CRIDE・SOUL

第七話

第七話「シャーリー会議2」


シャーリー「飯田さんが管理局に入局したのは、騎士カリムの推薦でクロノ提督に送られてね、
      やっぱ上からの圧力はかかったけど技術面で認めざるを得なくなって」

ティアナ「性格以外では、殲滅戦に単独で行けるくらいの優秀なストライカーですからね」

ノーヴェ「どっちかっつーとストライカーって綺麗名よりデストロイヤーの方が合ってるんじゃ
     ねぇか・・・?」

シャーリー「最初は特別訓練官の資格だけしか持ってなくて、それ以外の仕事は全く無かったら
      しくて、あの剣も使わせてくれなかったみたい」

スバル「てことは、数年も拳一本で部隊を鍛えてたって事ですか?」

シャーリー「そゆことね、持ち前の近接格闘技術でベルカチームだけしか担当してなかったんだ
      けど、やっぱみんな技術は上がっているみたい」

エリオ「でも今は陸曹長ですよね?それはいつから・・・」

シャーリー「今から三年前になのはさんの推薦で武装隊に入った時かな、流石に階級が無いのは
      行動の自由が無さすぎるって事で頂いたらしいの、あのデバイスも昇格と同時に特
      許を貰って使っているわ」

スバル「でも担当の訓練って、全部一人でやるんですか?」

シャーリー「大抵はそうだね、飯田さんについては一人で最大20人くらいまで面倒を見ること
      ができるから、訓練官としてもかなり上のレベル」

キャロ「20人をたった三週間で・・・?」

シャーリー「まぁほとんどが臨時でしかやらないんだけど、『短期陸戦格闘戦術訓練』まぁ通称
      『陸戦格技訓練』ってとこ。流石に空戦までは面倒見れないらしいけど、エリオや
      スバルは特別に一月やるんだっけ?頑張ってね」

スバル「既に先が思いやられる感じですけどね・・・」

エリオ「スバルさんはまだいいじゃないですか・・・僕なんて一撃も当てられなくて」

スバル「全力疾走してカートリッジ二発使ってノーガードの部分に拳当てたのにぃ・・・まさか
    カスリ傷で済むなんて人間じゃ・・・」

 スバルはあの時の倉和の眼を思い出すと急に青ざめる

ティアナ「あれだけの強化手術受けてるんだから仕方ないじゃないの」

???「まぁ、一世代前の手術だったら、負傷は免れねぇな」

全員「!?」

 全員が声のした扉の方を見ると倉和が腕を組んで壁に寄りかかっていた

ノーヴェ「い・・・いつからそこに!?」

倉和「デストロイヤーね・・・そう呼ばれても仕方ねぇって受けていいんかねぇ?」

シャーリー「そんな前から・・・って、最後に来た人扉くらい閉めてよ!」

倉和「しかし陰でコソコソと俺の事探るとはねぇ・・・別に聞いてくれりゃ話してやると思って
   たんだがよ、部隊とコミュニケーション取らせてくれねぇなんて俺は悲しいぜ?」

ティアナ「し・・・失礼しました」

倉和「んでシャリオ、どこまで話した」

シャーリー「えと・・・武装隊に配属になった辺りです」

倉和「なるほど、見て分かる通り俺はデバイスを持ってなくて実剣を特許で使っている。まぁ使
   わせてもらうまでかなり月日食っちまったんだがお陰で訓練も捗る、ベルカ組の訓練を担
   当してるが、まぁほとんどエリオやシグナムみたいに刃物を持っている・・・生憎俺もス
   バルみてぇな拳使いは見た事はねぇんだ」

