|
カテゴリ:気持ち・自分の気持ち・人への気持ち
緒形拳さんが亡くなられた。非常に残念な事である。自分の緒形拳さんのイメージは、寡黙な刑事のイメージなのだ。上のタイトル「大誘拐 RAINBOW-KIDS」(東宝)での刑事役で出演されていた。誘拐を扱っている犯罪映画なのだが、被害者が加害者に逆転し、身内から身代金をいただくという話し。だが、犯罪映画の暗さは無く、警察対犯人の頭脳戦(人質のはずが実は誘拐犯人を手玉に取ってアドバイスするという)が、コミカルに描かれていて、おもしろい。緒形拳さんは和歌山県警の刑事役で、人質になる山林王のおばあさんを尊敬してやまないという設定。実質、刑事とおばあさんの頭脳戦なのだ。
と同時に、「国家権力」対「納税者」で、あったりするわけで。 映画ではコミカルに描かれているが、和歌山の山林王で刀自である彼女は、戦争時に、悲しい思いをしていて、国家は、なにもしてくれなかったという思いを抱いている。この刀自は、三人組の誘拐犯が身代金をいくらぐらいなら払うか相談していると、自分の値段はそんなものかと逆ギレして、100億円要求するように迫る。そして、家の使用人に身代金を持って来させ、関わった者を共犯にしてしまう。本田博太郎さん扮するお抱えヘリコプターのパイロットも狂言誘拐に一枚噛む事になるのだが、テレビのレポーターに取材されているシーンは、おもしろいのだ。 無事、刀自は戻るが、身代金は戻らず。誰一人、傷つかず、事件は迷宮入りに。緒形拳さん扮する刑事は、確証は無いものの、裏で家のもの(おそらく刀自)が糸を引いているのではないかと睨むのだが、刀自との会話で、はぐらかされてしまう。 この映画、税金というのがキーワードになっていて、昔、戦争時に、家から人手を出して出兵させることが税の一つであったこと。と、100億円分の土地には税金がかかるが、身代金は非課税。土地を売っても課税されるなら、まるごとお金として持っていて、なにもしてくれなかった国に、取られるばかりでは、悔しいので一矢報おうといった刀自の気持ちがある。その後の、誘拐犯達は、刀自のもとで、働いていた使用人の姪と結婚して落ち着いたり、はたまた刀自の屋敷に使用人として住み着いたりするのであった。 これも、ある意味考えたらすごい事では。刀自の目の届く所にいるわけだから、監視の意味もあるんじゃない?。 緒形拳さんの事にはあまりふれてないのは、この映画を見て下さいというのもあるからなんだけどね。緒形拳さんのご冥福を心よりお祈りします。 と同時に、たくさんの映画やテレビ、演劇で、楽しませていただいた事に感謝いたします。 あと、緒形拳さんの吸血鬼映画「噛み付きたい」も面白いです。吸血鬼映画ですがホラーっぽくはありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|