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カテゴリ:サスペンス
「パニック・ルーム」 Panic Room 2002年 アメリカ映画 監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ジョディ・フォスター クリステン・スチュワート フォレスト・ウィテカー アメリカのアカデミー賞が決まりましたね。下馬評では、「リンカーン」とか「レ・ミゼラブル」が本命と言われ、もしかしたら「ライフ・オブ・パイ」かなともいわれていましたが、大穴の「アルゴ」でしたね。意外でした。 なんか第78回(2006年3月)の「クラッシュ」の時と似ていますね。あの時も「ブローバック・マウンテン」が本命、「ミュンヘン」が対抗とか言われていたのですが、大穴でした。あっ、あの時も監督賞はアン・リー(「ブローバック・マウンテン」)でした。そして、スピルバーグ(「ミュンヘン」)は負けていますね。 そして、主演男優賞は、今回は「リンカーン」のダニエル=デイ・ルイスがリンカーン大統領を演じて受賞しましたが、あの時も、フィリップ・シーモア・ホフマンが「カポーティ」で、実在の人物を演じて受賞しています。しかし、アカデミー賞って、実在の人物をそっくりに演じると必ず賞をもらえますね。 僕は個人的には、お気に入りのジェニファー・ローレンスが主演女優賞を獲得できましたので、うれしく思っています。下馬評では、おばあさんと女の子の戦いが話題になっていましたが。 さて、今回の記事ですが、アカデミー賞に先立ちまして毎年発表されるラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)で、今年めでたく「トワイライト」シリーズの最新作で、見事最低作品賞とともに、最低主演女優賞に輝いたクリステン・スチュワートが、まだ子役の頃に出演し、将来有望な子役と言われた映画です。(ちなみに、「トワイライト」シリーズは、昨年もノミネートされていますが、「ジャックとジル」という賞を総なめにする大作があったため、受賞はしていません。「ジャックとジル」いかにダメ映画か、非常に気になります。) 夫と離婚して間もないメグ(ジョディ・フォスター)は、11歳の娘・サラ(クリステン・スチュワート)と共に、少し前に死去した老富豪が住んでいたニューヨークの豪邸に引っ越してきました。その豪邸は法律であと数日は入居してはならないと決められていた物件だったのですが、販売業者のミスでメグ達は予定より早く入居したのです。 その夜、メグたちが入居していることを知らずに、富豪の遺族の1人であるジュニアが、仲間のラウールとバーナム(フォレスト・ウィテカー)を連れて邸内に侵入してきました。ジュニアは屋敷に設けられた緊急避難用の密室「パニック・ルーム」に隠し財産があることを知り、仲間を連れて屋敷が人手に渡る前にこれを秘密裏に奪取しようと考えていたのです。 強盗達の存在をカメラと物音で確認したメグはすぐに事態を察知し、娘と共にパニック・ルームへと逃げ込みます。一方、強盗達は、仕事上パニック・ルームをいくつか作ってきたバーナムの知識を頼りに、彼女たちを中から出てこさせようと様々な行動に出るのでした。 監督が「セブン」「ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー、主演が強い女(心的にね。)をやらせたら天下一品のジョディ・フォスターとくれば、とっても面白いサスペンスになるはずだ、と思って観たのですが、何となく、いまいちだったのはなぜでしょう。 強盗のリーダーがとんでもないおバカだし、強盗の1人はいい人(そのためのフォレスト・ウィテカーのキャスティングなのかなあ。)にしか見えないし、あとひとりは凶暴な本性が見えなくて、得体が知れないし、強盗団があまりにも脅威に感じなくて、このまま朝までパニックルームにこもっていれば、何とかなるんじゃないかと思ってしまうんですね。 そこには、娘の病気のことが最初から語られていないというのもあります。娘のサラは、重度の糖尿病で、インシュリンをコントロールして命を永らえているようです。 映画の途中から極度の緊張状態からか、低血糖状態に陥ったようで、すぐに、糖分を補給する注射を打たなければならない状態に陥ります。(症状から低血糖と判断しました。) 映画のかなり後の方で、何とか注射をして助かっていますが、かばんの中には2種類の注射があったはずです。自分の体でインシュリンを分泌できないため、インシュリンを注射で補給するのですが、極度に緊張するとインシュリンが働きすぎて、低血糖になってしまうので、その時はブドウ糖などを注射するんですよね。 その注射が入ったかばんが手元にないため、危機になってしまうのですが、そのことが映画の最初から語られていないので、危機感がわかなかったわけです。確かに、最初の方で、メグが娘のサラの腕時計状の計器をチェックする場面が意味ありげに出てきますが、それが血糖値を測定する機械だということを、僕自身の無知もありますが、全くわかりませんでした。観ている人がみんながみんな、そのことがわかるわけではないので、ちゃんとせりふで説明してほしかったですね。(冒頭の方で医者に行く場面があってもいいかなと思いますが。) また、細かいことですが、映画の前半の方で、強盗たちが階段の方でもめているとき、命懸けで携帯を取りに行ったり(パニックルームの中は圏外だったので、融和はできませんでしたが)、空気取りの小さな穴から懐中電灯の光で“SOS”のモールス信号を打ったりと、なんとか外へ連絡できないかと、メグ・サラの親子は画策するのですが、もっと何かできたのではないかと思ってしまいました。 例えば、TVドラマの「ガリレオ」で、閉じ込められてしまった福山と柴崎が、同じように携帯が圏外の場所から、携帯のメールを送信状態にしたまま、窓から放り出して連絡するというのをやっていましたが、同じようにして、空気取りの小さな窓からやれないかと思ってしまい(ただ、当時は携帯が出始めで、メール機能というのはポピュラーではなかったですが。)、もっともっと、知恵を絞っていれば、連絡する方法はあったのではないかと思ってしまいました。 ということで、前半は今ひとつ緊迫感を感じなかったサスペンス映画でした。(後半、ジュディが出てきてからは、なかなか面白かったですけどね、強盗の1人ラウールの凶暴性もわかったし。)やっぱり、フォレスト・ウィテカーのいい人ぶりを強調する映画でしたかね。ジュディがほぼ終始タンクトップ姿でしたが、肩や胸元がちっともセクシーじゃなかったのも残念でした。クリステンは結構がんばっていましたけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.02.26 18:37:22
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