スバル「やっぱ・・・ヘンですか?」

倉和「んーにゃ、俺に一撃入れたうえにアザまでもらったんだ、流石は日々あのメンツに鍛えら
   れてるだけあって、俺も訓練プログラムを組みやすい」

スバル「あ、ありがとうございます!」

ウェンディ「いくら硬い筋肉質とはいえ、よくアザで済んだッスね」

倉和「たしかに硬いとは思うが、防御面では筋肉よりも氷に頼る部分が多い」

シャーリー「易々と破壊できないですからね、飯田さんの氷は」

倉和「それに俺が手術失敗の代償で体中裂傷まみれになっちまってな、近い距離に深い傷がある
   と治癒機能が追いつかなくなり、縫合もできなくなっちまう。極めつけにゃ大量の化学液
   かぶらされ・・・こんな風になっちまった」

 倉和は手袋を外し、腕に巻かさっている包帯を解いた。腕についているのは多数の裂傷の痕、
そしてその傷に見えるは光る結晶のようなもの

エリオ「氷が・・・傷を塞いでいる・・・!?」

 指先に近づくにつれ傷は深くなり、左手の指の根本については、肉が全く無い状態である

倉和「流石に千切れた肉まで再生なんて器用なマネできねぇし・・・包帯巻いてねぇと不自然な
   目で見られっからよ。ま、コイツで殴られでもしたら人間じゃ骨にヒビはいるぜ?」

キャロ「痛く・・・ないんですか?」

倉和「10年近くこんな身体してんだ、もう慣れちまってるよ。それに聖王騎士団時代の爆発事
   故でだいぶ傷も拡がっちまって俺の身体の2割は氷で侵蝕されてんだ」

 襟元を少し引っ張り肩を見せると、広い範囲に氷が輝いているのが見える

倉和「ま、神経が通ってるだけありがてぇくらいだ、エリオとのクロスプレーで矛先の電気が掠
   めたんだが、まーだシビレが残ってやがる」

エリオ「え・・・僕の攻撃が当たったんですか?」

倉和「完全にとは言い難いがな・・・俺の振りが遅かったら直撃モンだったぜ?まぁ一撃に変わ
   りぁしねぇし、合格点はやるよ。槍騎士の訓練もご無沙汰だしな」

エリオ「はい!」

ティアナ「飯田訓練官、合格基準って・・・一撃入れることができたら合格なんですか?」

倉和「訓練官なんてカタい呼び方しねぇでくれよ、まぁ一撃っちゃ一撃だがあとは反応速度とか
   身体能力も少しは見ないとならねぇけどな。二人は無事合格してるし、訓練プログラムの
   内容を後で渡しとくから、たっぷりシゴいてやっから覚悟しとけよ!」


     -機動六課 ロビー-

フェイト「なのはと飯田さんは同じ所属でしょ、戦った事ってあるの・・・?」

なのは「一度だけね、武装隊総出の模擬戦のときに」

ヴィータ「あたしらは間近で戦闘あまり見てねぇから実力わかんねぇけど、なのはから見てどう
     なんだ?」

なのは「何というか・・・魔導師しゃないから戦術は滅茶苦茶なんだけど、人間離れしすぎてる
    というか・・・驚きの連続って感じ。初めてだよ、私いるチームが負けたの」

フェイト「えぇっ!?」

ヴィータ「おいおい冗談言うなよ・・・いくらあんな戦闘スキル持ってようがディバインバスタ
     ーで簡単に落とせるだろ?」

なのは「あうぅ・・・それがね、飯田さんのチーム、陸戦魔導師が多かったから拡がってしまっ
    たら集中砲火浴びちゃうから固まってたの、でも飯田さんだけは単独で行動してて一人
    で私のチームの3分の2を墜とされた。私もとりあえず固まってる敵チームだけでも墜
    とそうとカートリッジ3本も使ってディバインバスター撃とうとしたけど」

シグナム「けど・・・?」

なのは「私が撃つ瞬間に、飯田さんがありえない跳躍力で私の目の前まで迫ってきたの。慌てて
    撃ったら飯田さん、私のバスターを真っ二つに斬っちゃって・・・」

フェイト「魔力砲撃を斬った・・・あの実剣で!?」

ヴィータ「お・・・おっかねぇ・・・」

シグナム「私も・・・『紫電一閃』を手づかみで止められたな・・・」

 思い出したくない鬼人劇に少しブルーになるエース達だった


               END


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