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司法書士 くりりんの事件簿

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2016.07.01
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カテゴリ:和歌山訴訟

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改めまして、和歌山訴訟で争われた争点を列挙します。


争点1:本件業務の受任及び事務処理が弁護士法72条に違反するか
1 本件受任契約の趣旨・目的
2 本件受任契約の趣旨・目的と認定司法書士の権限
3 本件受任契約の内容
4 司法書士の業務ないし権限について
 ア 裁判外の和解の代理権       ← 最高裁で取り上げられた争点はここだけです。
 イ 裁判書類作成関係業務を行う権限  ← くりりんはここを重視したいです。

争点2:本件業務が善管注意義務等に違反するか
1 司法書士としての説明・助言の懈怠
2 債務整理の処理方針の誤り
3 引き直し計算の誤り
4 過払い金の回収不十分
5 親族に対する債務の扱い
6 報酬請求の違法または不適切

争点3:争点1・2の各行為につき、当該司法書士に故意または過失があるか

争点4:全体として1個の不法行為を構成するか

争点5:損害の発生及びその額


ご覧のとおり、上告審では、争点のごくごく一部しか取り上げなかったことが
おわかりいただけると思います。
上告審は法律審だから事実認定をしないので、仕方ないといえばそれまでですが。

その結果、最高裁判決では、裁判外の和解における「紛争の目的の価額」の計算方法という、
どうでもいい…は言い過ぎですが、マニアックな判断を示すに留まりました。
しかも、示された理由は要は「わかりやすく決めろ」というのみです。

しかし、現に特定調停等の手続では債務者の受けた利益の額を基準に訴額を設定し、
その訴額をもとに訴訟費用を決めていて、
それで裁判所は印紙の額を決めさせているわけです。
その額が140万円以下なら司法書士は特定調停を代理できているわけです。
それなのに、裁判外の和解では債権者主張額でないといけない、そうでないとわかりにくい、
とするのは少々疑問です。

私はこれは、法の不備だと思います。
司法書士の業務の範囲という重要な問題を、解釈に委ねること自体がそもそも不適切です。
司法書士の業務範囲を140万円という価額で峻別する以上、
その計算方法は当然に法で明記されるべきです。

まあそもそも、訴額で業務範囲を峻別する発想自体がおかしいとも言えます。
いずれにしても、次の司法書士法改正を待ちましょう。
当然、家事事件代理権つきでお願いします。


さて次の話題です。
以前にもお伝えしましたが、弁護士法72条は、
報酬をもらって弁護士以外の者が法律事務を行うことを業とすることを禁じ、
これへの違反に対し重い刑罰を科しています。

しかし、法律で定められていることはこの限りでない、とあり、
司法書士法3条には
裁判所若しくは検察庁に提出する書類を作成すること
その事務について相談に応ずること

が司法書士の業務であることが明記されています。
ですから、地裁・家裁・高等裁・最高裁を問わず、また訴額がいくらであろうと、
その訴状・答弁書その他の準備書面等を作成したり、
作成に当たり相談に応じたりするのは当然に司法書士の業務範囲です。

あくまでも「書類作成」であり「代理」はできませんから、
訴訟活動や相手との交渉自体は本人が行う必要があります。
司法書士による交渉はできません。

では、なぜ和歌山訴訟の第1審及び控訴審において、
このことが争点になるのでしょうか。
争点になるということは、弁護士が、弁護士法72条違反だと主張しているということです。

そこで、タイトルとかけ離れますが、第1審と控訴審の判決内容を見てみます。

第1審における事実認定
・司法書士が取引履歴を取り寄せて引き直し計算をしてみた結果、140万円を超える過払い金があった。
・いわゆる「冒頭0円計算」の訴状を作成した。
・本人に対し、業者と直接に交渉することを禁止し、業者にも自分に連絡するように伝えたうえで、
 自ら和解交渉を行った。
・裁判所に提出することを予定していない、裁判外の和解のための和解契約書を作成した。

和歌山地裁の判断
・裁判書類作成関係業務の範囲を逸脱している

日司連執務問題検討委員会の見解
・冒頭0円計算は、インターネット上にも書いてあり、
 特段「高度な専門的法律知識に基づく業務」とまでは言えないのではないか
・和解交渉を禁止した等の事実認定には疑問が残る


控訴審における事実認定 (第1審と同じものは除きます)
・形式的には本人訴訟を支援する裁判書類作成という体になってはいるが、
 訴訟の当初から和解に至るまで終始、依頼者から相談を受けて、
 法律専門職として助言しており、この実質的な関与に応じて報酬についても、
 単なる裁判書類作成関係業務の通常の対価である4~5万円に比して、
 約20倍に上る99万8000円を得ている。

