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2012.04.28
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カテゴリ:時代劇
桜田門1

「桜田門外ノ変」 2010年 日本映画

監督 佐藤純彌
主演 大沢たかお

 幕末は好きです。
 新しい時代を作るために、日本中の人々が奮い立ち、若者のエネルギーが爆発した時代です。腐敗し切った江戸幕府を倒し、新しい時代を作り上げた勤皇の志士たちは、20代30代の若者たちで、彼らが国の行く末を憂い、命をかけて奮闘し、時代を変えていったのです。
 NHKの大河ドラマも、幕末のものは欠かさず見るようにしています。
 だから、この映画、非常に観たかったのです。やっと最近、行きつけのレンタルビデオ店で、旧作100円になったので、レンタルして観ました。

 “桜田門外の変”とは、勤皇の志の強い水戸脱藩浪士(ひとりだけ薩摩脱藩浪士)たちが、時の大老井伊直弼(彦根藩主)を江戸城桜田門の外で襲撃し、殺害した事件です。幕府の最高権力者である大老が、脱藩浪人に殺されてしまうという、それまでの時代では考えられないことが起こり、幕府の弱体化を象徴している事件です。この事件のニュースは全国の勤皇の志士たちを奮い立たせ、それが倒幕のエネルギーとなっていくのです。(僕の大好きな漫画「おーい!竜馬」の中で、坂本竜馬や武市半平太ら土佐郷士の皆さんが、そのニュースを聞き、テンションが上がっていく様が描かれています。その時の気持ちが土佐勤王党の結成につながっていくのです。)
 その“桜田門外の変”の事件そのものはもちろん、背景やその後も含め、その現場指揮官、関鉄之介(大沢たかお)を中心に描いた作品です。

桜田門3

 僕は、”桜田門外の変”に至るまでの、水戸藩の動向などを詳しく描いている作品だと思い込んでいたのですが、何と始まって30分ほどで、事件は起こってしまいます。
 その後、事件に参加したメンバーの顛末を、関鉄之助の逃亡を中心に、事件の背景となる部分を回想ではさみながら描いていく、という構成になっています。
 恥ずかしながら、幕末が好きで、自分自身詳しいと思っていたのですが、“桜田門外の変”については、その中心人物が関鉄之助という名だということも含め、よく知りませんでした。(事件が安政7年3月3日の季節はずれの雪の降る日で、井伊を打ち取ったのが、たった1人参加していた薩摩脱藩浪士有村次左衛門であり、井伊は最初の銃撃ですでにけがをしており、駕籠から立ち上がることができないまま殺されたらしい、ということは知っていましたが。)
 だから、この事件が、実は水戸藩上層部も参加している、結構組織的なものであり(関ら参加者たちは、藩に詮議がかからないように脱藩していた。)、薩摩藩の挙兵上洛(藩主島津斉彬の急死の為、実現せず。)と呼応して進められた計画であり、薩摩藩に見捨てられたため、関らは悲惨な最期となるという史実が、淡々と、まるで事件当日の“なごり雪”のように、静かに落ち着いた雰囲気で進められる物語のため、非常によくわかり、勉強になりました。

 水戸藩は2代目藩主徳川光圀(みなさんご存知の水戸黄門様です。)が「大日本史」を編纂して以来の、バリバリの勤皇藩で、徳川御三家でありながら、幕末時の御老公徳川斉昭の、外人嫌いもあり、藩を挙げての尊王攘夷の急先鋒でした。そのため、お世継ぎ争いの政敵でもある大老井伊直弼が、勅許を得ずに、日米修好通商条約を結んだことが許せず、暗殺に至るわけです。ところが、徳川斉昭が亡くなり、この事件の首謀者たちがすべて死に、その後、天狗党の乱などがあり、藩内の尊攘過激派が一掃され、尊王攘夷派の中心は、長州藩などに移っていくのです。

 しかし、江戸城無血開城は、この“桜田門外の変”のわずか8年後であり、関鉄之介の死からでも、6年後です。(そうなんです、幕末といわれる時代は、意外なほど短いのです。)
 関たちや天狗党などの勤皇を志す水戸藩の勢力が、もう少し生き残っておれば、幕末の勢力図も変わってきたと思われ、徳川斉昭の息子である第15代将軍徳川慶喜を中心とした近代的な幕政改革が行われ、戊辰戦争のような内戦も起こらなかったかもしれません。
 もちろんそれは、水戸藩の尊王攘夷派に限らず、武市半平太らの土佐勤王党、禁門の変で亡くなった久坂玄瑞や来島又兵衛・真木泉水ら長州藩の尊攘過激派、など過激な勤皇の志士は、ことごとく維新を前に亡くなっており、坂本竜馬・中岡慎太郎・高杉晋作・吉田松陰・佐久間象山などの人材が、暗殺や獄死、病死などで同じく維新前に亡くなっていることも、同じようなことが言えるのですが。
 この映画のラストシーンを見ていて、そんなことを思いました。あのラストシーンを持ってきたということで、どうやら、その辺がこの作品のテーマなのではないでしょうか。

桜田門2

 淡々と静かに落ち着いて進む、映画の雰囲気に、主演の大沢たかおの雰囲気がマッチして、非常に大人な感じのいい映画に仕上がっております。
 また、こんなことを言うと不謹慎かもしれませんが、“桜田門外の変”の事件シーンでは、うっすらと真っ白な雪が降り積もる中、真っ赤な血が飛び散るところが、見事な殺陣と、スローモーションを交えた描写もあり、非常に美しく思えてしまいました。





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Last updated  2012.05.01 12:27:20
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