを見に行こう、東学党の「乱」をもっと勉強しようと、決意していたはずなのにすっかり忘れていました。これは宿題です。

何を持って「乱」とするのか、「運動」とするのか、はたまた「騒動」とするのか(大塩平八郎の乱は当初大塩騒動と呼ばれた)、それは革命理論の中心課題なのだろう。現在エジプトでおきていることは「乱」なのか、「運動」なのか。運動だとすれば、それはなぜ運動と呼ばれるのか。その辺りは、これからまた勉強していきたい。






最終更新日  2011年02月10日 10時08分40秒
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2010年12月27日
いま「日本の名著」を少しずつ読んでいるということは既に書いた。一番最初に読んだのが「佐久間象山・横井小楠」である。

訳者・編者の松浦玲は昭和六年生まれでこの全集の中では若い部類に入る。月報では1970年6月6日、べ平連のデモで忙しかった小田実を呼び出して対談している。松浦自身が50-60年代安保闘争の闘志だったからである。松浦はこの対談の最後で小田実にこんな質問をした。

「そこで僕のほうから小田さんに伺いたいのだけれども、政治に対するかかわり方としてこれは、ひとつは象山や小楠たち儒者のように権力側から求められて宰相として理想的政治を行うという生き方、この場合は求められなかったり首になればそれで終わりだ。もう一つは自分たちの理想を実現するためには革命をやって新しい権力を作るという方式、明治維新でいえば大久保や西郷、現在で言えば社会主義、共産主義革命ですね。しかしこれは目標実現の過程で統一戦線とか政治的妥協とか、組織悪だとかいろいろ出てきて、遠回りをしているうちに、肝心の理想のほうがどこかにいってしまう例が多い。そこでベ平連ですが、この二つのどちらでもないということは良く分かるのだけれども、小田さんがおっしゃっているのは、権力が邪悪なことを執行しているのをゲリラ的に麻痺させ阻止しようということですね。そういうことを永遠に続けていこうということなのか。それとも状況によっては多数党になったり権力を取ったりするのか。」

小田実は以下のように述べた。少しはしょる。こう言っている。
「私は在野に徹するということがひとつ。権力の中に入らない。そうすると永久に批判勢力に止まるだろうという考え方をするけれど、僕はそうは思わないのだな。……私は一つは戦後の時代に青年前期を通過したということがあって、権力なしで人間は暮らしていけるのではないかと、時々考えるのですね。戦争末期、敗戦初期はそういう状況だったでしょう。だから、そういう面がわれわれのやっている運動の中で可能な面として出てもいいのではないかと思うのですよ。」

「戦争末期、敗戦初期はそういう状況だった」という認識は間違っていると思う。けれども実に小田実らしい言い方た。(この対談はおそらく突然松浦のほうから言われて小田は軽く答えたものに違いない。小さな月報なのでおそらくここに出たきりだったろう)べ平連は永久的にゲリラ戦法は取ることはできなかった。ベトナム戦争が終結したとき、そのまま組織を維持させる道もあったと思うのであるが、小田はいったん解散させる。その後紆余曲折があったが、私は小田実の人生を全部知っているわけではないので、軽々しいことは言えないが、結局「在野に徹する」ということは貫いた。そして、大きい影響力を持った。その姿勢はりっぱだと思う。

小田を戦後の思想家の一人に連ねるかどうかは、小田の著作集を一通り読んでみないとなんともいえない。私の「思想家」というときの基準は二つ。「その思想が広く影響力を持つこと」「その思想に一貫性があること」。江戸明治と違い、現代の政治家のほとんどが二番目の基準のために思想家の部類に入らないということは言うまでもない。

この対談で面白いと思ったことのもう一つは、松浦の最初の「問いの立て方」である。ひとつの「正義の思想」があるとする。その思想は時には政治の表舞台に立つことはあるが、その多くは長続きしないし、時には無力である。一方「革命家」がいる。彼らは困難ではあるが、政治を変えることが出来る。しかし歴史は「目標実現の過程で肝心の理想のほうがどこかにいってしまう例が多い。」ことを語っている。市民運動の走りであるべ平連はどこに向っているのか、松浦は興味があったのだろうと思う。

