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カテゴリ:戦争
![]() 監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 クリスチャン・ベール ジョン・マルコヴィッチ 伊武雅刀 片岡孝太郎 ガッツ石松 山田隆夫 第2次世界大戦を描いた戦争映画ですが、戦闘シーンはほとんど出てきません。それは、子どもが主人公だからです。子役時代のクリスチャン・ベール扮するジェイミーが、両親とはぐれ、捕虜収容所でたくましく生きていく姿を描いた感動作です。 ジェイミーはお坊ちゃんでした。使用人や運転手に囲まれ、日中戦争のさなか仮装パーティーに参加し、人ごみの中を自動車で避難するようなお金持ちのお坊ちゃんでした。ゼロ戦にあこがれ、「日本軍に入ってゼロ戦に乗る」なんてことを平気で言うお坊ちゃんでした。そんなお坊ちゃんが、両親とはぐれ、不良アメリカ人のベイシー(ジョン・マルコヴィッチ)の使いっ走りをして、捕虜収容所で暮らす中で、成長していくのです。 そんなジェイミーを演じるクリスチャン・ベールがいいんです。見事に成長していく少年を演じきっています。心なしか、映画の最初と最後では、身長も伸びているように思えます。(撮影に何年かかかって本当に伸びているのかもしれませんが。) 印象に残っているのは、収容所に隣接している日本軍基地の飛行場から、特攻隊の兵士が3人出陣式をしているのを見送るシーン。金網越しにジェイミーは、直立不動で敬礼し、美しいボーイソプラノで賛美歌を歌います。特攻隊の意味までは理解してはいないと思いますが、敵でありながら、その敬虔な雰囲気に思わずとった行動でしょう。 その次のシーン、飛び立ったゼロ戦は、空中で爆発します。その直後、連合軍の爆撃機が数機飛んできて、日本軍を攻撃します。基地は爆撃され、壊滅状態です。結局、その後日本軍は撤退していくわけですが、そんな中、興奮状態で叫びまわるジェイミーだが、勉強を教えてもらっていたイギリス人の医師になだめられ、ふと我に返ると泣き出します。「パパとママの顔が思い出せない……」。興奮状態が収まり現実にもどり、彼なりに収容所生活の終わりを自覚したのでしょうか。思わず涙してしまう名シーンです。 そして、最後の両親と再会するシーン。両親とはぐれてしまった子供たちの集団の中にジェイミーはいます。対面するのは、自分の子を探している親たち、一人、また一人と、見つかり抱き合っていく中、ジェイミーは暗い顔で、ボーとした表情です。お父さんが横を通ってもわかりません。(お父さんにがっかり)お母さんに呼ばれ、やっと気づくのです。(お母さんも半信半疑)2人は抱き合いますが、ジェイミーに笑顔も涙もありません。わずかに安堵の表情を見せますが、何か、明後日の方を見つめています。ジェイミーにとっては、お金持ちのお坊ちゃんの生活よりも、活気があって生き生きしていた収容所の生活の方が楽しかったのかもしれません。両親との再会はうれしいんだが、今後のことを思うと不安を感じずにはいられない、といった微妙な表情です。やられましたね、この顔には。 この少年が成長し、苦悩する正義の味方や、反乱軍の頼もしいリーダーや、不眠に悩む狂気の男や、キレキレのボクシングトレーラーを見事に演じるようになるのです。子役から上手に成長し、演技派の役者になっていくのを見るのはうれしい限りです。あとはジョディ・フォスターぐらいですかね。テイタム・オニール(大好きでした)や、ブルック・シールズや、「ホーム・アローン」の子(名前忘れた)は、どうしたんでしょうか。「ジュマンジ」を見た後、「スパイダーマン」を見たときはちょっとうれしかったです。 この映画、日本人の役者もたくさん出ています。伊武雅刀は、日本軍軍曹で、収容所の所長(?)という重要な役で、日本の軍人らしい重厚な演技を見せています。片岡孝太郎は、ジェイミーと心通わせる若い兵士の役で、いい味を出しています。ガッツ石松(OK牧場)と山田隆夫(座布団運び)も兵士の役で、ちょっと出ています。三遊亭円楽(楽太郎)によると、山田隆夫は、いまだにハリウッド映画に出たことを自慢しているようです。困ったものです。 しかし、ひとつわからないことがあります。それは題名です。「太陽の帝国」って、日の丸(日章旗の方かな)の国、つまり日本のことですよね。日本軍が中心じゃないんだけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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