勝手に映画批評

2011/12/13(火)17:00

名探偵コナン 漆黒の追跡者

アニメ(22)

「名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)」 2009年 日本映画 監督 山本泰一郎 声の出演 高山みなみ他いつものみなさん DAIGO  実は、「名探偵コナン」も好きな漫画の一つです。単行本もすべて購読しております。今回は、劇場版第13作ということで、例の黒ずくめの組織が話にかかわってくるということを、大々的に宣伝していたので、見たいと思っていた一遍です。少し前にTV放送があったものを録画していたので、観てみました。  まず、「名探偵コナン」を知らない人のために解説しておきます。  青山剛昌作「名探偵コナン」は、週刊少年サンデーに、1994年から連載されており、サンデー史上最長の連載で、今や大看板漫画となっている作品です。(現在も連載中)単行本も73巻(続巻中)を数え、「こち亀」や「ゴルゴ13」に並ぶ大長編漫画となっています。  TVアニメも、1996年から放映中で、原作にかなり忠実に作られています。  劇場版映画については、来年公開されるものが第16作で、ほぼ1年に1作、公開されています。TVアニメとは違い、原作から離れたオリジナルストーリーで、毎回作られています。  主人公は江戸川コナン、小学1年生です。その正体は実は、高校生探偵工藤新一です。ある時、新一は謎の黒ずくめの男たちの犯罪現場を目撃してしまい、彼らに毒薬を飲まされます。命を失うことはありませんでしたが、体が小さくなってしまいました。仕方なく、江戸川コナンと名乗り、幼馴染で、探偵毛利小五郎の娘、蘭の家に居候しながら、謎の黒の組織の情報を探りつつ、様々な事件を解決していくという物語です。  毛利探偵と娘の蘭、コナンの正体を知っている発明家の阿笠博士と少年探偵団の歩美・元太・光彦、元は黒の組織の一員でコナンと同じく小さくなってしまった灰原哀、警視庁の目暮警部と高木・佐藤・白鳥・千葉刑事、蘭の親友で鈴木財閥のお嬢様園子、なにわの高校生探偵服部平次と彼女の和葉、黒の組織を追うFBIのみなさんなど、おなじみのメンバーに囲まれ、毛利探偵が事件を解決する形を守りながら、実はコナンが解決しているというお話です。  今回の劇場版は、連続殺人事件に、黒の組織がかかわってくるというお話ですが、はっきり言って、突っ込みどころ満載で、まったくいただけません。がっかりしました。  まず、連続殺人事件ですが、探偵物にもかかわらず、まったく推理を必要としない事件で、普通に警察が捜査していけば、普通に解決できる事件で、まったく面白味がありません。実際、目暮警部たちとコナンは、まったく別個に捜査していますが、双方とも同じ犯人に行きついています。被害者たちの共通点を探っていけば、2年前の京都の火事に行きつくのは当たり前で、そこから犯人にたどり着くのも非常に簡単です。現実の警察でも、簡単に解決するでしょう。まあ、今回は黒の組織との対決がメインなので、事件としては、このくらいでいいということにしておきましょう。  さて、黒の組織の方ですが、今回は、原作には登場しないアイリッシュという男が、直接の対決相手です。彼は、工藤真一がコナンであることを突き止め、刑事のひとりを誘拐監禁して、変装してすり変わり、最後の対決の場にやってきます。そして、独断専行がすぎるとして、ジン(工藤に最初に薬を飲ませた男。黒の組織の中心的役割の男。ポルシェに乗っている。彼らは、お酒の名前のコードネームで呼び合っている。)たちに抹殺されてしまいます。  ここで、疑問に思うことが頻出してきました。  まず、アイリッシュはどうして、工藤がコナンであることがわかったのでしょうか。姿を隠したまま。実は黒の組織には、もうひとり工藤がコナンであることを知っている人物がいます。それはベルモットという女で、彼女はかなり長いことコナンたちの近い人物にすり替わっていたため、わかったのです。コナンは、身近な毛利探偵や蘭たちにも絶対わからないように、非常に慎重に行動しており、ばれていません。それを、姿を現すことなく、どうやって調べたのか、非常に疑問です。  また、そのコナンの正体をなぜ、組織に報告しないのでしょうか。ベルモットは、長い潜入生活の末、コナンたちを非常に気に入ってしまい、組織には報告しないことを宣言しているわけですが、アイリッシュには、そんなわだかまりはありません。どうして組織に報告しないのでしょうか。  またまた、アイリッシュが、わざわざ刑事のひとり(誰かは、書かないでおきます。)を、誘拐監禁してすり変わったのは、なぜでしょうか。どうして、そんな非常に危険なことをするのでしょう。顔などを見られないようにうまくやっていますが、はっきり言って、足がつきやすい、非常に危険な行為です。もっとうまくやる方法はなかったのでしょうか。  そして、最後の場面で、ジンたちは、ヘリコプターで東京タワーに近づき、機関銃で、打ちまくっています。東京タワーの展望台は、もう蜂の巣です。謎の組織が、そんな派手なことをやっていいのかということです。はっきり言って、どう考えても大騒ぎです。その大騒ぎぶりに、周辺の住人は絶対気づくでしょう。そして、目撃者はかなりの数に及ぶでしょう。そして、調子に乗って打ちまくった機関銃の弾は展望台の中に残りまくりです。証拠が残りまくりです。謎の組織として、それは有りなのでしょうか。  ということで、事件の陰に隠れて、コナンと黒の組織がいかに対決するか楽しみに観ていたのですが、陰に隠れない、予想外の派手な対決で、びっくりした次第です。  原作にはない話なので、コナンと黒の組織の間で、何かしらの進展があってはいけないのは分かっていますが、この展開はないだろう、と呆気にとられた次第でした。  いつものエンドロール後のミニコントも、コントになっていなかったし、非常にがっかりした一篇でした。  余談ですが、ゲスト声優のDAIGOには、がっかりしたのは言うまでもありません。いい加減、話題作りのためのゲスト声優という制度は、やめません?

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