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カテゴリ:サスペンス
![]() 「フォーガットン」 The Forgotten 2004年 アメリカ映画 監督 ジョセフ・ルーベン 出演 ジュリアン・ムーア ドミニク・ウェスト ゲイリー・シニーズ このDVDは、サスペンスコーナーにありました。パッケージの解説を読んでも、ミステリー系のサスペンスと思われました。 でも、はっきり言って、サスペンスではありませんでした。でも、記事の分類としてはサスペンスにしておきます。それは、その分類を明らかにするということがネタバレになるからです。 でも、はっきり言って、今回はネタバレをせずに、この映画を批評することは不可能だと思いました。そこで、はっきりネタバレな文章になっております。これから、この映画を観て、純粋に驚きたい方は、あらすじ以降(つまり2つめの写真以下)の文章を読まないようにお願いします。 ただし、はっきり言って、感動しないと思いますよ、というか、ガッカリするか怒りを抱くかどちらかです、「サイン」や「ハプニング」や「フォースカインド」などの映画に感動できた人以外は。 テリー(ジュリアン・ムーア)が、9歳の1人息子サムを飛行機事故で失ってから14カ月、失意の日々を過ごす彼女の周りで、異変が静かに始まりました。 家族3人で撮った記念写真からはサムの姿だけが消えており、夫のジムは元々息子など存在しないと言います。精神科医マンス(ゲイリー・シニーズ)は、テリーは流産し、そのショックの余り想像上の息子を創り出したのだと説明します。 すべてが妄想だと決めつけられ、慌てたテリーは、同じ飛行機事故で娘ローレンを失った元プロ・ホッケー選手のアッシュ(ドミニク・ウェスト)を訪ねます。最初は自分に娘などいないと言っていたアッシュでしたが、やがて記憶が戻ります。 その頃、テリーは国家安全保障局を名乗る男たちに身柄を拘束されていました。アッシュは護送車両からテリーを逃がし、2人は警察からも国家機関からも追われる身となってしまうのでした。 ![]() 最愛の息子の形跡が、自らの記憶以外すべて跡形もなく消えてしまう、つい前日まで一緒に悲しんでいた夫さえ、息子のことを覚えていない、いったいどういうことなんだろう、本当に精神科医の言うように彼女の妄想なんだろうか、なかなか興味をそそるミステリーです。 ジョディ・フォスター主演の「フライト・プラン」に似ていますが、旅先の飛行機の中という一時的な限定された空間ではなく、この映画では、自宅で息子の写真など、その痕跡一切を含めてなくなってしまっているのです。周囲の人間が彼女をはめようとしているとしたら、非常に手が込んでおり、なかなか大変な作業です。 しかも、その目的がよくわかりません。すでに飛行機事故で亡くなっている息子の痕跡をきれいさっぱりなくしてしまって、いったい彼女に何をしたいのか、何の得があるのだろう。 いろいろと考えながら見ていたら、1つの嫌な予感が頭をよぎりました。 それは、もしかして、超常現象なのか???ということです。何か、人類の力では及ばない、超自然な力がかかわっているんじゃないか???ということです。 でも、まさかそんな風に話を持って行くなんて、まじめに謎解きを考えている観客に対して不誠実だし、はっきり言って反則だよな、そんなはずないよな。と思っていました。 そうこうしているうちに、もう1人、同じ飛行機事故で娘を亡くした男が現れます。というか、彼とテリーはその事故つながりで同じ悲しみを抱いているということで、知り合いでした。その元アイスホッケー選手のアッシュは、はじめ娘のことを忘れていたのですが、テリーの働き掛けで思い出すのです。 ということで、自分の子どもを亡くし、その痕跡を奪われた人物が2人現れたので、テリーの妄想説はなくなりました。 そこへ、国家安全保障局なる男たちが現れ、テリーとアッシュを捕まえようとします。ということで、何らかの陰謀が潜んでいる説決定です。 なるほど、国家的陰謀なんだ、確かに手の込みようからしても、規模が大きそうだからなあ、と納得しつつ、今度はますます、その目的がわからなくなります。 事故の原因とかに国家機密などが絡んでいるのだろうか、でも、子どもの存在そのものを抹殺する必要はないぞ。余計な詮索しないように、賠償金とか、カウンセリングなどのアフターケアを遺族に手厚くしておけば丸く治まる話ではないか。 もしかして、これは事故ではなく、子どもの拉致ではないだろうか、と、映画の中のテリーたちより若干早く(残念なことに本当に若干でした。)気が付きました。 しかし、こんな無理やりな形で子どもを拉致してどうしたいんだろうか、しかも、周囲の人間の記憶を操作してまで、その存在の痕跡をすっかり消してしまうという非常に手の込んだ形で。 こんな大風呂敷をどんな納得できる形でたたんでいくのか、その後の展開が非常に楽しみになってきた途端、話はちょっと違う方向へ進み始めます。 そう、先ほどの嫌な予感が、目に見える形になってきたのです。 「えっ、ウソだろ!!!???」と思いました。「なんやそれ!!??逃げるんかい、あまりにも大風呂敷過ぎて、納得できる結末ができなくて逃げるんかい!!!、真面目に謎解きをしていた、おれたちの気持ちをないがしろにするんかい!!!」と思ってしまい、非常に非常にがっかりしました。 黒幕は人類を超越した存在でした。しかし、映画の中では、その彼らが何なのかということは、まったく語られておりません。もちろん、その正体を推し量るべき手がかりも全くありません。 ネットでこの映画を検索したら、多くのページで、“宇宙人”と書いてありました。しかし、いくらこの地球よりも格段に科学が進歩した宇宙人だとしても、人間の十年以上分の記憶(テリーが逃亡後夫のジムに会いに行ったら、ジムはテリーの存在を忘れさせられていました。ということは、サムが9歳でしたから、結婚前の交際期間も考えると12年以上分ということになります。)を操作したり、あんな逆バンジーみたいな形で勢いよく人間を素っ飛ばしたり、すべてが終わった後、何事もなかったかのようにすべてを元通りにしたり、ということを考えると、宇宙人というよりは、悪魔や神のような超常的な存在の方が可能性が高いと思います。(それとも、X-men?) 宇宙人と言えども、基本的には物理法則には支配されているはずだから、いくら地球人では考えもつかないようなテクノロジーを持っているとしても、地球人の脳の記憶の仕組みを奥底まで理解しているとは思えない(地球人でも解明できてないのに、)し、この宇宙のすべての物質に働くはずの万有引力に反する行為をあんなにピンポイントでできるとは思えないからね。(この意味が分からない人は、賢い理系の人に説明してもらってください。) ![]() ということで、とても面白いサスペンスだと思っていたら、話が明後日の方向へ展開し、非常に非常にがっかりしたという話でした。初めからそういう方向の話だと分かっていたら、そういう気持ちで観てるのに。 ところで、ちょっと、気になってしまったんですが、彼らはテリーの息子の写真などは見事すっかり消してしまっていたのに、アッシュの娘が家の壁に描いた絵(ちゃんと目的があって描いたものだし、アッシュも認めているので、落書きではありません。)は、どうして残していったのでしょうか。超常的な力が使えるんだから、あんなものカンタンに消せるでしょ。 もうひとつ、なぜ、彼らは14カ月待ったのでしょう。事故の起きた(つまり拉致した)直後に記憶を操作してもいいと思うのですが。というか、別に事故に見せかけなくても拉致してすぐに記憶を操作すればいい話なんですが。(そうか、そう考えると、初めから話が破綻していたのですね。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.07.30 19:33:04
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