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◎『海辺のカフカ』 村上春樹を読んだのは久しぶりだ。 『風の歌をきけ』は面白かったが、 『1974年のピンボール』がつまらなく、 それ以来、短編集ぐらいしか 読んでいなかった。 英訳して、海外でも好評らしいが、 村上春樹というのはもはやある種の カリスマだから、その評価は 受け止め方が難しい。 「世界で一番タフな15歳の少年」と 「よくわからない老人」の物語が 交互に記述される形式をとり、 糸をよっていくように、 二つの物語が一つになる。 この世界では、魚が空から降ってきたり、 妖しく怪しい生物が登場したりする。 いわゆる超常識的なイベントも盛り沢山、 そのイベントを引き起こす人間も、 人間離れしており、リアルな小説とは言い難い。 しかし、それが何らかのメタファーであるならば、 メタファーの向こうにあるものは 十分にリアルなのかもしれない。 自転車操業という言葉を思い出させる 村上龍とは対照的に、この人は デビュー時点で既に完成されていた アーティストなのだろう。 昔から、この人を作家と呼ぶことには なんとなく抵抗がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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