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2006/03/25(土)10:25

日興 東京スター銀買収へ

四季(28)

証券と銀行の相互参入は一九九三年から可能になり、九八年には金融持ち株会社が解禁された。不良債権処理を終えたメガバンク系の持ち株会社は、傘下の証券会社の強化に力を入れて金融商品全般を扱う「総合金融」を鮮明にしている。  これに対し、証券系の持ち株会社が普通銀行業に進出した例はない。九〇年代に相次いで明らかになった証券会社の不祥事や株式市場の低迷で、業績が悪化していたためだ。  しかし、最近は投資家層のすそ野が広がって株式市場は活況となり、証券各社は〇六年三月期決算でバブル崩壊後最高の利益を計上する勢い。日興も同期決算の連結経常利益で、前期比二倍以上の千六百三十億円を見込む。  各社とも豊富な資金を元手に店舗や社員を増やすなど拡大路線に転じており、業界最大手の野村ホールディングスはインターネット取引専門証券会社(ネット証券)を設立して若年層の取り込みも狙う。大和証券グループ本社は三井住友フィナンシャルグループと提携し、法人向け証券会社の設立やローンの仲介などで実績を挙げている。  一方で日興は、米国の金融持ち株会社最大手・シティグループから資本を受け入れて業務提携しているが、海外資本の受け入れに既存株主が反発するなどし、一時は20%を超えたシティの出資比率は、昨年十二月に5%弱まで低下した。  このため、普通銀行を買収することで顧客基盤を強化するほか、振り込み決済、ローンなども手がける総合金融へと業容を広げ、競争力を高める方針とみられる。  ただ、証券業界内では「首都圏を中心に三十二店舗しかない小規模な銀行を買収しても、顧客基盤の強化にはならない」(国内証券関係者)と懐疑的な声が上がっている。野村も、独自に預金などを仲介する「銀行代理店」業への進出を検討しているが、「顧客が望んでいるとは言えない」(幹部)と消極的。日興による東京スター銀買収が実現して、目立った相乗効果が生まれるかどうか関係者は注視している。

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