かごっま弁(鹿児島弁) 伝承のむつかしさ
先日、地元の南日本新聞に興味をひく記事が掲載された。皆さん、かごっま弁の「びんた」とは何を指しているかわかりますか。「頭」のことです。一般的には「ビンタ」は「頬を平手打ちする」こととなっているが、かごっまでは「頭」のことだ。「きゅはびんたがいてで会社をやすませっくいやはんどかい。あんしごちゃよろしゅ頼んもんで」(今日は頭が痛いので会社を休ませていただけないでしょうか。あの仕事はよろしくお願いしますので) そのかごっま弁の伝承に問題が生じているという今回の記事である。記事による認知度は次の通りである。 社会人 中高生 小学生 「びんた」=「あたま」 98,3% 43,3% 32,2%「からいも」=「さつまいも」 96,8% 41,8% 32,3%「とぜんね」=「さびしい」 61,3% 8,5% 18,1%「ぐらしか」=「かわいそう」 96,3% 34,0% 28,0% 他県の人から見ると飛んでもない上の4つの言葉でも、私たちの年代同士の話では現在も日常的に使っている。「びんた」「からいも」「ぐらしか」は巾広い年代を含む社会人でいづれも96%以上の認知度があるのに対し「とぜんね」は社会人でも61,3%の認知度である。 これらの言葉は私たちの年代では100%が知っているのだが、中高生以下になると、ほぼ40%以下の認知度と言っていい。詳細は記事にある通りだが、「保護者が方言を話す」と答えた小学生、中高生は45%、「話さない」は55%だったそうだ。当然のことながら家庭で方言を話す子供の方が理解度が高い結果が出たという。日常の生活に関係が深いということだろう。方言のイメージについては全体の63%が「良い」と答え「悪い」は5%どまりで好意的には捉えているそうだ。せめてもの救いである。 伝承活動については「自然の流れのままでいい」が58%で「盛り上がってほしい」の40%を上回ったとのこと。これを見るとやがては衰退し消滅していくことになるのだろうか。寂しい話である。 それはともかく、若者の方言離れが進む中で高齢者と接する医療・福祉現場では仕事に支障の出るおそれも出てきているとのことだ。私ども高齢者はとかくマイペースで一方的に話すことが多いので若い医師やスタッフとのスムースな会話が出来ず治療にも支障をきたす恐れがあると思われ、その対策として方言リストの作成などの必要性も言われるようになっている。 最後に思いつくままに「あ行」のかごっま弁を少し紹介します。アイガテ=ありがたい アイタヨ=ああ痛い アバテンネ=たくさん イッダマシ=たましいイタッキモンデ=行ってきます イシタ=汚い イッペコッペ=あっちこっち ウケ=多いオイ=俺 オセ=大人 オヤットサア=お疲れ様