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カテゴリ:SF
![]() 「レッド・プラネット」 Red Planet 2000年 アメリカ映画 監督 アントニー・ホフマン 出演 ヴァル・キルマー キャリー=アン・モス テレンス・スタンプ 科学考証を重要視した結構ヘビーな内容のシリアスなSFです。 21世紀を迎えてもなお、地球は深刻な環境汚染に見舞われていました。 人類は火星移住を真剣を検討し、火星を居住可能な惑星に改造(テラフォーミング)するため、二酸化炭素の氷がある極地に藻を送り込んで、酸素を作り出す計画を実行したのです。 しかし2050年、それまで順調に増加していた火星の酸素レベルが、突如として減少し始めました。 原因を調査すべく、ケリー・ボーマン船長(キャリー=アン・モス)ら6人の乗組員(と探査ロボットのエイミー)は惑星間宇宙船マーズ1号に乗り込み、火星へと向かいました。 火星へ到着し、着陸直前、太陽のフレア爆発による多量な放射線で、マーズ1号は故障し、ギャラガー(ヴァル・キルマー)ら5人の乗組員は、船長を残し、非常脱出する形で火星に着陸するしかありませんでした。 ![]() 火星に移住するために、まず植物を送り込んで、惑星改造をするという計画で、火星へ向かう宇宙船が宇宙ステーションから出発し、その宇宙船は回転して遠心力で疑似重力を作り出すことを中心に考えられた形状で、太陽フレアの放射線で、宇宙船のCPが異常をきたし、火星に着陸するのに、風船に包まれ、実在の20世紀末(この映画の公開の数年前です。)に打ち上げられた火星探査機の機体を利用して通信機を作り、最大の難関は火星脱出、という、非常に科学的でリアルな物語です。 ネットで感想を調べてみると終盤に登場してくる、アレについて、いろいろと言われていますが、僕はアレがアレであることで、非常にリアルでいいと思っています。(ネタバレになってしまうので、仮名で書かせていただいております。)アレが、○○類だったり○類だったとしたら、それは絶対違うと言いますが、アレがアレとして登場しているところにリアリティがあると思っています。 火星は、前世紀末あたりから、かなりの無人探査機が送り込まれていて、その環境についてかなり明らかになってきているわけですが、そのすべてがわかっているわけではないので、小さなものについては、その存在が突然現れたとしても、決して不思議ではないですし、非科学的だとは思えません。 だいたいが、そのほとんどに人類がはびこっている、この地球でさえあって、毎年いくつもの新発見がなされているわけで、ほんの極一部しかわかっていない火星においては、わかっていない部分が大部分であるわけですから、現地へ行って非常に綿密な調査がなされているわけではない現状では、微小なアレが存在していたとしても、決しておかしくはないと思います。というか、現状においては、まだ存在の証拠が見つかっていない段階で、その不在の証明もなされていないわけですから、かなり大きなサイズで、行動範囲も広くその痕跡を残しやすい大型のアレがいるという可能性はほぼ0だとは思いますが、微小なアレが存在することは、全面否定はできないのではないでしょうか。 横道にそれますが、僕は常々、科学的な考え方を大切にして、生きていきたいと思っています。それは、TVのオカルト的なテーマで議論する番組に、科学者の代表のような感じで登場してくる、オカルト的なことは常に全面否定している、某教授のような考え方ではなく(でも、その某教授は自身の専門的なこと以外の科学的情報について、かなりの部分で間違えて認識しているところが多く、かなり信用できない人物だということをTV関係者は気づいているのでしょうか。)、不在の証明がなされていないものは全面否定しないという姿勢で、霊魂や幽霊や宇宙人やUMAや超能力など、オカルト的な存在を全面否定はしないようにしています。というか、むしろ、そういうロマンを感じる存在については、どちらかかというと信じている方で、何とか科学的証明ができないものかと常々思っています。 元の道に戻しますが、ただ、登場してくるアレが、アレ1種類だけだというのは非常に疑問を感じています。アレが存在しているということは、その前段階のものもいなくてはならないわけで、数種類の微小なアレが登場してきたら、非常に科学的で素晴らしいと絶賛していたでしょう。 それと、地球から送り込まれていた植物(藻類らしい)を摂取していたらしいのですが、では、その藻類が送り込まれる前は、何を摂取していたのか、という疑問は残ります。その辺が明らかになる描写があれば、なお絶賛していたことでしょう。 ![]() 以上のように、非常に科学考証がしっかりしている本作ですが、その科学考証に一生懸命になったため頭が回らなかったのでしょうか、全体の雰囲気が地味で、ストーリー的に盛り上がりに欠けるお話になってしまっているところが残念でなりません。 科学大好き理系男子の僕としては、それなりにハラハラでき、楽しく観賞することができたのですが、火星着陸時に姿勢が制御できなくなり、着陸船の着陸装置である下半身を切り離し、全体から風船を出して跳ねるように着陸したところとか、火星から脱出するために、古い探査機を探して旅をするというドラマな部分にハラハラできない科学音痴な方々には、非常に退屈な物語だったことは否めないでしょう。残念です。 ということで、僕的にはかなり満足した作品ですが、一般的には受けず、興行的にも振るわなかった作品です。しかし、エンターテイメント性を追求するあまり、科学的にとんでもない展開を平気で作り上げている、スペクタクル映画大好きな某プロデューサーに比べれば、科学考証徹底して行った、この映画のスタッフに僕は多大なるリスペクトを送りたいと思っています。 ところで、また、テレンス・スタンプに出会ってしまいましたね。今回は、科学者のくせに、哲学的議論を吹っかけてくるという、うっとうしいおやじの役でしたし、かなりの序盤でお役御免になってしまったので、残念でした。もっと彼の不気味さが出せる役で、活躍させてあげてほしかったなあ、と思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.05.25 11:16:37
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