|
カテゴリ:ファンタジー
![]() 「エアベンダー」 The Last Airbender 2010年 アメリカ映画 製作・監督・脚本 M・ナイト・シャマラン 出演 ノア・リンガー デーヴ・パテール ジャクソン・ラスボーン あのラジー賞を何と5部門(最低映画賞、最低脚本賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最も3Dの使い方が間違っている映画賞)も受賞している、あのM・ナイト・シャマラン監督のファンタジー系・SFアクション映画です。 いろいろなところで、酷評されているので、どれほどひどいのか、観てみたかったのです。 火・水・土・気の4つエレメントの国に分かれている世界です。それぞれの国に、その国のエレメントを操るベンダーと呼ばれる戦士がいました。その中から、まれに4つのエレメントを操ることができる“アバター”と呼ばれるものが現れ、世界を救うと言われていました。 ある時、火の国が、他国を侵略し始め、世界の秩序が乱れ始めます。 火の国が侵略始めて100年後、南の水の国に住むカタラ(妹)・サカ(兄、ジャクソン・ラスボーン、ラジー賞受賞)の兄妹は、氷の中で眠っている少年を見つけます。 そのアン(ノア・リンガー)と名乗る少年は気の国出身のエアベンダーであり、水・木・火も操ることができる伝説の“アバター”なのですが、修行の途中で逃げ出したため、自由に操ることができるのは、“気”だけだったのです。 というように、基本設定は、「NARUTO」と「ワンピ-ス」を合わせたような、なかなか面白そうな世界です。それもそのはずで、実はアメリカで様々な賞を受賞している、大人気TVアニメの映画化作品だったのです。(日本には、輸入されていないようです。そらそうだ、日本のアニメの方がずっと深くて面白いからね。) 今回は、そのシーズン1「水の巻」の映画化で、アニメに合わせて、「土の巻」「火の巻」と3部作にする予定なのだそうです。(つまり、主人公アンが、3つのエレメントを操る技術を身につけ、真の“アバター”になり、火の国の侵略を食い止め、世界を救う物語ということですね。) だから、エレメントを操るといっても、カンフー技の延長で火や水の塊を飛ばしてるだけじゃんとか、水の国って、結局氷の国やんとか、気の国ってお寺しかないのとか、火の国のズーコ王子(デーヴ・パテール)ってなんで自分の国の軍勢に敵って言われているのとか、お話の内容に関する突っ込みは、原作のアニメがその通りだったら、言ってもしょうがないので、突っ込んではいけないでしょう。(と言いつつも、書いてしまいました。) ![]() 今回、DVDでこの映画を鑑賞していたのですが、何と不覚にも途中で寝てしまいました。やっぱり、面白くないのですね。(最近仕事が忙しくてちょっと疲れ気味ということもあったかもしれませんが。)設定はなかなか興味深く、上手に作れば絶対面白くなるのに、と思いつつ、どうして面白くないのだろうかと考えてみました。 まず、場面場面がブツッと切れた感じで、転換が唐突な感じがします。 そう、ちょうど、かつて流行っていた、人気あるTVアニメの再編集の総集編的映画のようです。「アルプスの少女ハイジ」とか、「あしたのジョー」とか、「機動戦士ガンダム」とか、かつては結構やっていましたよね。そして、結構集客していたのですが、最近は観客の目が肥えてきたためか、そういうのは全くやらなくなりました。 もちろん、この映画は実写なので、アニメの映像の再編集ではありませんが、脚本の上で、再編集のようなことがなされているのではないでしょうか。 それから、何か説明不足で、よくわからないまま、お話が進んでいく感じがあります。アンが、修行の途中で逃げ出してきたのはなぜかとか、なぜ、氷の中にいたのかとか、ズーコ王子が火の国を追放されたいきさつとか、なぜ、南の水の国には水のベンダーがカタラしかいないのかとか、火の国の王の兄というアイロが、国を追放されたズーコ王子と行動を共にしているのはなぜかとか、アイロと火の国の軍団のジャオ司令官との間に確執があるみたいだが、それは何かとか、ドラゴンの精霊とか海と月の精霊は、どのような存在なのかとか、はっきり言って、わからないところばかりです。 これもあれですかね、1シーズン分のTVアニメ(30分アニメとして、5,6時間ぐらいあるはず。)を、1本の映画(上映時間103分です。)再編集しているため、結構はしょっているということですかね。 というか、TVアニメのファンにとっては、わかりきっているので、いまさら説明する必要がないということですか。ドラえもんの映画を見て、「あのポケットは何でも入るんだね。」とか、「ワンピース」の映画を見て、「あの子は何であんなに腕が伸びるんだね?」とか、「名探偵コナン」の映画を見て、「あの毛利蘭って女の子は、どうしてあんなに強いのかね?」とか、そんな発言をする人がいないのといっしょですかね。 あと、アクションシーンが、なんかワンパターンのような気がして、火とかたくさん使っている割には(火の国の軍勢が攻めてくるのだから当たり前。)、面白くないですね。 どの国の人も、みんなカンフー技で、火や水の塊を飛ばしてみたりしているだけで、攻撃のバラエティがないんですよね。 「ワンピース」の悪魔の実の能力者たちの攻撃なんか、ひとりで何パターンもの技を持っていて面白いですよ。“ゴムゴムのガトリング”とか、“ギガントピストル”とか、“ゴムゴムのおあずけ(笑)”とか、ルフィだけでも十数パターンの攻撃技を持っていますよ。 一応、原作の資料を調べてみたら、火の国は少林拳、水の国は太極拳、土の国は洪家拳、気の国は八卦拳というように、それぞれの国の技を区別しているようですが、はっきり言って、素人には、みな同じカンフーに見えてしまいます。しかも、主役のアン役のノア・リンガー君は、テコンドーの黒帯だそうで、結局、クソもミソも一緒ということですね。 アクションシーンのカメラアングルも、いつも同じような感じで、工夫が全く見られないです。「レッドクリフ」などのアクションシーンをもっと見て、勉強してほしいですね。 ![]() それから、キャストにも疑問が残ります。 主役のアンをはじめとして、主要人物は、みんな子どもばかりなので、しょうがないところもあるのですが、北の水の国の王女様は全く王女様に見えないし、カタラ・サカの兄妹は大根だし、アイロやジャオなどの大人役の中に有名な人はいないし、火とか爆発とかCGとかに予算をとられて、キャストの方に回せなかったのでしょうか。 とりわけ、1番びっくりしたのは、「スラムドッグ$ミリオネア」のジャマールが、悪役で登場してきたことですね。確かに、眼力とか考えると悪役もできそうですが、演技の端々に、持ち前の優しさが見え隠れして、悪役に徹し切れていない感じがしました。もしかしたら、話が進んでくると、彼はアンたちの味方になるのではないでしょうか、そういう先を見越したキャスティングなら納得ですが。 映画のラストに、いかにもという感じで、火の国の王女(ズーコ王子の妹)が登場してきて、続きがありますよ、という感じで終わりましたが、シャマラン監督は、この第1作の散々な評価を受けて、3部作すべて作るつもりでしょうか。 僕はやめた方がいいと思います。(偉そうに、何様だ。) まあ、監督や脚本家やアクション監督を変えるなら、話は別ですが。(同上) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ファンタジー] カテゴリの最新記事
|