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朝、ゴミを捨てようと玄関に出たら
ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ と、蝉がのたうち回っていた。 ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ よく見ると、小さなアリンコが 体に集っていた。 ああっ~、この蝉さんも、もうご臨終なのかしら あまりにも苦しそうなので、ひょいと拾い上げた。 その蝉を掴んだ時、ふとあることに気が付いた。 背中の羽根が、内側も外側も外に向かって生えているのである。 ちょうど漢字の八の字のように… その蝉がのたうち回っていた側の花に 新しい蝉の抜け殻が付いていた。 どうやら、羽化に失敗したのか それとも奇形で生まれてしまったのか 彼は今日の朝、殻から出てきた蝉らしい…。 この羽根のためか、彼は飛べないらしい。 彼の羽根を見て、ちょっと切なくなった… もしかしたら君は、うまくこの世界で 生きていけないかもしれないな でも、少しは木の蜜を吸って、鳴いて 大人の世界を味わって欲しいよ 「はちた」… 私は勝手に、蝉の「はちた」と命名した。 「はちた」 木にしがみついてごらん と、松の木に登らせたら ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ (うるせい、てめぃ、俺の体に触るな!) と言わんばかり、羽根をバタバタさせて落ちてきた。 あ~、なにやってんの。 もう一度、木に登らせた ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ (うるせい、てめぃ、触るなっていってんだろ!) と言っているのだろう。 また羽根をバタバタさせて落ちてきた。 おい!ちゃんと木に登りなさい!! 一喝したためか、今度はおとなしく木にしがみついた。 私はそれを見届けて、ゴミを捨てに行った。 帰ってきたら、まだしがみついている。 そうそう、その調子… そのまま家の中に入り、掃除を始めた。 お昼近くになった。 「はちた」が気になって見に行ったら、木にいない… また落ちているのかと、周辺を見回したが 「はちた」の姿はない。 どこにいったんだろう… 木の上の方を見たら 先ほどよりも2メートルぐらい上にしがみついている蝉を発見! 羽根の確認をしたら「はちた」だった。 おおっ!木にいるね。 そうそう、そのまま上の方にってもいいし 蜜を吸って鳴いてもいいよ そう声をかけ、私はバイトに出かけた。 夕方、帰ってきて「はちた」の木を見に行ったら… ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ (おい、てめぃ、今俺を踏みそうだったぞ!) と、怒っている「はちた」がいた。 あれれ、落ちてしまったの? また木に戻した。 そしたら… ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ (おい、てめぃ、触るなよ!) あまりにもの勢いだったので 木の反対側(お隣さんの庭)に落ちてしまった…。 ジー バタバタバタ ジー バタバタバタ (おい、てめぃ、なにしやがるんだい!) あ~「はちた」 そちらには 助けにはいけない…ごめん ごめんよ 次に日の朝、同じ木の上の方で 登っている蝉を見かけた。 高くて背中の羽根の形はわからなかったけど…。 あれが「はちた」であることを願いたい… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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