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kuro0703の日記

三本足のkuro




「3本足のKURO」


昔々、とある町に不思議な猫がいました。

名前はKURO

KUROは、どんな感じの猫かといいますと、
白と黒の模様が混ざった少し変わった感じの猫です。

背中にあるマークなんか、良く観たら中国の道教・タオのマークみたいです。

タオとは、この宇宙を陰の勾玉と陽の勾玉が交互にぴったり合わさってるような
不思議な図で表現されます。


だから、KUROはどこか哲学者みたいな雰囲気もあります。

子猫みたいに小さくて、かわいいくせに哲学者みたいだなんて不思議ですよね。
でもそれは、たぶん、だいぶ歳のせいだと思います。
黒い部分に白髪まじってましたしね。

でも、どんな人にもとっても人懐っこい不思議な猫でした。

KUROとお話するとどんな人でも不思議と優しい気持ちになります。

たぶんKUROがどんな人にも懐くように甘える事が出来るからでしょう。

そんなKUROには親友がいます。
近くに住んでるミーミです。

ミーミはごく普通の人間の女の子です。
引っ越してきたばかりで友達がいなかったので
しょっちゅうKUROに逢いにきました。

ミーミはKUROが大好きだったので
KUROが大好きなお弁当を持って毎日毎日いろんなお話をしに行きました。

KUROは町の中でも結構大きな屋敷に飼われてる猫でしたので
なかなか触る事は出来ません。

最初、KUROは、ミーミがそばによると門の中の
手が届くか届かないかところで、クルンと横になり「ニャーオン」と
甘えるのですが手がとどかない所までしか来てくれませんでした。

そこで、ミーミは持ってきたお弁当をあけ、
ししゃもやチーズをあげました、すると今度は頭をなでさせてくれます。

そんなかんじでミーミはいつの間にかKUROと友達になったのです…。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


ミーミはいろんな話をKUROにしました。

どうして、ミーミの家は引越しばかりなのかとか、
友達ができないからさみしいとか
昨日、本屋で探したけど面白い本が見つからないとか
最近、流行りの歌が上手く歌えないとか


とりとめもない話をいっぱいいっぱい
ミーミはKUROにしました。

そんな時、いつもKUROは体をそばに寄り添うようにして
じっと耳を傾けミーミの話を静かに聴いてくれます。

KUROの毛並みはいつも綺麗です。
ミーミの肌に少しでもKUROの体が触れてると
とてもあたたかいぬくもりがあります。

すると、それだけで不思議とミーミの気持ちは安らぐのでした。

そんな静かな時間、ミーミは
友達が出来ないと相談すると、いつのまにか友達が出来るようになりましたし、
本屋さんでは素敵な本を見つけられるようになりましたし
ラジオでは、古いけど素敵な音楽のレコードを紹介してるのも
気づく事ができました。

KUROが教えてくれたおかげかな?
悩みが解決するたびにいつもミーミはお礼に行きます。
KUROが大好きなシシャモやチーズを持って。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


そんなある日、とても悲しい事が起こりました。

KUROが車にはねられたらしいのです。

なんでもお屋敷の主人が、
お酒に酔った運転手の乗ったトラックに轢かれそうになったのを
身を呈して助けたかららしいのですが、
KURO自身はぎりぎりの所で避けきれずに脚を痛めたらしいのです。

お屋敷の主人が病院にすぐに連れて行ったらしく
大事には到りませんでしたが、KUROは歩く事が
ぶきっちょになってしまいました。

噂を聞いて駆けつけたミーミーが見たのは
前右手が手首からなくなってたKUROでした。

ミーミが見に行くと、KUROは痛そうに
自分で治そうと・・ペロペロ・・なめてました。

それでもミーミーが通るのに気づくと
縁側から痛い手引きずりながらやってきて・・・
「ニャーーン」となきました。

そんなKUROを見るとミーミはとてもかなしかったのでした。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ミーミは、毎日のようにKUROを励ましに行きました。

ところが、ある日、屋敷のどこを見てもKUROの姿が見当たりません。

何日も通いました。
しかし、KUROはいっこうに屋敷から出てきません。

そんなある日、庭に屋敷の主人がうつむいて座っているのをミーミは気づきました。

屋敷のご主人様の話によると
どうやらKUROが家を出て行ってしまったらしいのです。

あまりの哀しさのせいでしょうか
屋敷の主人は落ち込んで、げっそりしています。

「KUROは片足が無くなってしまってから
 うちのみんなから、可哀相だと思われながらも
 少しいとましく思われはじめたらしい。
 
 それをKUROは自分で気づいてしまったんじゃ。
 とても賢いねこじゃったからな。

 KUROは、その背中に“タオ”の模様を持つ
中国からとりよせた高貴な猫なのだ。

 その猫の前足には、幸福を呼ぶ、不思議な力があると言われていたのだ。

 しかしその幸福を招く猫の前足がなくなったんでは縁起が悪いと
 家族のみんなは思ったのだな。

 わしの命の恩人のKUROなのに...」

ミーミは、なんとしてでも自分がKUROを探し出すから
そんなにおちこまないでと、はげますことしか出来ませんでした。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

