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カテゴリ:ファンタジー
![]() 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」The Lord of the Ring : The Return of the King 2003年 ニュージーランド・アメリカ映画 監督 ピーター・ジャクソン 出演 イライジャ・ウッド ショーン・アスティン ビリー・ボイド ドミニク・モナハン イアン・マッケラン ヴィゴ・モーテンセン オーランド・ブルーム ジョン・リス=デイヴィス ということで、第3弾です。 本作は、米アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚本賞など過去最多タイの11部門を受賞しています。実は「1」「2」も、作品賞などにノミネートされていますが、視覚効果賞とか美術賞とか技術系の賞のみの受賞に留まっています。どうやら、アカデミー賞協会の皆さんは、「1」の時も「2」の時も、その作品の完成度には注目していましたが、「1」も「2」も明らかに完結していないので、その評価はすべて完結してからと思っていたようで、この映画の完成で3部作が完結したことにより、作品賞受賞ということになったようです。まあ、話はしっかりつながっているので、3本で1つの物語という解釈でしょうか。 この第3部の題は“王の帰還”、その王とは、もちろん、イシルドゥア王の末裔アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)のことです。彼は強く決断力にも長け、王としての素質は十分ですが、イシルドゥアがかつての冥王サウロンを倒し“指輪”を手に入れながら、葬り去ることができなかったことを恥じ、“さすらい人”に、身をやつしていたのです。 この物語は、そんな彼が、ホビットのフロド(イライジャ・ウッド)たちの“指輪”を捨てる旅に加わることにより、サウロンの精神が支配し、闇の魔法使いサルマンが組織するオークやウルク=ハイの軍勢と戦う中で、人間の王となることを決意する物語でもあるのです。 前作の最後で、ローハンでの戦いに辛くも勝利し、そのままローハンに留まっていたアラゴルンのところへ、裂け谷に住むエルフの長エルロンドがやってきます。彼は裂け谷に保管されていた、かつてサウロンを倒した時に砕けたイシルドゥアの剣を打ち直し、アラゴルンに渡そうと持ってきたのです。そして、“死者の道”と呼ばれる場所に、かつてイシルドゥアに忠誠を誓いながら果たさなかったため成仏できず彷徨っている死者たちがいる、アラゴルンが命じるならば彼らは戦いに加わるだろうと、助言を与えます。 アラゴルンは、エルロンドの助言に従い、エルフの弓の名手レゴラス(オーランド・ブルーム)と、ドワーフの戦士ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)とともに“死者の道”に向かい、幽霊たちを説得し、戦いに参加させることに成功します。 そのおかげで、無数の援軍を得て、闇の軍勢に圧倒されていた人間軍は、形勢を逆転することができたのです。 幽霊たちがアラゴルンに従ったということは、イシルドゥアの剣を持っていた彼を、幽霊たちはイシルドゥアの後継者、つまり、人間の王として認めたということに他ならず、アラゴルン自身が、人間の王と成る覚悟を見せたということです。 ![]() 一方、前作の最後、サルマンの本拠地を壊滅させるという大活躍を見せた、ホビットのやんちゃ坊主コンビ、ピピン(ビリー・ボイド)とメリー(ドミニク・モナハン)ですが、今回は別々に行動します。 ピピンは復活した魔法使い白のガンダルフ(イアン・マッケラン)とともに、闇の軍勢の攻撃されている人間の国ゴンドールへ向かいます。もちろんガンダルフとともに、戦闘に加わるピピンですが、いかんせん小柄(ホビットとしては普通)なため、はっきり言って、あまり戦力になりません。 しかし、敗色濃厚なため、精神的に追い詰められ、ご乱心するゴンドールの執政デネソールが、戦闘から離れ、虫の息だが、まだ息のある息子ファラミア(「1」で旅の仲間に加わるが、惜しくも途中で亡くなってしまうボロミアの弟。)を火葬しようとするのを、体を張って阻止したのがピピンでした。 メリーは、ローハンで、ゴンドールへの援軍に加わろうとしますが、ローハンのセオデン王と、軍を指揮している王の甥エオメルに、ホビットには荷が重いということで、認めてもらえませんでした。 すると、女ということで出陣させてもらえなかった、王の姪(エオメルの妹)エオウィンに呼ばれ、一緒によろいを着て馬に乗り、密かに援軍に加わるのです。 ![]() この物語、主人公はフロド、次にアラゴルンですが、実はヒーローは、ずーっとフロドに付き従っているホビットの庭師サム(ショーン・アスティン)です。 サムは、フロドが“指輪”のことをガンダルフから聞いているところについ居合わせてしまったときから、時には助け、時には励まし、ずーっとフロドに付き従ってきたのです。特に「2」からゴラムが道案内のため同行するようになってからは、密かに“指輪”の奪還を目論んでいるゴラムを常に警戒し、その暗躍を阻止してきたのです。 しかし、モルドールまであと1歩という岩山まで来たとき、ゴラムの策略に引っ掛かり、フロドが、“指輪”の魔力に徐々に魅せられて行き、だんだんと精神的に不安定になって来たこともあり、とうとうフロドに疎まれ、仲たがいをしてしまいます。 ところが、サムはめげませんでした。その後、岩山の洞窟で、フロドが巨大なクモに襲われ、毒のため動けなくなり、糸でぐるぐる巻きにされてしまったとき、フロドに「帰れ!!」と言われてしまいましたが、実は離れてついて来ていたサムが現れ、勇敢に巨大なクモの怪物と戦い、退けることに成功します。その上、サムがクモと戦って退けた直後、突然現れた数人のオークに、動けないフロドをさらわれてしまいましたが、オークたちの後を追い、勇敢に戦い、オークたちを倒し、見事にフロドを救います。 そして、溶岩がゴロゴロしている火山を登り始めてからは、やはり“指輪”の魔力にさいなまれ、途中で力尽きて倒れてしまったフロドに、「おれに指輪は運べないけど、フロド様は運べます。」と言い、ほぼ同じ大きさ(サムの方がやや太めです。ゴラムはサムのことを“デブのホビット”と呼んでいました。)のフロドを抱え、山を登り始めるのです。この場面、もう涙なしには見られません。 フロドは、最後に「お前がいてくれてよかったよ、サム。」とついつぶやきますが、本当に、サムがいなかったら、フロドはその使命を果たすことはできなかったでしょう。僕は心の奥底からそう思います。 最後に王となったアラゴルンが、4人の小さな仲間たちに向かって、「礼を言う。」と言って頭を下げる場面があります。カメラは4人のホビットを映しながら、フロドにズームしていきますが、僕は、「違うだろ!!サムだろ、ズームするのは。」と思わず突っ込んでしまいました。そして、その後のサムの結婚式の場面、心の奥底から「よかったね、サム。」と思っていました。 ということで、「ホビット・サムの大冒険」を見たい人は、とにかく思いっきり覚悟して、体力と時間が有り余っているときに、一気に見るといいでしょう。9時間以上かかりますが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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