憲法九条は「正義の思想」である。これは極めて「現代の課題」だ。私たちはこの思想をどのように生かしたらいいのだろう。

ひとつの処方箋はきっと歴史の中にあると思う。私は「佐久間象山・横井小楠」の解説の中で、1862年の朝廷から「攘夷督促」の要求が来たときに、横井小楠の解決策と一橋慶喜の解決策とその後の歴史を読んで、まるでこれは今現在の「普天間問題」だと思った。詳しくはまた別のところで述べる。






最終更新日  2010年12月27日 09時34分00秒
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2010年12月26日
中央公論社が昭和40年代に刊行した「日本の名著」全50巻というものがある。古本屋で時々見かけるのであるが、食指が動かなかった。ちらっと読むと、全50巻で日本書紀から始まって柳田国男まで、日本の重要な思想は網羅しているように思える。元日本思想史の学徒だった者として魅力的な人選ではある。ところが、ほとんどが「訳文」全集なのである。
42日本の名著.JPG
確かに昔の人の文章は読み難い。しかし、この手の全集は一つは資料的な価値として家に「置いておく」ものである。訳文ではいざというときに「引用」しようにも「ありがたさ」が無いと思われた。引用するような「論文」を書くような必要はさらさらないのに、そういうことを考えるところがまあ私の悪いところなのだろう。

この前、たまたま「佐久間象山・横井小楠」の巻を買ったときに、全集目録を見てみるとびっくりした。各巻の責任編集者の顔ぶれがあまりにも凄いのだ。私はこの全集がほしくなった。刊行より30-40年を経て、いまやほぼ全員が鬼籍に入っているが、歴史的な史家、思想家、小説家が八割がたを占めているのである。この巻の編集者の「解説」を読むだけでも意味がある。これから少しずつ揃えていくことにしようと思う。堤未果講演会のときに古本祭りをしていたので、少し買い揃えた。中には橋川文三の「藤田東湖」など魅力的な本もあったけれども、経済的な理由と荷物になるという理由から、今回は避けた。

今回買ったのは以下の通り。
「聖徳太子」(中村元)
中村元はご存知の通り、仏教思想の最高峰の学者である。日本思想史の中でいつも一番最初で大きく扱われる聖徳太子をどのように論じているのか、とても興味がある。
「慈円・北畠親房」(永原慶二)
永原慶二は唯物史観の立場から日本中世史をリードしてきた人だ。北畠親房が出てくる小説はこの前読んだばかり。面白そうだ。
「新井白石」(桑原武夫)
桑原武夫が江戸時代の思想家を論じていたなんてびっくり。彼の中江兆民研究は学生の頃夢中で読んだ記憶がある。
「本居宣長」(石川淳)
本居宣長にはあまり興味が無いけれども、石川淳がこの稀代の学者であり、文学者であり、変人をどのように料理したのか、とても興味がある。
「石田梅岩・富永仲基」(加藤周一)
この本に関していえば、加藤周一編集なのでずっと買おうかどうか迷っていた。著作集で取り上げられている論文だと思ったので、止めていたのだが、今回ちょっと読んでみて、読んだ覚えが無い。しかも、石田梅岩の訳文まで手がけている。発見と驚きと収穫だった。
「佐久間象山・横井小楠」(松浦玲)
松浦玲はあまり知られていない史家ではあるが、横井小楠に関していえば、第一人者である。今回、横井小楠の「国是三論」を一読して、びっくりした。また、その解説はとても刺激的だった。また機会があれば論じたい。
「徳富蘇峰・山路愛山」(隅谷三喜男)
著者は進歩的キリスト教者なのに、なぜこの「民権から国権に転向した」ふたりを取り上げたのか(二人ともキリスト信者ではあるが)、とても興味がある。
「柳田国男」(神島二郎)
実は私は大学時代に「常民文化研究会」(常民とは柳田の造語で民俗的な意味での民衆)に入っていたということもあり、二回ほど合宿して民俗調査を行った。その頃柳田を一生懸命読んだ。また、神島二郎は丸山真男の高弟の一人。政治思想史の神島が柳田をどのように述べるのか、興味がある。

「読みたい本はあまりにも多く、人生の時間は限られている。」加藤周一のレベルからすれば百分の一ほどではあるが、私もまた、同じような悩みに悩まされている。






最終更新日  2010年12月26日 12時30分27秒
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