だから、ミーミはいっしょうけんめいKUROを探しました。

町じゅうを探しました。

町のはずれにも
野良猫の溜まり場にも
保健所にも行きました

しかし、KUROはどこにもいませんでした。

そんなある日のこと

ふとした偶然に、ミーミはKUROらしき猫を見かけることになったのです。

それは、隣町の公園でホームレスたちが不思議なコンサートを
しているという噂がきっかけでした。

ミーミは音楽が好きだったので、
その公園のコンサートに行ってみたくなりました。

ところが、その公園に行ってみた所
コンサートとは名ばかりのもので、まったくひどいというか
とんでもない感じです。

ドラム缶を並べたような、汚らしいステージ

楽器なんて、ポリバケツにガムテープで貼り付けたような太鼓や
どっかから拾ってきたようなつぎはぎだらけのエレクトーン
アンプらしきものもありますが、
発電機はなんと壊れたスクーターの原付エンジンみたいです。
ガソリンで動いてますが、ぷすんぷすん今にも止まりそうです。

でも不思議です。

そんなところなのに、変な人達がいっぱい集まります。

青いテントの住人たち

ホームレスの人たちです。

おもむろに、ひとりのちょび髭はやしたサングラスかけたおじさんが
ドラム缶の上のステージで挨拶を始めたかと思うと

いきなり、おんぼろで、つぎはぎだらけのエレクトーンを弾き始めました。

それも、曲名はあの有名な「猫踏んじゃった」です。

わあああああああっ!

たくさんの人達が拍手を始めました。

驚いた事に、とんでもない猫踏んじゃったです。

まるで、スキップするかのように
音譜も、リズムも、まるで命がこだまするかのようです。

そして、ミーミは気づきました。

そのエレクトーンを奏でるちょび髭のおじさんの
指使いが変わりました。

こんどは太鼓が一緒に演奏を始めます。

でぶっちょの車椅子に乗ったおじさんが、
魔法みたいにスティックを使い。マシンガンみたいに
不思議なガムテープの太鼓を叩きます。
だから、よりいっそう凄い演奏に変わりました。

つづいて、ギターの登場です。

おんぼろエレキギターを引っさげてきたのは
ミーミと同じくらいの歳のお下げの女の子でした。

その子のギターといったら、たまりません。

まるで、心の一番深いところまで勝手に入ってきて
ぶるぶるびんびんはしゃいでるみたいです。

もう、ミーミは、涙が止まらなくなりました。

でも、驚きました。

観客の一人が呟きました。

「すごいよな、ニーナちゃん。
 なんで、耳が全然聞こえないのにこんなに
 曲を合わせられるんだろう?」

ミーミはやっと気づきました。

サングラスのおじさんは、目が見えないみたいです。

ドラムのおじさんは、足がうごかないみたいです。

そして、信じられないのですが、
どうやら、この今、すごい演奏してる
女の子は耳が聞こえないらしいのです。

女の子は、太鼓のリズムに合わせて、
空気の振動の流れに合わせて
いっしょに演奏してるみたいなのです。

なんか、すごく、不思議な気分でした。

そこには、ただ
聞きなれたはずの「猫踏んじゃった」が
あるだけなのに。

そこには音楽の宇宙がただあったように感じたからです。

ミーミは泣きました。

ただ、心打たれて泣きました。

公園に集まった観客たちも、拍手を忘れて、聞きつづけました。

そんな素敵な音楽会がいつまでも続きました。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ミーミは、演奏会のあと、
演奏した人たちにどうしても会いたいと思って
ポケットにあるだけいっぱいのお金で
買えるだけのお弁当を買って
青いテントに行きました。

そこには、KUROがいました。

ミーミとKUROは再会したのです。

「KURO…」

ミーミは泣き出しそうになりました。

KUROは、昔みたいに、そっとミーミのそばにやってきて
ほお擦りしてくれます。

あったかいKUROの毛並み。

KUROは幸せそうでした。

でも、KUROには待っているご主人様がいます。

だから、ミーミはその事をみんなに伝えなくちゃいけないと思いました。

だから、ミーミは、今までの事を一生懸命話しました。

みんなは、お弁当を食べるのをやめて、困った顔をしました。

でも、リーダー格なのでしょうか、
ちょび髭サングラスのおじさんが微笑みました。

「KUROとよばれていたのか、昔は…」

車椅子のでぶちゃんが笑いました。

「今は、SIROだよ。
 クロと白の模様、前足が黒かったからKUROだったんだな。
 今じゃ、黒い所より白いところ方が多くなったからSIROになったんだな」

そして、ニーナと呼ばれてた女の子がツンと、そっぽ向きながら
ちいさな手に乗る大きさのホワイトボードに走り書きしました。
そばでは手話でニーナさんに、みんなが話してる内容を教えてる人が
いたからわかったんだと思う。