大阪高裁の考え方
1 法律専門職としての裁量的判断に基づく事務処理を行う
2 委任者に代わって意思決定をしている
3 相手方と直接に交渉を行う

 以上のようなことがあれば、それは司法書士法3条の「裁判書類作成関係業務」を行う権限
を逸脱するものと言うべきである。

大阪高裁の判断
・全体として見ると、弁護士法72条の趣旨を潜脱するものといえる


いかがでしょうか。
和歌山訴訟の内容を見ると、これはもはや司法書士法3条の解釈の問題ではなく、
事実認定の問題かな、と思います。
特に大阪高裁の示した3つの基準は非常にわかりやすいと思います。

本人訴訟支援はあくまでも本人が主役です。
本人が訴訟をしたがっているのに司法書士の判断で和解をするとか、
そういうことはあってはなりません。

もちろん、ただただ依頼者の言いなりになるのではいけません。
法情報の提供は当然やります。
(タイプライター説は学説上も明確に否定されているし、裁判例もあります)

しかし、最終的には本人に決めていただき、
本人の希望を叶えるために裁判書類を作成するのが本人訴訟支援における我々の業務です。
ましてや、直接に和解交渉をするなどもってのほかです。

つまり、この事例においては、
司法書士法3条の「裁判書類作成関係業務」を行う権限を逸脱する、
と判断されてもしかたないと思うわけです。

ただし、最後に大阪高裁が「報酬」の点に触れていますが、
ここは注意が必要です。
確かに、言うなれば、自らいろいろやらなくてはいけない本人訴訟は各駅停車、
全部司法書士に丸投げできる簡裁代理は新幹線みたいなものなので、
同一料金でいいわけがありません。
ここは懲戒事由にもなっていますので気をつけてください。

しかし、報酬は自由化されているのです。
そして、1000万円を請求するための準備書面と、150万円請求する準備書面とで
作成の手間暇やプレッシャーはかなり違うわけで、
「単なる裁判書類作成関係業務の通常の対価である4~5万円」
との決めつけには大いに疑問を感じます。
また、裁判書類作成関係業務だから当然に成功報酬が取れないとする
法令はどこにもありません。
「回収金の10%」のような規定も許されるはずです。

争点2にも関係してきますが、
説明責任を果たすことは重要です。
司法書士と弁護士の違いについてですね。
本人訴訟よりも、そりゃあ弁護士に丸投げできれば楽ですから、
報酬体系などとともに、この辺りをきちんと説明しておく必要はあります。

特に過払い金請求とか債務整理とかは、訴訟に本人呼ばれることはほとんどないですから、
弁護士に頼めれば楽、っていうのはありますね。
あとは、相手の顔も見たくないような場合、セクハラ被害者とか離婚事件とか、
そういう場合も本人訴訟よりは弁護士の代理のほうがいいかもしれません。
これが労働審判とかになってくると、どうせ弁護士に頼んでも毎回本人呼ばれますから、
じゃあ最初から司法書士で本人訴訟のほうがいいか、とかいうことにもなってきます。
労働審判でなくても通常の訴訟では、当事者尋問がありますから、
本人訴訟で裁判所自体に慣れておくのは有効だと思います。
やっぱり、自分の事件ですから、丸投げはよくないと思いますよね。


マスコミは今回の最高裁判決を受けて、「司法書士の業務縮小」と書き立てています。
ウソではありませんが、
しかし140万円の計算法というマニアックな論点にすぎませんし、
すでに述べたとおり、実務への影響は極めて限定的です。

また、ネット上などで司法書士の本人訴訟支援自体が否定されたような書き方をする方もありますが、
まったく違います。
訴訟になった事例では、明確に「裁判書類作成関係業務」を行う権限を逸脱する行為が
行われていたに過ぎません。

ですから、私は従来の主張を変えません。
本人訴訟支援こそをスタンダードにする世の中にしていきましょう。
司法書士も1億円の貸金請求や遺産分割事件、離婚事件(地裁・家裁)を
どんどんやりましょう。


だいたい言いたいことは言ったので、
次回あたりで完結篇でしょうか。


参考文献:「司法書士裁判外和解と司法書士代理の実務」(日本加除出版)
      八神聖、石谷毅、藤田貴子、著(敬称略)

     「解釈の力」司法書士会作成の紙芝居


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最終更新日  2016.07.01 04:10:31


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