釈迦とドラッカー
『「律」に学ぶ生き方の智慧(新潮選書)』刊行記念釈迦とドラッカー二人の賢者が考えた「生き甲斐」の組織マネジメント佐々木閑氏・岩崎夏海氏の対談が紀伊国屋サザンシアターで開催されていて、出かけてきました。佐々木閑氏は朝日新聞の『日々是修行』の連載が大好きで、毎週楽しみにしていました。佐々木氏は、仏教というものを一般人に親しみやすい言葉と表現でさりげなく教えてくださった方です。その生のお声を聞きたく思い、念願果たされました。釈迦とドラッカーという一見何の接点もなさそうな二人を、生き甲斐を見出す、あるいはやり続けるための組織とはいかにしてマネジメントしていくべきかという括りで、今回の対談が企画されたようです。はじめてサイン本をいただき、とてもラッキーでした。現代の私たちは、自分自身の生き甲斐を見出しにくい環境にあります。価値観が多様化しているので、昔のように、生き甲斐に繋がる社会的に共通な価値観(所得倍増計画とか、、)がない中、自分の生き甲斐は自身で探さなければならないのです。何を生き甲斐としてもよいという自由がある反面、何をなすべきかがわからないという人は意外と多いのではないでしょうか?さらには不確実な現況、3.11のような大天災に襲われた後の価値観の見直しなど、どのように今後生きていくべきかの方向軸を見失ってしまいがちになっています。そんなときに人は宗教に関心と、そっと救いを求めていくものなのですね。今回の対談では、今の日本の仏教とタイ、カンボジアなどの国々で連綿と続いている上座仏教というものの大きな違いというものがわかりました。ドラッカーと別にからめることの必然性はなかったとは思いますが、いま売れている「もしドラ」とかみ合わせることで両者とも売れていくことが出版社の狙いであったのでしょう^^;どんな組織とも無縁な人はいないはずですから、「もしドラ」がドラッカーのマネジメントをわかりやすく漫画でつたえてくれた意義は大きいといえます。ドラッカーのイノベーションに対して、仏教のサンガが、変わらないことで2500年も続いてきたという対比は組織論としては面白かったです。どちらにも真実があるということが、もっとも素晴らしいことで、一見対立するかのような概念もより細かい分析をしたり、あるいはより大きな目で見ていくと、それらの関係性の中にこそ真理があるのだと思えてきます。深いテーマでしたが、お二人の人柄からか親しみやすく聞けて楽しかったです。佐々木氏にサインしていただき、「朝日新聞連載のころから大ファンでした」と言ったときの「うれしい、、!」とおっしゃってくださった顔が優しさにあふれた笑顔でこちらが幸せになりました!