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May 14, 2005
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◎『海辺のカフカ』
 村上春樹を読んだのは久しぶりだ。

 『風の歌をきけ』は面白かったが、
 『1974年のピンボール』がつまらなく、
 それ以来、短編集ぐらいしか
 読んでいなかった。

 英訳して、海外でも好評らしいが、
 村上春樹というのはもはやある種の
 カリスマだから、その評価は
 受け止め方が難しい。

 「世界で一番タフな15歳の少年」と
 「よくわからない老人」の物語が
 交互に記述される形式をとり、
 糸をよっていくように、
 二つの物語が一つになる。

 この世界では、魚が空から降ってきたり、
 妖しく怪しい生物が登場したりする。
 いわゆる超常識的なイベントも盛り沢山、
 そのイベントを引き起こす人間も、
 人間離れしており、リアルな小説とは言い難い。

 しかし、それが何らかのメタファーであるならば、
 メタファーの向こうにあるものは
 十分にリアルなのかもしれない。

 自転車操業という言葉を思い出させる
 村上龍とは対照的に、この人は
 デビュー時点で既に完成されていた
 アーティストなのだろう。

 昔から、この人を作家と呼ぶことには
 なんとなく抵抗がある。





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Last updated  May 14, 2005 11:22:54 PM
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