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カテゴリ:ドラマ
![]() 「ラストキング・オブ・スコットランド」The Last King of Scotland 2006年 イギリス映画 監督 ケヴィン・マクドナルド 出演 フォレスト・ウィテカー ジェームス・マカヴォイ 1970年代に、アフリカのウガンダで、独裁政治を行い、「人食い大統領」「黒いヒトラー」などと揶揄されたイディ・アミン大統領を、スコットランド人の若い医師(架空)の目から描いた「スコットランドの黒い王様」という小説を原作に作られた映画です。 先日の第84回米アカデミー賞で、イギリスのサッチャー首相を演じたメリル・ストリープが主演女優賞を受賞しました。彼女は、なんと主演・助演合わせてノミネート17回というとんでもない常連中の常連で、その演技力は折り紙つきで、今回で3度目(主演2回、助演1回)の受賞です。 去年は主演男優で、「英国王のスピーチ」でコリン・ファースが実在の英国王ジョージ6世(現在のエリザベス2世の先代)を演じて、受賞しており、レイ・チャールズとか、エディット・ピアフとか、ガンジーとか、エリザベス2世とか、トルーマン・カポーティとか、実在の人物をそっくりに演じると受賞しやすい傾向にあるアカデミー賞の姿勢に、はなはだ疑問を持っている僕としては、ここは、いろいろな映画で、結構控えめながら存在感のある脇役を演じてきたフォレスト・ウィテカーが、どんなアミン大統領を演じて、受賞したのか気になり、この映画をレンタルして、鑑賞したわけです。 アミン大統領は、1971年、先代のオボテ大統領の外遊中に、クーデターを起こし、政権を奪うと、オボテ派の弾圧から始まり、部下の粛清など、1979年に失脚、亡命するまでに、30万人の国民を殺したといわれる独裁者です。若い頃、イギリス軍に所属(当時のウガンダはイギリス統治下だった。)していたことがあり、スコットランドは、ウガンダの次に好きな国だと発言していることから、この題名が付けられたのでしょう。 スコットランド人のニコラス・ギャリガン(ジェームス・マカヴォイ)は、大学の医学部を卒業したばかりの若い医師です。海外の医師の少ない国で働こうと思い立ち、地球儀を回して指差して止まった国、アフリカの小国ウガンダへ渡ります。 ウガンダの田舎の村で、まじめに働くニコラスは、ある日、その村にクーデターで大統領になったばかりのイディ・アミン(フォレスト・ウィテカー)がやって来ると聞き、演説を聞きに行きます。 言葉巧みに演説し、住民の心を湧き立たせていくアミンに、ニコラスはすっかり魅せられてしまいます。その後、偶然アミン大統領のけがを治療することとなったニコラスは、手際の良さや、はっきりとした物言いを、大統領に気に入られます。 その後、大統領に首都カンパラに呼び出されたニコラスは、大統領の主治医となることを、承諾させられてしまいます。 さて、問題のアミン大統領役のフォレスト・ウィテカーですが、部下を前にした毅然とした態度や、庶民に対するカリスマ性を感じる演説、夜中に弱気になって暗殺におびえる姿など、30万人も殺した、鬼のような独裁者として一般に知られる姿だけでなく、ひとりの人間として描かれており、存在感抜群の熱演でしたが、少し大袈裟な感じもして、主演男優賞を受賞するには、今一つ疑問を感じました。 実は調べてみたら、この2006年(第79回)の主演男優賞には、最近の常連、ショーン・ペンやラッセル・クロウ、ジョージ・クルーニー、ジョニー・デップ、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオら、大スターが誰もノミネートされておりません。なるほど、対抗馬がいないというラッキーもあったのね、とひとりで納得しました。 しかし、いつも脇役ばかり演じているフォレスト・ウィテカーとしては、たまたま容姿が似ているということではありますが、異例の主役抜擢で、大変張り切っての熱演だったので、受賞できてよかったと思います。僕は、「グッド・モーニング・ベトナム」や「バンテージ・ポイント」での、彼のいい人ぶりがとっても好きなので、実はうれしかったのです。 ところで、この映画の実質の主役ニコラスですが、はっきり言って、いけ好かないやつでした。医師の少ない国で頑張ろうという志はいいのですが、どこへ行くのかは偶然によって決め、その国の実情を全く知らずに渡ってしまい、行く途中のバスで知り合った女の子とHし、行った先の診療所の先輩医師の奥さんにまで手を出そうとし、挙句の果ては手を出しちゃあいけない女性(誰かは秘密)といい仲になっています。 はっきり言って、危機一髪に陥っても、まったくドキドキしませんでした。自業自得だわ、と思っただけです。 だから、最後の結末は納得できませんね。 この俳優さん、どっかで観たことあると思ったら、「X-MEN ファーストゼネレーション」で、プロフェッサーXの若い頃(つまり主役)を演じていました。そうか、将来有望な俳優さんなんですね。 ということで、観る価値のある映画だとは思います。ただし、残虐な場面もありますので、ご注意を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.03.06 16:52:58
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