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カテゴリ:健康、医療
本日付の朝日新聞12面「私の視点」
医師偏在対策 半数以上を学士入学制に について 学士入学を増やせば医師の偏在を緩和できるという筆者の提言には2つの点で反対です。 (学士入学を増やすことについては賛成であるのであらかじめお断りしておきます。 また、行政、中核病院、大学付属病院、研修医で協議会を作る、臨床研修時代の給与の半額を6年間で返済させる、専門医となる前に地方に勤務した場合には返済義務を免除するなどの示唆に富む意見も書いてあります。) 筆者は 1、大都市部の有名私立高校に医学部への入学者が偏在している。 2、学士入学の医学生の方が動機が明確であった(高卒では動機不順?)。 として学士入学を増やすことが医師の偏在を解決するのに有効であると主張しています。 1、最近の新聞報道(すいません出典を忘れました)によると、医学部への進学者における地方の公立高校の比率が増えてきています。 とくに東京圏においては医学部への進学者がそれほど増えていないことを、東京圏では医師以外にも中央の高級官僚や大会社の社長などの”エリート”に接する機会が多いからではないかと指摘しています。 他方、地方の”有名”公立進学校では成績優秀者の多くが医学部を目指す傾向があり、医学部合格者も増えているようです。 2、学士入学であっても高校からの入学であっても医学部への入学動機がしっかりした人はいるでしょう。(いくぶん学士入学者の方が動機付けは強いかもしれませんが) そもそも今問題となっている医師の偏在(というよりも地方の医師不足)については卒後の臨床研究制度の発足が契機となり、さらに悪化していることは明らかです。 今まで大多数の新卒医師が大学病院で研修を受けていたのに対して、新制度の発足後は都市部の研修病院に集中してしまったことによります。 そして制度の1期生が研修を終了した今年は大学病院に医師が戻ってくると期待されたものの2年間の研修を終了した後もそのまま研修先の病院(や他の研修病院など)に勤務した医師が多かったようで、一部の大学病院では3年間で卒業生が一人も就職しなかったところあるようです。 何故研修先として大学病院が敬遠されるのでしょうか。 高度で専門すぎる病気や診断や治療が困難な患者が多くを占め、初歩の医師としての臨床研修に必須なコモンディジーズに接する機会が少ない。 臨床研修以外の仕事(研究、医学生の教育の補助、学会や研究会などの雑務など)が多い。 報酬の面で都市部の研修病院が魅力的である。 そして何よりも研修先の(大)病院に研修終了後にそのまま就職できれば以後は転勤が必要となることはありません。 他方、大学病院(医学部)に就職し、”医局”に所属した場合には、(教授や助教授、講師などになれる一部の人を除いて)いつかは関連病院へ転勤するか、開業しなければなりません。 制度が始まる前の研修を大学病院が続けていては大学病院での研修を希望する医師が少なくなるのはやむをえないのかもしれません。 (また学士入学により医学部に入学し医師となった場合においては当然医師になる年齢が高くなるわけであり、安定した生活を求める傾向が強くなる可能性もあります。) 今までのように大学医学部(というよりも各診療科の医局)に医師の派遣を要請するだけでは地方の病院が医師を確保することは難しく、 国、都道府県、大学、市町村などの病院設立母体との意見交換の中で医師の適正配置について決定するべきでしょう。 (具体策については?) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月31日 16時44分34秒
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