『SIROのおかげであたしたちは、バンドを組めたんだ。
 お屋敷になんかSIROは返さないよ』


ミーミは複雑な気分でした。

「でも…」
うつむいて、ミーミは何も言い返せませんでした。

サングラスのおじさんが言いました。

「わしらは、こんなとこまで、世の中から、逃げてきたけれど
 それでも、わしらには、まだ誇りがあったんじゃ」

「それを教えてくれたのはSIROだった」

「SIROが、ぎこちなく、半分無くなった見えない手で触れてくれるとな。
 なんか、わしらは、自分がまだ、本当に最後の最後まで
 生ききってないことに気づかせてくれたんじゃ」

でぶっちょさんが言いました。

「傷を負った者でなければ、傷を負ったもの心の傷は癒せやしない」

ニーナさんも走り書きでボードを見せてくれました。
SIROと呼ばれるようになったKUROは
今はニーナのそばで、穏やかそうになでられてます。

『SIROはその傷の手で、私たちに勇気をくれた。
 私は事故で耳も聞こえなくなったけど
 でも心では、まだ歌を歌える。

 あたしは売れないシンガーソングライターだったけど
 今は心の中からいくらだって本当に自分が聴きたかった歌が聴こえる。
 
 耳が聞こえなくなったからかもしれない
 SIROが教えてくれたからかもしれない』

ミーミは言葉に出来ないくらいの思いが込み上げてきました。
さっきまで聞いてたたくさんの曲はみんなニーナさんの作った曲だと
さっきステージで教えられていたからです。

そんな、ニーナの手が、ホワイトボードの上を走ります。

『失ってしまったものは確かにもう二度と手に入らない
 あたしの耳みたいに、視力みたいに、足だったり…
 そういうものは、確かにあるけれど
 その代わり、その人は、みんなそれぞれに、ほんとうはその時すでに
 今、もっと大切なものを手に入れている。』

それを読んでいた、でぶっちょさんが言いました

「SIROの手で触られるとな。みんなそんな気持ちになるんだあよ」

そして、青いテントの人たちはみんないっせいに同じ声を出しました。

「ああ、そうだ。SIROが、勇気をくれたんだ。」

ミーミは思いました。

『なんで、KUROが、みんなをこんなに勇気づけられたのか
 なんとなくわかる。

 KUROは、前足が無くなってもあきらめなかったんだ。

 そして、自分の事なんかより誰かを元気にしたかったんだ。

 だから、今は見えない無くなった前足で触ろうとしたんだ。』


SIRO(KURO)は、
今は、ミーミのそばに来ています。


ミーミはお弁当箱の中から、
KUROが大好きだった
ししゃもやチーズをあげました、

また昔みたいに頭をなでさせてくれます。


それを見ながら、リーダーのちょび髭さんが言いました。

「SIROは、一番大事なことを教えてくれたんじゃ。
 この世にはたったひとつだけ、あきらめたほうがいいことがある。」

「えっ?」
ミーミは驚きました。


「そして、この世であきらめていいことはそれしかない。」

「あきらめるって? あきらめたほうがいいことなんてあるの?」

「それは“自分だけ幸せになろうとすること”…。」

「…。」

「わしらは自分勝手すぎたから、こんなところまで
 世の中のこんな最後のところまで落ちてきたんじゃ。

 ただ、自分だけ我をつっぱればなんとかなると思ってここまで来た。

 だがな、それは、どうやらまちがいだったんだと
 思うようになったんじゃ。」

「おじさん…」

 ミーミの心にその言葉の意味が、
 何かが、うまく言葉に出来ないけど
 確かに届きました。

「だから、これからは少し違う。
 わしらはわしらの出来る限るの事を持ってわしらが信じる
 本当に素晴らしいものを、誰かに一人でも多くの人に伝えようと思うんじゃ。

 わしらも、SIROみたいに、誰かを勇気付けるなにかをしたいんじゃ」

そして、その時です。

静かに、青いテントの外で拍手が起き始めました

たくさんの観衆がテントの外に話を聞いていていたみたいです。

ミーミは驚きました。

その観衆の中には、驚いた事に、あの館のご主人様もいます。

きっと、テントの話を聞いてた誰かが呼んで来たのでしょう。

ご主人様は言いました。

「さあ、今いちど。
 聞かせてくれないか。
 君たちの心の歌を。

 儂の命を救ってくれた猫が
 今度はもっと多くの人たちに勇気を与えるなら

 儂はいくらだって応援するから」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

そして、その夜、いつまでもいつまでも
素敵な曲が公園に鳴り響きました。

SIROと呼ばれるようになったKUROは
今はミーミのひざの上でゆっくり疲れを癒してるかのように
眠っています。

もうすぐ、夜明けです。

おしまい。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

三本足のkuroは、猫ジャラしマスターさんからの5555番きり番プレゼントです。
kuroがいなくなるまでは、ほとんど実話きっといなくなったkuroは、どこかで人に安らぎを与えていると思います。

猫ジャラさん素敵な童話ありがとう。
2003・11・15
kuro0703


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