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2011.08.28
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カテゴリ:戦争
「戦場のピアニスト」 The Pianist 2002年
                   フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス映画
監督 ロマン・ポランスキー
主演 エイドリアン・ブロディ

 カンヌ国際映画祭パルムドール、米アカデミー賞監督賞・主演男優賞・脚色賞、英アカデミー賞作品賞など、数々の賞を受賞している名作です。

 実在のユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記をもとに、自らが幼い頃ポ-ランドのゲットー(ユダヤ人居住地区)で生活し、母親をアウシュビッツで亡くしているポランスキー監督、渾身の感動作です。

 ナチスのワルシャワ侵攻から、ユダヤ人の迫害はどんどん加速していきます。家族での所持金を制限され、ダビデの星の腕章を義務付けられ、ゲットーへの移住を強制され、有無を言わさず突然収容所へ送られ、強制労働を課せられ、わけもわからず突然殺され、こういった目を覆うような場面が、これでもかと出てきます。監督が本物を経験しているからか、その描写は非常にリアルです。

 シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は、知り合いのユダヤ人警官(ユダヤ人を取り締まるためのユダヤ人の警察)のおかげで、収容所送りは免れますが、強制労働で慣れない力仕事に就かされ、ゲットーを逃げ出し、昔の友人にかくまわれます。そのうち、ポーランド人のワルシャワ蜂起で、町は崩壊します。それでも廃墟の中で隠れているシュピルマンは、今度はあろうことか、ドイツの将校にかくまわれるのです。
 彼らは、どうしてシュピルマンを助けるのでしょうか。確かにシュピルマンは肉体労働には不向きの優男で、いかにも芸術家肌です。(エイドリアン・ブロディの演技力?)ちょっと疑問だったので調べてみました。
 カギはショパンでした。ショパンはポーランドが生んだ偉大な芸術家で、ピアノ曲を好んで作ったことから、「ピアノの詩人」と呼ばれています。ポーランドの人々にとって、ショパンは特別な存在なのです。そのショパンのピアノ曲を弾くことのできるピアニストは、ただの有名人ではないのです。
 この映画の冒頭、シュピルマンはラジオでショパンの曲を弾いています。ここに大きな意味があったのです。彼はラジオという不特定多数が聞く舞台で、ショパンを弾くことを許された大いなる存在だったのです。まさに国の宝と言っていいほどの芸術家だったのです。
 ポーランド人がシュピルマンを助ける理由はわかりましたが、最後に出てきたドイツ軍将校が彼を助けたのはなぜでしょう。発見された時ピアニストだと名乗るシュピルマンに、将校はピアノを弾くことを命じます。廃墟の中のおそらくは長いことほっておかれたピアノで、長い逃亡生活で非常に久しぶりに演奏するピアニスト、その音はお世辞にも素晴らしいものではなかったでしょう。
 しかし、彼はシュピルマンの命を助けました。その場だけでなく、その後も何度か食料を運んでいたようです。シュピルマンが廃墟に隠れ始めたのが、ポーランド人のワルシャワ蜂起の時で8月、そしてドイツ軍が撤退し、シュピルマンが逃亡生活から解放された時は雪が積もっていました。つまり、少なくとも半年、シュピルマンは廃墟に隠れ住んでいたのです。その間生きながらえてこられたのは、このドイツ軍将校のおかげなのです。
 久しぶりにピアノを弾くシュピルマンは、恐る恐る弾き始めます。恐ろしいドイツ兵の前で、何年も触っていなかったピアノ、不安と戸惑いでいっぱいの中、何かを探り出すような弾き始めです。しかし、弾いていくうちに、彼の表情や雰囲気が変わってきます。いかにも幸せそうに、演奏にのめりこんでいきます。陶酔しきった彼の表情は、ドイツ人に、これは本物だと認識させるのにあまりあるものがありました。だから彼はシュピルマンを助けました。エイドリアン・ブロディの主演男優賞、納得です。
 このドイツ軍将校、ヴィルム・ホーゼンフェルトという名で、元教師で、ドイツ軍のポーランドでの所業に疑問を持ち、シュピルマンのほかにも、何人か助けたポーランド人がいるそうです。この映画の中ではちょっと出てくるだけですが、シュピルマンもこの将校を助けるためかなり奮闘しているそうです。残念ながら、助けられませんでしたが。
 しかし、最後の、この将校がソ連軍の捕虜になっているときの、命乞いのシーンはちょっといただけないですね。なんか女々しい感じで鼻につきますが、どうやら、実際にはこういうことはなかったそうです。(シンドラーなんか、1100人のユダヤ人を助けながら、最後に、「もっと努力していれば、もっと助けられた。」といって泣くんですよ。)

 ネットにあるこの映画の感想をいろいろ読んでみましたが、題名にピアニストとあるので、もっと演奏が出てくるかと思ってがっかりした、というものがありました。確かに、シュピルマンが、ピアノを演奏するシーンは、最初の方と最後の方に少ししかありません。
 しかし、彼は、終始ピアニストでした。ゲットーから逃げた後、2番目に行った隠れ家には小さなピアノがありました。もちろん隠れているので、音を出すことはできません。でも、彼はピアノをあけ、その前に座ります。彼は鍵盤の上で指を動かし、弾く真似をします。長い隠遁生活の中で、同じことを何度も繰り返していたことが想像できます。また、廃墟で隠れているとき、彼が静かに椅子に座り、目を閉じて指を動かしているシーンが何回か出てきます。ピアノを弾くことはかなわないのですが、彼がピアノを忘れることはなかったことが、これらのシーンからわかります。
 そして、彼がピアニストであることが、その命を助けたのは、上記の通りです。
 この「The Pianist」という題名は、間違いではありません。邦題の「戦場のピアニスト」の方がわかりやすいですが。





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Last updated  2011.08.28 18:42:13
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