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カテゴリ:西部劇
![]() 監督・主演 クリント・イーストウッド 出演 ジーン・ハックマン モーガン・フリーマン かつて、TV西部劇「ローハイド」やマカロニ・ウエスタン「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」などで、スターになったクリント・イーストウッド監督が自ら“最後の西部劇”と語る、米アカデミー賞作品賞・監督賞など4部門を受賞した傑作です。 1880年ワイオミングの小さな町の唯一の酒場で、娼婦が客に顔を傷つけられるという事件が起こります。犯人は近くの牧場の2人のカウボーイです。犯人を捕まえた町の保安官ビル(ジーン・ハックマン)は、2人が所有する馬7頭を酒場の主人に引き渡すという罰で、話をつけます。その裁定に不満な娼婦たちは、なけなしのお金を集め、犯人2人に懸賞金1000ドルを懸けます。 ウイリアム(ウィル)・マニー(クリント・イーストウッド)は、かつては銀行強盗や殺人で名を知られたアウトローでしたが、11年前に結婚してからは改心し、農場を営んでいました。3年前妻に先立たれてからは、2人の子と貧しいながらも静かに暮らしていました。 ある日、スコフィード・キッドと名乗る若い男が訪ねてきました。彼は、娼婦たちが懸けた懸賞金の話を聞きつけ、ウィルを誘って、懸賞金を手に入れようとやってきたのです。 11年銃を握っていないウィルは、迷いましたが、近くに住むかつての相棒ネッド(モーガン・フリーマン)とともに、先に行ったキッドを追いかけます。 一方保安官ビルは、拳銃持ち込み禁止の町で、拳銃を持ってやってくるアウトローたちを、力で抑えつける形で取り締まっていました。 主演のイーストウッドの雰囲気そのままの、渋く重い雰囲気で、物語は進んでいきます。ウィルは、かつての自分の無法者ぶりを深く反省し、11年間、酒も飲まず、静かに真面目に暮らしてきたのですが、あまりの貧しさにか、これを最後にしようと決意し、旅立ちます。 現地についた後でも、保安官一味に暴力をふるわれようが耐え、酒も飲まず、娼婦も抱かず、非常にストイックで物静かです。 しかし、金のためとはいえ、2人のカウボーイを殺し、そして、詳しく述べることはネタばれになるため避けますが、怒りを爆発させてしまいます。 そんな彼のことが題名の“許されざる者”なのでしょうか。やはり、昔さんざんやりたい放題してきた報いなのでしょうか、彼は、この罪悪感を抱いたまま、生きていくことになるのです。そんな男の悲哀を描いた映画なのです。 ところで、例の如く記事を書く前に、ネットでこの映画の感想を調べてみましたら、「力で町を牛耳っているビル保安官は、世界各地に軍隊を送って紛争を押さえているアメリカ合衆国の象徴である。」というような趣旨のものがありました。 この映画を見た多くの方が感じているように、僕もこのビル保安官のやり方に、強い嫌悪感を抱いていました。だから、この感想を見たとき、非常に共感しました。 実際にイーストウッド監督が、そういう意図で描いていたかは定かではありませんが、(というか、そこまで調べてはいませんが、)かつては政治家でもあり、バリバリの共和党員で、「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」の2部作で、反戦を堂々と訴え、あからさまにイラク戦争への批判をしているイーストウッド監督ですから、十分あり得ることだと思います。 はっきり言って、単純なストーリーですが、3人のベテラン俳優がそれぞれの個性を発揮し、重いテーマを正面から描いた、いい作品です。やっぱり、イーストウッド監督の作品には、はずれがありませんね。素晴らしいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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